2012年5月30日水曜日

組織にいると、気を遣う


『残念な人の仕事の中身』という書籍の内容がまとまっている記事をよみました。
「書評と言いつつ、中身についてここまで書いてもいいの? これでこの本を読む人がいるの?」
と一瞬思いました。アマゾンでこの本をググりますと、中身検索ができますし、目次で内容を確認できることを思えば、ここに書かれている程度は許容範囲なのでしょうか。それにしても、出版社として、ここまでならネットに公開してもいいだろうと考えながらアマゾンで紹介しているのに、有志の手によって出版社の意図を離れて内容を公開されてしまうと、マーケティング戦略の大幅な見直しを迫られることでしょう。

とはいえ、読者にとっては、この本に書いていることを自分の身に染み込ませるためには、粗筋では満足できません。私も、思わずクリックして買いそうになりましたし。

評価されない人の12の特徴としては、以下のようなものがあると、まとめ主は書いています。
①一貫性の欠如
②役割の無理解
③ジコチュー
④傲慢
⑤頑固
⑥理論至上主義
⑦偏見
⑧変化への抵抗
⑨仲良しクラブ
⑩まかせない
⑪問題の誇張
⑫無用なユーモア
そのあと、タイプ別の特徴がうまくまとめられています。これは気をつけないといけないなと感じたのは次のタイプに書かれていることです。
自分が見えないタイプ
◆いい仕事ができても、職場の「和」を乱す人は評価されない
◆上司の「些細なこだわり」を尊重する
◆「自分の強み」を生かすために採用されたことを忘れない
◆問題は主観的に指摘せず、「事実」に語らせる
◆男女がそれぞれに同じことをしても、違った評価を受ける
◆職場にいるときは、「嫌なこと」は忘れて仕事に集中する
あるある、と思ったのは、「男女がそれぞれに同じことをしても、違った評価を受ける」という点。
男女が同じ事をしても、違った評価を受ける不条理に直面することはよくあるんですよね。これまでは女性側の不満が大きく取り上げられてきましたが、男女の比率が逆転している職場では、男性社員にも同様の不満が広がっています。仕事中にお菓子をポリポリ食べていても、女性なら許されるのに男性はだらしないと思われる、とか。

それに、上司の「些細なこだわり」を尊重することも、本当に大切です。几帳面な上司がそばにいるのに、整理整頓をしないなんてのは致命的。阿る必要はありませんが、気を遣えない人間は、周りを不愉快にしますので、積極的に阿諛追従を心がけるくらいの意気込みでいたほうがいいのかもしれません。

自分の姿は意外にみえていないもの。こういう本を読んで、自分が他人に与えている不快な印象をひとつひとつ消しこんでいくことも必要かもしれませんよ?






本日読んで、気になった記事はこちら。↓

2012年5月29日火曜日

公務員改革はできる範囲で

公務員への批判が募っています。

慢性的な不況に陥った日本で、決して首にならない公務員を人々がやっかみ、嫉妬の念を募らせているのが原因でしょう。

このため、公務員批判は、政治家にとって人気を得るための手法の一つとなっていると言われていますが、時には的外れの手法が取られることがあります。

公務員減らしの行き先 人を軽々しく扱う政治家を信頼できますか?」という記事では、この風潮に一石を投じています。日本の公務員の数は先進国でも最低レベルにあり、これ以上減らす必要も、待遇を悪くする必要もない、という主張です。

実際、公務員の仕事量が減るわけではなく、いったん得た既得権益を現職公務員が簡単に手放すわけがありません。そうすると、数年という短い期間で政治家が人件費削減をさせているように見せかけるために、定年による自然減を正職員採用で賄うのではなく、非正規職員の採用を増やして全体の人件費の削減を狙う……という手法がまかり通ることになります。

ほとんどの公務員は大変仕事熱心ですし、国民のために一生懸命働いている人が多いのに、これでは現場の士気も上がりません。商品が大ヒットして、売上が急上昇するようなメーカーと異なり、実績が見えにくいのが公務員という仕事です。コスト削減だけを毎日のように求められていては、サービスの充実が後手に回り、質の低下を招くだけです。

これを防ぐためには、公務員制度の構造的な改革が必要ですが、世界のシステムが大変流動出来で、どのように改革を行うことが吉と出るか、誰もわからないのが現状です。つい十年前には大正解だった解答が、ほんの十年で逆転してしまうのが今の世の中です。

今すぐにでも出来ることといえば、公務員批判の的となる、明らかな悪評を防ぐ、ということでしょうか。たとえば、公務員には傲慢な人間が数多く混じっていて、それが市民の不満に火をつけているという問題があります。私、先日役所に電話で問い合わせをしたところ、電話に出た人間の対応にきれそうになりました。そもそもこちらに手続きに不備がありまして、その訂正をお願いしたのですが、こちらの依頼に対して一方的に「あなたねぇ、最初にミスしたんだから、我々のやり方に従ってくださいよ」とまくしたてられて参りました。日を改めて、別の担当者にお願いした所、快く引き受けてもらえたので助かりましたが、そのあと、猛烈に腹がたったのですけれどね。

彼らが公務員全体の評価を下げています。プライドが高く、相手によって態度を変え、弱い者、下手に出るものにはいけ高々な態度を取るのです。お店ならば行かなければ済みますが、役所には必ずどこかでお世話になる必要があります。彼らに便宜再教育を行い、余計な批判を招かないようにしていただきたいものです。





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2012年5月28日月曜日

安売りの終わりの始まり

デフレ経済が日本では異様に長期間続いたため、今ではそれが当たり前となりました。しかし、デフレだけが永遠に続くことはあり得ない話です。日本の国債発行残高は、税収を大幅に上回っています。国債を日銀が引き受けるために紙幣を増刷しなくてはならない状況に近年陥る時も近いでしょう。その時はインフレの開始です。デフレを貫き通そうとしても、日本の財政が立ち行かなくなることは明白です。

コジマの凋落、ビックの危機感に書かれているのは、家電量販店同士が生き残りを図るために、創業家を無視してまでもコジマをビックが傘下に納めた、という内容です。合従連衡が記事の主題ではありますが、そのようなM&Aが進行する底流には、デフレ産業が立ち行かなくなっている現実があります。デフレが収束しようとするうめき声が聞こえてくるようなきがします。

