2013年7月12日金曜日

果物の行商販売グループ・ダイナミックフルーツ

先日道を歩いていたところ、
「すみません。パッションフルーツを買いませんか?」
と声をかけられた。

とびっきりの笑顔を初見の女性から向けられることは、スナックやキャバクラにでも行かない限りないだろう。

彼女はいったい何者だ?

興味がムクムクと湧く。フルーツを買わないままに、なぜ果物の行商なんて今どき流行らないことをしているのか、尋ねてみた。

彼女達が所属しているグループは「ダイナミックフルーツ」というらしい。
池袋2丁目に支社があり、そこで果物を受取り、道行く人々に片っ端から声をかけてセールスをするという。

「私たちはみな、社長になるという夢を持って活動しています!」
と言う彼女に、
「おお、頑張ってください」
と声をかけてその場を離れた。

そのあとググったら「ダイナミックフルーツ」はフルコミッション制の無店舗販売であり、DS-MAXというカナダの世界的な訪問販売グループがバックにいるらしい。

販売員は、
「南の島を買おう」
「社長になろう」
を合言葉に、フルーツのセールスをやっているという。宗教でも背後にあるのかと思ったが、そうではなく、あくまで純粋な商行為だそうだ。

この商法のことを「マルチ商法だ」などと評価しているブログなどがあって鼻で笑った。マルチ商法の意味がわかっていないんじゃないか。

マルチ商法は、別名連鎖販売取引のことであり、仕入れた商品を再販売する人間の勧誘がメイン。配下の人間に自分の代わりに物品を売ってもらい、そのかわりにコミッションを受け取る。配下の人間が階層式に増えれば増えるほど、自分は働かなくても儲けられるようになる。それがマルチ商法だ。

フルコミッション制の委託販売に「マルチ」という言葉を使うのは間違いじゃないの?

それはともかく、マルチだの宗教だのと陰口を叩かれて、評判はあまりよろしくない。フルコミッションというあり方が嫌われているらしい。

でも、学歴も資本も経験も人脈も何もない人間が一発逆転を狙うとすれば、フルコミッション制の営業は一つのチャンスと言える。

たとえば中村文昭という人物がいる。
★ http://www.kurofunet.com/nakamura/

2003年に『お金でなく、人のご縁ででっかく生きろ!』という本を出版してちょっとしたブームになった。現在はクロフネカンパニーという結婚式をプロデュースする会社を運営している、若手起業家のホープだそうだが、彼が高卒で起業家を目指した時に、最初に所属したのが野菜の無店舗販売グループだった。

リーダーを先頭に、農家から野菜を直接仕入れて街角で売る。ダイナミックフルーツのやっていることと同じだ。

中村氏はこれで資金を貯めて、それを元手に結婚式プロデュースに邁進、今の地位を手にいれた。

ちなみにクロフネカンパニーのホームページに比べると、ダイナミックフルーツの社長のホームページはお粗末極まりない。長浜大という社長のブログは、ほとんど更新されていない。
★ http://dynamicitd.blog119.fc2.com/
★ http://ameblo.jp/fruits-daisuki/

最後の日記が昨年のもので、「継続は力なり」というのが笑わせる。だったらまず、ブログを継続すればいいのに。まあ、それは社長のやることではない、と言われればそうなのだが。細かいところに気の回らない社長のようだ。

この手の販売形態に問題がないわけではない。フルコミッションの営業は、売れれば儲かるけれども売れなければ儲けはゼロだ。営業マンの労働に対価を払わず、結果だけを評価するというのは給料を払う必要がない会社としては、おいしい話だ。

この手の会社は研修制度もほとんどなく、在庫管理だとかルート構築だとか、営業を行う上で必要な技能は何一つ学べない。勝手に育ってもらう方式をとる。ものになるのかどうか分からない人材に研修する費用を費やすのがムダだと考えるのだろう。

どんどん社員が辞めていくために、生き残るのは会社の不十分な教育制度に疑問を持たない、異常なセールスの才能の持ち主。ほっとくだけで、会社に都合のいいスーパーセールスマンを手に入れられる。

でも、これではものになる前に、社員の不満がたまる。第一、生活が成り立たない。すぐに辞めてしまう。そこで、
「君の夢を叶えるため」
「一緒に理想を追求しよう」
などと甘い言葉でバカな若者を洗脳して、いかにも素晴らしいことをやっているかのようなふりをする。実体は単なる若者の使い捨てだというのに。つまり、社員を騙すことで会社は成り立っているわけだ。

ダイナミックフルーツの販売方法は、皆さんの体験談を読む限り、あくどいものではないようだ。熱心に勧めるものの、断れば潔く引き下がるという。目くじらを立てなくてもいいかもしれないが、若者の夢を食い物にする会社は応援したくないな。どうせ食い物にされるなら、私に食わせてくれれば良いのに。

4 件のコメント:

  1. 八百屋さんは薄利多売商法のスーパーやコンビニに押されている部分もありますし、新たな風を起こすかもしれませんね
    今後に期待です

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    1. おっしゃるとおり、新しい風にならないとも限りませんね。

      普及するまでは、携帯販売の押し売り方式は大変な批判を受けていましたが、その恩恵を今では大勢の人々が受けていましたから。

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  2. この子達はアメリカから日本に広まった変わったビジネス会社の組織ですね。フルーツ部門や大福など和菓子を売る部門がありリヤカーに積めて街を駆け回ります。毎日毎日外回りで走り回って商品売って売上げ率達成すると晴れてオーナーです。個人差はありますが売上げ率を達成してオーナーになるまで2~4年かかります。オーナーになるまで大福だとしたら10億個くらい売らないとぢゃないですか?殆んどの子が途中でやめます。なぜかというと毎日しんどい、現場までの交通費なし、給料殆んどない、経験もない奴らが自己啓発みたいな口だけの朝礼ばかりだからです。結論的に知っておいてください。将来この子達はオーナーになるためだと。

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    1. 彼らが騙されていたことに気づくのは、数年後なのでしょうね。

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