100円ショップも花ざかりですが、供給元の中国では人件費が高騰しています。いつまでも100円で、あれだけの品揃えを行うことが可能とも思えません。世界にはまだまだ貧しい国々は多いですが、その中に、中国ほど、教育熱が高い国はほとんどありません。アフリカ、インド、南米などは、国民に教育が行き届いておらず、これらが中国の代わりになれるかといえばそうはうまくいかないでしょう。よくよく考えれば、あれだけ教育熱が高い国が、世界の最貧国の一つだったという数十年前の事実が、あまりにも、奇跡的な話でした。

安売り産業の苦戦がこれからも続くとしたら、100円ショップや牛丼店のようなところが、これから家電業界のように事業再編、合併が進むかもしれませんね。すき家と吉野家、松屋が混在する駅前で一番安い牛丼店を探す楽しみがなくなるのは嫌だなぁ。




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2012年5月27日日曜日

赤信号を渡るか否か

古い話になりますが、当時のサッカー日本代表監督のトルシエが、
「日本では夜中2時に、歩行者が赤信号で横断歩道を渡らない。車も来ないのに。そんな国民性を変えないと、サッカーでは勝てない」
と語ったのを聞いた覚えがあります。

社会の無駄なルールに盲目的に従うのではなく、自分の頭で判断しなければならない、ということでしょう。例えば極端な例ですが、ヒトラーが支配していたドイツでは、ユダヤ人をゲシュタポに突き出すことが合法的だったとしても、それは間違いなく「悪」でした。ルールを守ること、遵法精神が必ずしも善ではありません。

車が確実に来ないのはわかっているのに、交通法規で定められているから従うのは無意味でムダだ、そのような日本人の精神は怠慢で害悪だ、というトルシエの主張には、確かに一理あります。

しかし、深夜の赤信号を渡らないことは、本当に無意味でしょうか?

先日、私自身が深夜、左右を確認した上で、いざ赤信号の横断歩道を渡ろうとして、トルシエの言葉を思い出し、ふと歩みを止めました。

深夜1時頃でした。その日は飲み会で、終電まで粘った後の帰路でした。ですから、それほど急いではいません。赤信号でも慌てて渡る理由はありません。それでも、車は通りませんので、横断歩道を渡ったっていいだろうと思い、そこで考えなおしたのですね。待てよ、と。

ここで横断歩道を渡ることは、本当に正しいことなのだろうか、と。

周囲には他人の目はないので、信号待ちをしようがしまいが、非難されることはありません。完全な自分の問題です。そして、自分にとって誰も見ていないところで、それでも社会ルールとして定められたことに従おうとするか否かが、今問われているのではないか? と考えました。

交通法規は少なくとも、無辜の民を虐殺するような悪法ではありません。それどころか、人々を守るための素晴らしい法律の一つです。その法律を破る理由として、他人が見ていないからとか、ムダだから、という理由は果たして正しいのでしょうか?

自分にとってはムダな法律を、バレないからという理由で破り続ける人間は、やがて法律を破ることに鈍感になるでしょう。違法行為に慣れた人間は、法律を守ることもバカバカしくなりはしないでしょうか。

マナーは繰り返すことで身体に染み込みます。同じように、違法行為も遵法行為も、どちらも繰り返せば癖になるでしょう。

深夜であっても赤信号を渡らない、と決意することは、人生の途上にこれから現れる無数の選択肢から、社会規範に従うものを必ず選択していこうという意志の現れの一つとも言えるでしょう。それは、いざというときに、誤った道に進むことを押し留めてくれることでしょう。

だから私は、深夜であっても赤信号は決して渡るまい、と考え、赤信号を渡ることを思いとどまったのです。

そして、トルシエの日本人批判についても、再度考え直しました。

日本で犯罪が少なく、街も綺麗なのは、日本人に他人の見ていない場所であろうと、自分にとって損であろうと、道徳や法律をできる限り守ろうという、社会的なコンセンサスがあるからでしょう。遵法精神は個人の人生の破綻を防ぎ、社会維持のコストを下げる働きがあります。そんな日本に私は強い愛着がありますし、誇りに思っています。

トルシエが日本人を批判するのは勝手ですが、私はこれからも、自分にとって損であろうとも、他人の見えないところであっても、できる限り法を守り続けることにしよう、と考えました。それが自分の頭で考えだした結論であり、私の生き方です。


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2012年5月26日土曜日

美談で売るなよ 河本準一

お笑いコンビ・次長課長の一人、河本準一の母親が生活保護を不正受給しているのではないか、という問題。長い間無視を決め込んでいた河本でしたが、昨日涙の記者会見行い、その冒頭では30秒間頭も下げてみせることで、一応の決着をみました。


きちんとした謝罪の効果は素晴らしいですね。
先日までの論調とはうってかわり、今では河本準一をを擁護する書き込みが急にネットで増えていて、驚きました。twitterで「河本準一」をキーワード検索すると、出てくるわ出てくるわ。「彼は悪くない」「何が問題なの?」というコメントが多数みつかります。

この大きな流れを作ったのは、松永英明氏のブログ内の記事「河本準一氏叩きで見失われる本当の問題」でしょうか。はてなブックマークがあまりに多いので、最初は吉本や電通が、河本を擁護するためのステマかと思いましたが、賛同者のIDなどを確認すると、そうではないようです。

松永氏の記事を整理すると、以下のようになるでしょう。
① 母親の病気をきっかけに生活保護が始まったが、河本の収入が数年前に上がったことをきっかけに援助が開始された。そして生活保護の必要がなくなったので生活保護を打ち切った。どこにも問題はない。
② 河本の収入は不安定。生活保護中止をなかなか切り出せないのは当然。
③ 母親と良好な関係だからといって、親に援助をして当然というのは、筋が違う。それは道徳・倫理の問題だ。
④ 近年親によるDV、放任が問題となっている。援助を受けるべき人が、援助可能な人が親族にいるために、生活保護を受けられない世の中にしてはいけない。
これを読んで、すっきりしないものを感じました。いや、そうじゃないでしょ、と。
そもそも河本が責め立てられていたのは、不法行為の疑いがあったから、ではありません。高額所得者である彼が、母との美談で本まで書いた彼が、母親に満足に仕送りをしていなかった、というモラルの面に問題があると多くの人が感じたことが、騒動の発端でした。

彼に不法行為の疑いがある、とをネットユーザーの一部が言い出し、国会議員が出てくるほどの騒動に発展しました。それは確かに解決しました。なにしろ立法府である国会の議員2人が、河本準一の母親の生活保護不正受給問題をこれ以上追求しないと明言し、吉本側の弁護士が、彼には不正行為はないと主張しているのです。今出揃っている材料では、彼に不法行為があったとは証明されないということなのでしょう。

でも、不法行為疑惑は議論の発端ではありません。道義的責任を果たしていないことだって、立派な「不正」でしょうに。

河本の母親が10年以上生活保護を受けていたこと、彼の活躍はすでに5年にもなること、彼の母親が生活保護の停止を決めたのは、週刊誌をきっかけにネットで騒動が大きくなった5月になってようやくであることを、松永氏が記事で触れていないことはともかく、議論の一部が解決されたから、問題はすべて解決された、と強弁することには、問題のすり替えではないのか、という憤りを感じます。

元々私にとって、河本は好きな芸人の一人です。
吉本自体にペナルティーを」という記事でも書きましたが、彼が『一人二役』という本を書いていることを知らなければ、それほど怒りを覚えませんでした。

別に、彼が親に援助をしていなくてもいいのです。親だっていろいろです。子供に自分の価値観を押し付ける親、虐待する親、依存する親など、変な親はたくさんいます。特別な才能を持つ芸能人の親なんて、特にひどい親、エキセントリックな親が多いものです。そんな親を養えとは誰だっていいませんよ。

ところが、彼は『一人二役』という本を書いて売れています。親孝行キャラで売っているのです。母親を仕事のダシにしているのです。それなら、高額所得者となって真っ先にすることは、生活保護を受けている母親に仕送りをし、生活保護をまず、止めることでしょう。なぜそれをしないのでしょうか。母親との美談で金を稼いでいるのに、母親に生活保護を受けさせているのは大きな矛盾ではありませんか。

古い話になりますが、江角マキコは年金未納でとても叩かれました。彼女が国民年金の収納率アップを図った広報のイメージキャラクターを務めていたからです。偽善で金儲けをしたら、批判の的になるのは当然です。河本も同じですよ。

島田紳助というクズ芸人が以前いました。私は彼が心底嫌いですが、その理由は、彼が勝谷誠彦の女性マネージャーを、テレビ朝日局内の部屋に連れこんで鍵をかけ、彼女の頭を拳で4、5発以上殴り、髪をわしづかみにして壁に叩きつける……という異常な暴力をふるいながら、抜け抜けと法律相談所の番組の司会を続けていたことです。

井上ひさしという作家がいました。『吉里吉里人』のような優れた作品を残しましたが、憲法9条の護持を訴え続けたことでも有名です。しかし、彼と、それをとりまく人々を今でも信用出来ないのは、彼が元妻に肋骨を折るような暴力を長年ふるい、それが大きく週刊誌で取り上げられるようになった後も、9条の会の連中が、彼を支え続けていたからです。

年金が未払いなのはしょうがありません。暴力衝動を抑えられないのも仕方ありません。親に援助をしないのも、仕方ありません。誰だって、自分が可愛い、エゴイストの部分を持っています。弱い部分も持っています。欠点もあります。しょうがないですよ、人間だもの(by じゅんを……じゃなかった みつを)。

でもそれなら、せめて、最低の倫理として、正義面をするのはやめなさいよ。

年金の広報の仕事は、来た時点で辞退しなさいよ。
法律相談所の司会は、暴力事件を起こした時点で降板しなさいよ。
非暴力を訴える9条の会の呼びかけ人になることは、「自分にはその資格はありません」と言って辞退しなさいよ。

親に生活保護を受けさせ、満足な仕送りをしないのならば、親をダシにした美談を本にすることはやめてくれ、テレビで親に感謝を表明するのは止めてくれ、孝行キャラで売りだすのは止めてくれと、強く強く願うのです。

どしてこんなに厚顔無恥でいられるのか不思議です。親の面倒をみるつもりがないのならば、普段から、「親と自分は無関係です」と宣言すればいいのです。その代わり、世間はその人を軽んじるでしょう。それなりの扱いをするでしょう。「それでもあなた評価する」と言ってくれる人は、一握りかもしれません。でも、でも、仕方ないじゃないですか。自分が選んだ道なのだから。

世間には評価をしてほしい、でも義務は負わない……そんないいとこどりの人生など、この世にありません。




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2012年5月25日金曜日

累進課税の方が経済はよくなる

TEDで発禁の講演「金持ちからもっと税金を!」の全文を公開中 の記事を読みました。これまで、富裕層に高い税率をかけることは悪で、累進課税こそが日本の不況の元凶、という説が日本でもまかりとおってきました。

20年ほど前にバブルがはじけて不況に苦しむ日本では、大きく自己反省を重ね、その中で批判の的となったのが累進課税。特に、繁栄を謳歌していた米国との違いについて、評論家は累進課税を折に触れて批判してきました。渡部昇一などが、その元凶ですよね。

ところが、ニック・ハノーアー氏によれば、富裕層がいくら巨額の収入を得て資産を形成しようとも、そのお金は全体に循環しない性質のものだそうです。中産階級こそが資産割合からすれば、もっともお金を使う層であり、この層の可処分所得を増やすことこそ国中にお金がまわる秘訣なのだそうです。

同じような主張を、日本でも税理士の吉越税理士が先に展開していました。税制や経済成長に興味のある方にはよく知られている吉越氏のサイトはこちらです。

国際競争力回復の為の競争政策で何を規制緩和・自由化し何を規制強化すべきかの新経済成長理論

吉越理論は素晴らしいのですが、分量が多いため、読むのは大変です。渡久地明氏のホームページに、リンクと論文の骨子が載っているので、こちらで概略を把握された方がよいかもしれません。
吉越税理士の景気回復理論


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2012年5月24日木曜日

過去を美化するサラフィスト

イスラムに異国情緒しか感じていないあなた! 「サラフィスト」と呼ばれる人たちを知っていますか?によれば、サラフィストと呼ばれる古代回帰を志向する人々が、イスラム社会に増えつつあるのだそうです。

エジプトの古文書にも、
「昔は良かった」
と書かれているといいます。人が過去を美化して現在を貶める傾向は、過去である古代エジプトからそうだったという例証として、よく挙げられます。

個人ですらそうなのですから、社会制度においても、過去を美化して現在を批判するという主張はいろいろな局面に現れます。日本の明治維新は室町以前の王政復古を目指しましたし、日本が模範とした中国を長年支配した儒教は、周代の政治を理想としました。ルネサンスも古代ギリシャ・ローマに範を取った復興運動でしたし、共産主義ですら、原始共産制という制度を仮定して、人間社会は本来平等だったのでそれに戻れという論を展開していきました。

ところが、「昔は良かった」という感慨にはほとんど根拠がありません。よくよく調べると、幸せだったのは権力者とその周辺だけで、昔になればなるほど、暮らしは過酷で、幼児の死亡率、失業率も統計上では大変高く、庶民にとってはとても生きにくい社会であることがわかっています。

そんな過去に戻ってどうするの? と反論するためにはある程度の教養が必要ですが、イスラム教が信ぜられている地域では、識字率が低く、狂信者の言葉でも広範囲の支持を得易い状況にあります。

それに加えて、イスラム社会では貧富の格差が激しいため、民衆の不満が蓄積するばかり。報われぬ人々は現在を否定したがっています。現在を否定する叩き台として、曖昧とした未来を持ち出すよりも、既知の過去を提示する方が、想像する手間暇がいらない分、人々に受け入れやすいのでしょう。

しかし、サラフィストの目指すものは、近代に仇なします。信教の自由を守り、お互いに尊重し合う社会……近代の理想像を否定するサラフィストが結集するイスラム勢力と近代社会は、いつの日か戦わなくてはならない日が来るかもしれません。

イスラム教は、世界の貧困層に少しずつ広がりつつあります。やがてイスラム教徒とそれ以外の間で、第三次世界大戦が始まるかもしれません。その戦いは、軍隊同士の戦いではなく、地道な日常の中、終わりなき隣人との闘争になるでしょう。それは、本当の文明の衝突です。


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★ どうしても思い出せない。/「ノルウェイの森」村上春樹
村上春樹の紡ぐ物語は、オチがはっきりしておらず、
「え? これで終わり?」
と驚くものが多いですね。先日読んだ『スプートニクの恋人』もそうでした。
感情には刻まれても、記憶には刻まれないのですね。だからこそ、日本語の通じない外国人にも、翻訳の壁を越えて人気があるのかもしれせん。音楽が国境を超えるように、流れるようなイメージの奔流を描く小説だけが、国境を越えるのかも。


★ ギリシャ「取り付け騒ぎ」の様相に 未曾有のパニック?が迫ってきた (1/2)
公務員のように、これまである程度高給取りで、財産を築いた人たちは、ユーロに変えた財産を国外に避難させ始めたのだそうです。ギリシャ国内の銀行は、ますます資金難に陥り、国内経済はますます悪くなっていきます。経済が大混乱に陥ったとしても、苦しむのは原因を作った公務員たちではなく、公務員になれなかった人々です。これから底辺の人々が歩むのは、茨の道です。


★ ワタミが36協定の不正手続き!……でも、ワタミだけじゃない-
外食産業や不動産業の経営者は、裏で色々な誤魔化しを行っています。労働基準法ほど守られていない法律はないわけで、それを取り締まろうとする行政の腰は重いのが実情。なぜなら、労働基準法を厳格に適用しようとすると、中小企業は耐えられずに次々に倒産し、経済環境は逆に悪くなることが、火を見るほどに明らかだからです。

パチンコの換金所のように、どう考えても脱法行為だろう、という施設が日本中にあっても、取り締まることができないなど、現状と法律とが齟齬をきたしているケースが数多くあります。現状に即した法律をつくりあげていかなくては、人々の法律に対する信頼が薄れていくばかりです。


★ 「女性に教育を施せば、次世代は豊かになると思った。だが間違っていた」~パキスタンの事例
タイトルに釣られました。パキスタンでは、女性に教育を施したせいでどんな問題が起こっているのだろう……誰もが恐れおののきながら、このページを開くことでしょう。

大丈夫。世界はもっと、信頼に値するものです。



★ 「貧乏人の経済学」はスゴ本
貧乏人のことを知らなくては、経済はまわりません。人数が圧倒的に多いため、社会に大きな影響を与えるからです。今日本で活況を呈しているのは、貧乏人相手のビジネスです。携帯電話のコンプガチャや、100円均一ショップやドン・キホーテなどの安売り販売店など。金遣いが荒いのは、富裕層よりも貧困層です。

この層にお金がもっと回るようにすれば、景気はもっと、よくなると思うのですけれどね。



2012年5月23日水曜日

欠点こそが個性

ダメ人間がフリーランスになって1日で1ヶ月分を稼ぐ方法とは?【こけむさズ発起人・石嶋未来さん】
という記事は、大変示唆に富むものでした。

世の中にある自己啓発書などを読むと、「自分の長所に目を向けろ」ということがよく述べられていますよね。でも、そこで多くの人がひっかかります。
「私の長所って、なんだっけ?」
と悩むのです。

人よりも抜きん出た長所がある人間ならば、紆余曲折を経ようとも、自然とその道を極めていきます。自己啓発書を書く人間には、この手の人が多いものです。何かに対してコンプレックスを抱えてはいても、実はどこかに他人を凌駕する才能がある人ですね。

彼らには、自己啓発書を書く強い動機があります。
「学歴社会なんてクソ食らえ。大学に行ってた奴は地獄に落ちろ。こんな腐った社会から成り上がってきた俺を賞賛しろ!」
とか、
「自分のような劣った人間でも、このように成功できたんだ。だからたくさんの人にも成功できる、という自信を与えたい」
とか、コンプレックスのウラ返しにより、自己評価を求める気持ちが、その動機です。

でも、自己啓発書を読む人のほとんどが、彼らの言うとおりにしても、うまくいきません。なぜなら、他人に抜きんでた長所がある人はそれほど多くないからです。どんな人間にも、磨けば光る、他人よりも優れた才能がある、というのなら、極端な話、重度の知能障害の人間がこの世に存在するはずがありません。神は残酷で、与えられた才能は、平等ではありません。

でも、長所のある人間は、長所のない人間のことがどうしても理解できません。そうすると、悩みを打ち明けられても、
「どんな人にだって、なにかしら人より抜きん出たものがあるはずだ」
という根拠のない信条を押し付け、それでもダメだと、
「だったら死ぬ気で何かを成し遂げてみろ」
「他人よりも汗をかけ」
とワタミ社長のように根性論を押し付ける結果となります。

ところが、この石嶋という人は、自分の欠点に目を向けるというアプローチをとっています。ずぼらで、計画性がなく、いつもバタバタしている……という性格によって、可能な仕事はないのか、ということを考えて、考えついたのが、「1日で1ヶ月分稼ぐために、デザイナーがすごく嫌がるような超特急案件をメインにやること」なのでした。

自分の欠点に目を向け、欠点が強みになるような仕事を天職としていく……面白い発想です。
むしろこの生き方のほうが、楽に生きることにつながるのではないでしょうか。


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2012年5月22日火曜日

虚構新聞に怒る人

ここ数日、虚構新聞に対して様々な議論が交わされていましたが、ようやく下火になりました。
大騒ぎだったので、ブログやニュースを楽しみながら読んでいました。検証:橋下市長ツイッター義務化報道問題によれば、普段は一週間あたりの閲覧数が1万~2万件のところが、5月15日には10万2000件にも跳ね上がったのだそうです。すごいですね。

虚構新聞は、長年続いているジョークサイトで、まるで本物の新聞記事のような体裁の文章で、嘘のニュースを書くため、内容を間違って信じる人が多いのが特徴です。私も以前、友達に虚構新聞の記事をリンクしてからかったことがあります。友達は笑って許してくれましたけれども、この手のジョークは、相手を選ばないと大変なことになります。

問題は騙し易くできていることです。何しろ文章が洗練されていますし「虚構新聞」というタイトルと、背景色と同色で書かれた「これは嘘ニュースです」という文字と、よく読めば分かる、記事の中に散りばめられたジョークによって、かろうじて、それが嘘だと分かる作りになっています。

騙そうとする意図があるという点では、東スポと似ています。東スポもタイトルで惹きつけて、折り返しの部分で落とす、ということが多いです。例えばですが、「塩谷瞬、不倫していた!」と大文字のタイトルをつけ、その下にこそっと「(塩谷瞬、不倫していた!)俳優からも酷評される」とくっつける、とかね。

虚構新聞に騙されても、私などは笑ってしまうだけですが、怒る人がこれほど多いということに驚きます。彼らは、東スポですら読んで怒るのでしょうか。

虚構新聞について議論している人々のブログをいくつか読んで、考えました。虚構新聞を読んで怒るのは、どのような人なのだろうと。様々な方が怒っています。いろいろな立場の人々がその中にはいて、最初は共通項を感じられませんでしたが、だんだんと見えてきたのは、この手のジョークを笑えない人は、直感的な人が多い、ということでした。

直感的であり、一旦あることを信じ込んだら、それを疑うことができない頑固な人が多いのです。あるニュースを聞いた時に、比較検討しながら真実を探るのではなく、直感的に、自分の中で、信じられるかどうかを判断し、それを一貫して抱え込もうとする思考回路を持っている人が多いのです。

それもまたひとつの思考方式ではあります。世の中にあるいろいろな諸問題をひとつひとつ検証していくことは不可能なので、直感でそれが正しいのか否かを初見で分類して、あとは、"正しい"に分類したものだけを信じていく、という生き方。そのようなタイプと一緒にいると疲れそうですが。

どんなに反証を並べ立てても、決して自説を曲げない人、案外多いものです。その手の人にとっては、直感で信じてしまいそうな、明らかな嘘を流す媒体は鬼門です。だって、「信じる」に分類して、鍵を掛けてしまったものが明らかな嘘なのですから、普段は行わない棚卸をして、分類し直さなくてはなりません。その努力が嫌でしょうがないのです。だからこそ「閉鎖しろ」「許すな」という全否定につながるのでしょう。

そんな人間に、阿る必要などないと思うのですけどね。


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2012年5月21日月曜日

英語を話せないとダメだ、と不安を煽るのは新興宗教と同じ

日本人のほとんどは"英語失敗組"からの再挑戦 という記事を読むうちに、胃のあたりがムカムカとしてきました。プロフィール欄を見ると、筆者は大学四年生です。熱い情熱を支えるには、やや論理が拙いのはしょうがないにしても、気持ちが悪いなと感じたのは、新興宗教じみたものを感じたからです。

佐々木氏はこう言って、彼の主催する英語勉強のためのWebサービスへ誘います。
「英語を出来る出来ないで差別を受ける」
「英語を話せないことはすなわち職を得られない、つまり死ぬことと同義」
「今後間違いなく、日本でもこういう流れは強くなっていくでしょう」
などなど。

「私たちの教えを信じないと、地獄に落ちるよ」

「○○○○年に世界に天変地異が起こる。その時にこの宗教に入っていれば、あなたは救われる」
「あなたの後ろには、先祖の霊が憑いている」
などと言って、日本語では生活できなくなった未来に生き残れないあなたの姿を描き、人々の不安を煽り、組織に取り込もうとする新興宗教とどこが違うのでしょう。

もちろん、新興宗教が語る世界の終末に比べたら、グローバル社会が進展する方がより現実味のある話です。世界の終末よりも、確実にやってくる未来です。でもそれは、本当に彼らが言うように、英語が喋れる人間だけが生き残り、英語が喋れない人間は生き残れない世界となるのでしょうか。

経済活動が今以上にグローバル化すれば、国際展開する企業は、本社が世界のどこにあってもおかしくはなくなるでしょう。その時の各国の支店と本店とのやりとりは英語となるでしょう。そのため、幹部や役員は、英語が分かって当たり前、という時代になるかもしれません。外資系はこれからも増えるでしょうし、そこで出世しようと思えば、英語が話せないと上司とコミュニケーションが取れず、出世の糸口すらつかめないでしょう。

しかし、それは現代のサラリーマンと同じように、学校で基礎さえ習得していれば、留学の機会を与えられたり、TOEICの点数が昇進試験合格の要件となった時に勉強を始めれば、ほぼ間に合います。現にそれで、世界に出て活躍している人を大勢知っています。それ以外の、大半のサラリーマンや公務員までもが英語を使いこなせないと出世できなくなるような世の中には、なりません。英語で話せる人間が大挙して日本にやってきて、社会の上層部を占めてしまう……なんてこともないとは言えませんが、それでは植民地です。そのような国にならないように努力するべきで、その努力には、まだ間に合いますよ。

日本のエリートには、日本がそのような苦境に陥らないように英語を勉強して、海外に対抗し、国民を守ろうとする気概をむしろ持ってほしいと思うのですが、哀しいかな、国際基督教大学は、キリスト教長老派が設立した、海外植民地支配の官吏養成所であり、生徒の末端のレベルに至るまで、欧米の意向を汲み取ろう、という意識が強いのかもしれません。

誰もが漠然と感じている不安につけこまれたら、一度考えなおした方がいいかもしれません。
「それって、ほんとなの?」
と。


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2012年5月20日日曜日

吉本自体にペナルティーを

吉本興業に所属する次長課長の河本準一の母親が、生活保護を不正受給しているというニュースが最近、大きく取り上げられています。

不況とともに、生活保護の不正受給が社会的に大きな問題となっています。昨年の調査では、生活保護費の受給率は3.7兆円にのぼるとのこと。受給者が増えたために、これまで見過ごされてきた不正受給者に対して、厳しい目が向けられるようになったという側面もあるのでしょう。

河本は、私の好きなタレントの一人です。最初にこの報道を聞いた時は、彼に同情的でした。彼の総所得が最初の報道の通り5000万円だとして、仮に所得税として40%払っているのだとすれば、納税額は2000万円。母親に生活保護費として支給されていた200万円以上の金額を税金として納めているのです。そこまで責められなくとも、穏便にすませてやりたいな、という気持ちでした。

それに、いろいろな事情があります。そこまでのファンでもないため、彼と母親との関係も、よく知りません。仲が冷えきっていて、心理的に援助をしたくなかったのかもしれませんよね。尊属加重規定は廃止されました。過去に虐待を受けていたかもしれない母親ならば、いくら稼いでいようとも、親だからといって必ず養育しなければならない義務もないでしょう。

ただ、芸能人は公人であり、存在自体が人々に大きな影響を与えます。特に貧困層にとって、芸能人の与える影響は、政治家以上でしょう。今回の問題に、一番関係のある人々が、芸能人の支持者です。ここまで噂されている以上、吉本興業は責任ある立場として、速やかに河本に注意をし、たとえなさぬ仲の親であろうとも、公人にはそれ相応の義務があると指導しなくちゃならないでしょう。これまでに受給した生活保護費を返還させるよう、勧告しなければならないだろう、と思ったものです。

ところが、事態はそうは動かず、また、時間が経つにつれて、彼についていろいろなことが分かって来ました。

彼と母親は、なさぬ仲どころか、大変仲がよく、母親について心から感謝をする本を出版していました。


ベストセラーになり、文庫化もされています。


テレビ朝日の報道によりますと、河本準一の母親が生活保護費を受給し始めたのは、平成12年(2000)頃からだそうです。
ちょうど日本で、生活保護費の受給者が100万円を突破した頃から、母親は受給を開始したようですが、息子が売れっ子になった後になっても、ずっと給付を受けていたのだそうです。これはおかしいでしょ。

吉本は日本でも最も大きな芸能事務所であるにも関わらず、河本に反省をさせるどころか、どこがダメだ?! と開き直る態度に出ました。個人情報の保護を打ち出して、噂を流すことを責め立て、自民党議員に対する説明では、
「今は受給していないから、問題ないはずだ」
と弁護士同伴で説明したのだそうです。

これが吉本の態度ですよ。

元々吉本興行は、創業時代から暴力団の山口組との関係が根深いことで有名です。そのためか、いまだに前近代的な体質が強く、世間とのギャップは広がるばかりです。

新人は一ヶ月の間公演してもギャラが一万円しかもらえなかった、などの話をよく聞きます。これでは生活できません。芸人は社員ではなく個人事業主という扱いでしょうから、労働基準法の保護の対象ではないのでしょう。しかし、吉本の搾取はあんまりです。彼らに相応の生活費を保証せず、それでいながら相当の時間の拘束を要求する、というブラック企業的な体質が、吉本には染み付いているので、誰もおかしいことだとは思わないのでしょう。企業自体が腐っているから、、芸人の親族の生活保護費の不正受給の、どこがおかしいのかわからないのです。

吉本興業は、ここ数年、モラルを疑うようなトラブルを多く抱えています。島田紳助の女性への暴力事件や暴力団との親密な交際、中田カウス暴行事件などなど。視聴者は、テレビを観ないという消極的な対応だけではなく、彼らに何らかのペナルティーを与えなければ、弱者からの搾取、暴力組織との親密な関係、暴力当然、モラル無視といった体質は、これからも変わることはないでしょう。

手始めに、吉本新喜劇のスポンサーとなっている会社の商品を買わないようにしようと思います。


本日気になった記事はこちら。↓

2012年5月19日土曜日

2ちゃんねるの後継者を目指すとこはないのか


警視庁は2ちゃんねるをなんとか管理下に置こうと必死のようです。
麻薬特例法違反幇助容疑で2ちゃんねるの運営母体を先日家宅捜査したかと思えば、今度は事業の譲渡先があるシンガポールに捜査協力を依頼しました。これまでの動きとは違い、やけに本格的な捜査が進められています。
2ちゃんねる捜査で協力要請 シンガポールに警視庁

2ちゃんねるの運営にはアングラマネーが多く関わっていると言われています。これからの動き次第では、警視庁に痛い腹を探られることを嫌って関与企業が一斉に手を引く、ということも考えられるでしょう。たまたま2ちゃんねるのドメインを管理している会社が資金難に陥り、その結果、口座が凍結されて2ちゃんねるのドメインが使用出来なくなる……ということだって考えられます。

「2ちゃんねるが消える」ということは考えにくいことですが、100%ない、とは言い切れません。その時に向けた、1000万ユーザーの受け入れ先の準備を既存のIT企業はしておいた方がいいと思うのですが、動きは鈍いようです。

2ちゃんねるがこれほど日本人に人気があるのは、日本人の内的な欲求、表現欲をうまく取り込んでいるからでしょう。日本人は世界の中で、匿名による表現欲がとても高い民族です。世界中のブログの4割近くが日本語によって書かれているといいます。そのほとんどが匿名です。奥ゆかしさが美徳の文化のため、自意識の内圧が高くなるのかもしれません。

匿名で、様々な話題について、いつでも気軽に情報を仕入れることができ、なおかつ自分の意見も気軽に書き込める……そんな場として、さすが老舗、2ちゃんねるはとても良く出来ています。必要な機能だけが揃い、無駄がありません。

mixiは、Facebookを意識したサイト運営を行い、見事に失敗しています。どうせ真似するなら、こちらの形式をもっと取り入れればいいのに。例えばmixiのIDを持っている人間ならば、匿名で書き込める掲示板を作り、ニュースに気軽にコメントをつけられるようにすればいいのに。今よりも、もっと気軽に議論の応酬が始まるでしょう。それだけで、徹夜する人だって、今より多くなるでしょう。

あるいははてな。はてな匿名ダイアリーではいろいろな議論が日夜繰り広げられていますけれども、元記事を書く人間にタグ付を義務化すれば、もっと便利になるのに。[政治][経済][時事ニュース][人間関係]とか……それだけで、過去の記事にも随分簡単にアクセスできると思うのですが。

どんな企業にも、破綻する可能性はあります。2ちゃんねるの消滅が荒唐無稽とは決して言い切れません。既存のネット企業にとって、大きなチャンスが来ようとしているのに、そのための受け皿づくりを今から始めます、ってな宣言を、大手サイトがどこもやらないのはなぜなんでしょう?

すでにふたば☆ちゃんねるがありますので、大方のユーザーはそちらに流れるのでしょう。でも、政治や経済についてのスレが少なく、そのためかそこで流れている情報の質が低いのが残念なところです。年齢層の高いmixiや、ギークの多いはてなが、今よりももっと利用しやすい匿名掲示板を用意すれば、もっと面白い議論の場となるはずなのに。2ちゃんねるが潰れれば、それを契機に、利用者が一気に増え、広告収入の倍増も夢ではないのです。


本日気になった記事はこちら。↓

2012年5月18日金曜日

路上で芸能事務所から(私は男なのに)タレントにスカウトされた話

メガネっ子アイドル・ 時東ぁみちゃんと握手する方法 という記事が面白く、笑いながら読みました。「取材商法」という言葉は初めて聞きますが、面白いアイデアです。取材対象からお金を受け取って雑誌を作るという手法、よく考えたものですな。

取材される側にとってみれば、宣伝としての価値があるでしょうが、読者にとってみれば、まさか宣伝とは思わずに読んでいるわけですから一種の詐欺。こんなことやっていたら、いずれ雑誌自体の信用も失って、雑誌を誰も手に取らなくなるんじゃないかな。

もっともここまで悪質ではないにしても、似たようなことはどこの雑誌出版社もやっているのは、みなさん御承知の通り。旅館を特集した記事を書く場合は、誌面に掲載する旅館から宣伝費を徴収する、とか。

メディア関係者の似たような詐欺商法に誘われた経験が、そう言えば私にもありました。
有楽町駅近くにある交通会館の前を歩いていた時のことです。

「失礼ですが、少しお話、よろしいでしょうか?」

あれはとある夏の日曜日、14時頃だったと思います。三省堂で本を買って帰ろうとした私を、スーツ姿の30代の男性が呼び止めました。

まともなサラリーマン風なので、宗教の勧誘ではなさそうです。何かのセールスなのだろうか、投資用マンションの販売だろうか、それとも宝石や絵画の押し売りだろうか……と束の間、躊躇しましたが、暇だったため話を聞くことにしました。

私「なんでしょ?」
男「私、放映プロジェクトの○○と申します」

その時にもらった名刺がこちら(私はなんでも保管する癖があるので、名刺は今でも保管しています)。
(表にはスカウトマンの名前が入っているので、裏面のみ)

「私、芸能人のスカウトをしております。放映プロジェクトというのは、芸能プロダクションの一つでございまして……」
と、説明を始めました。

要約すると、私の雰囲気がとても魅力的だ、セクシーだと。タレント向きだと思うので、是非うちのタレントとして働いてほしい、ついては、まずプロダクションの面接に来てほしい、というお誘いでした。

ねーよw

そりゃぁね。イケメン扱いされている某タレントをテレビで観ながら、
「俺はあいつよりもマシなはずだ!」
とかジョークで友達に言っちゃったりすることはあったかもしれませんが、自分がタレントとして通用すると思うほど、うぬぼれちゃいない。

彼は個人携帯番号を名刺にメモして私に渡して、
「面接を受ける気があれば、是非連絡をしてほしい」
と言って去っていきました。

別れた後、彼に連絡するつもりはありませんでした。帰宅後ネットで調べてみました。今はググると、いろいろと書かれてしまってます(笑)が、当時はそれほど悪い噂はネットにありませんでした。

それでも疑惑はぬぐえませんでした。なぜ俺に?

ところが時間が経つにつれて、不安よりも好奇心が勝ってきました。芸能プロダクションの中に入ることなんて、滅多にないじゃないですか。たとえ騙されても、面白いじゃん。この日本で、誘われて着いていった先で命が奪われることはなかろうし。

そこで彼に連絡をして会う段取りをつけて、初めて会った日から一週間後の午後3時に事務所へうかがいましたよ。

まず、名前をマジックで書いたプレートを持たされ、上半身のスナップ写真を撮られました。それから芸能人が私と同じようなポーズで撮った大量のスナップ写真集を見せられました。その中には若かりし頃のタモリまでいました。へぇ。

そして、受けた説明によると。
  • 放映プロジェクトは老舗の芸能プロダクション。今活躍しているタレントは、ほとんどが放映プロジェクトと何らかの関わりがある。この芸能人もそうだ。あの芸能人もそうだ(と説明しつつ、スナップ写真を次々に見せてくれる)。
  • 最初は皆無名。まずは『タレント名鑑』に写真とプロフィール、名前を載せる必要がある。これが芸能界に入るための、最初の関門。
  • 『タレント名鑑』のページ数には限りがある。タレント名鑑に載せられるタレントは、端役も含めて約1万人。多いと思うかもしれないが、これには映画のエキストラもすべて含めてのものであり、弱小プロダクションは、ここに所属タレント名を載せることでまず苦戦する。
  • 放映プロジェクトは、老舗のため枠を確保している。未活躍のタレントでも数多く載せることができる。スカウトが街を歩き、これはと思ったダイヤの原石をスカウトして、余った枠にどんどん登録してしまう。未経験でも構わない。これから売っていく。
  • ただ最初に登録料は必要。タレント名鑑に載せてやるから、10万円払え
最後までフムフム、と頷いていましたが、最後にスカウトが言った言葉にまで頷くほど馬鹿じゃありません。頷くのをやめ、「少し考えさせてほしい」と答え、その場はお茶を濁しました。

もちろん、考えるまでもありません。即刻却下ですよ。却下。

こんな1万人が載る電話帳のような雑誌に写真を載せるために、10万円もの大金を出せるわけがないじゃないですか。10万円あれば、海外旅行で豪遊できます。

ちなみに、私をスカウトした理由を尋ねてみました。

なんでも、今のタレントには30代の色気のある層が手薄なのだそうです。ジャニーズではなく、ちょっと癖のある男っぽい男性タレントが不足していて、それが私なのだそうです。

ふーん。

褒められて嫌な気持ちはしませんでした。

「それじゃぁ、登録する気になったら連絡してください!」
と、私が断ったにも関わらず、スカウトマンは明るく言い放ちました。最初から明るいスカウトでしたが、私からすげなくふられてもめげず、別れ際も機嫌がよかったのはさすが芸能界の住人です。

キャッチセールスや宗教の勧誘員だと、こうはいきませんよ。断るとグダグダと恨み節を述べたりするので、嫌な気持ちになるものですが、この放映プロジェクトでは最後まで不快にならなかったことを、彼らの名誉のためにここに記しましょう。

……それにしても。
この手の取材商法、登録商法は、我々が思っている以上に世の中にたくさんあるようです。知っていてそれに乗るなら問題ないでしょうが、知らずに騙されてしまうことだけは、さけたいものです。


本日気になった記事はこちら。↓

2012年5月17日木曜日

コラムの文字数

面白い記事の紹介の前に、コラムを書くという形式を続けて一ヶ月強になります。慣れないうちは数時間かかるけれども、慣れたら1日15分で執筆は終わるだろうと思いつつ続けてきましたが、まだその域には達しません。

1日のコラム記事の文字数が800字~1800字、400字詰め原稿用紙で3枚~5枚の間を行き来しています。よく考えたら、原稿用紙5枚分もの内容を、たった15分で書くのは至難の業です。レベルが違うため一緒にはできませんが、有吉佐和子はエッセイで、1日に書く原稿の枚数は10枚、と述べていました。

少し調べてみますと、小説家は一日にどれくらいの原稿用紙の枚数を書くのでしょうか? という質問がYahoo!知恵袋に上がっていました。どこまで信憑性があるか分かりませんが、当代の人気作家の石田衣良もまた、1日に書く原稿の枚数は1日に10枚程度だそうです。

天声人語、という朝日新聞の名物コラムがあります。現在活字が大きくなりすぎて、文字数が足りないせいか、言葉足らず、内容が薄い、という声が聞こえてきます。その文字数が603字、原稿用紙に直せば2枚程度でしょう。そして、評価の高かった時代の文字数は約800字だそうです。とすれば、原稿用紙の枚数は、3枚程度となります。

天声人語のコラムの担当者は、大変なストレスを抱えていたといいますが、彼ほどではないにせよ、原稿用紙3枚程度の文章を毎日書くことは案外しんどい仕事だということが分かって来ました。

さて、上段の「~分かって来ました。」までの文字数は、6%文字、400字詰め原稿用紙換算で2枚、ここまで書くのに20分。この文章にあと少し蛇足を付け加えるとしても、合計30分、文字数800字程度のコラム執筆が、1日に負担なく継続できる文字数ということになりそうです。

それに加えて、「本日紹介するサイト」を探し、そのリンクを貼り付け、そのサイトがどのようなサイトなのか、少し紹介する……意外に時間がかかります。

ニュースサイトを運営している執筆者の苦労、努力を、自分でサイトを運営してみて初めて分かりました。サイトの紹介の前に、かなりの文章量のコラムを書き、しかも内容が面白いまなめはうすTBNなどは、素晴らしいですね。以前は他の面白記事のリンクを毎日張っていた秒刊SUNDAYがそれを辞めて、面白記事の執筆だけになったのは、作業量を減らすためでしょう。


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2012年5月16日水曜日

Google mapにすら映らない透明な家

家は多くの人にとって、人生で最も高額な買い物です。年収の数倍の価格のものを30年以上のローンで買うことなど、家以外には滅多にありません。

そのためか、「特別なものにしたい」とこだわり、逆さになった家だとか、全てのものが六角形で統一された家だとか、常識を凌駕する建物が建てられることもしばしばあるようです。それぞれに家主の個性が現れています。

この建物の存在を知った時、ぶったまげました。

★ 透明の壁で作られたスケスケの家JA83「House NA」!!

ニュースを読んで、最初はコラ画像だろうと思いました。次に、建築予定のCGかイラストではないかと疑いました。ところが、上記リンク先に掲載されているYouTubeを観ますと、建築済みの建物であり、実在すると知って驚きました。

場所をGoogleで調べてみましたが、ストリートビューで立ち止まることが出来ません。存在そのものがプライバシーの塊のような家なので、Googleが気を利かせて、ストリートビューから家の存在そのものを消してしまったのかもしれません。

地図で見る限り、周りは住宅地ですし、家の前の通りは狭く、交通量は少ないようです。案外、プライバシーは保たれるのかもしれません。


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2012年5月15日火曜日

ローマの休日の秘密を知った

『ローマの休日』という有名な映画があります。

お忍びでホテルを抜けだしてローマ観光を楽しもうとするオードリー・ヘップバーン演じるヨーロッパのアン王女と、そのスクープ記事を狙って近づいたグレゴリー・ペック演じるアメリカ人記者。2人の仲はやがて急接近するものの、身分の違いは2人を永遠に分かち、ローマのはかない休日が終わる、という話です。

昔テレビで二度ほど観ました。オードリー・ヘップバーンが可愛いかったというイメージと、粗筋が記憶に残っていました。

ところが先日と極東ブログというサイトにて、映画を観た時には分からなかった秘密を知りました。アン王女とアメリカ人記者は、男女の関係にあったという事実です。

「ローマの休日」でアン王女のベッドシーンが想定されている箇所について

詳細はリンク先を読んでいただくとして、おっしゃることは至極ごもっとも、指摘されてみればまさにそのとおりとしか思えない、セリフのオンパレードです。

そういえば、当時……子供の頃にこの映画を観た時に、不思議だと感じた記憶がかすかに残っているのです。

アン王女が、王国の追手から逃げまわり、川に落ちてずぶ濡れになります。その夜に2人は初めてキスをするのですが、その後一夜明けて、場面は急展開、アメリカ人記者の部屋でくつろぐ2人のをカメラは映し出します。

ここの雰囲気が、やけに妙なのです。ついさっきまでの緊迫したシーンとはそぐわない、妙に落ち着いた、静かな空気……今ならわかります。あれは情事の後の、男女の微妙な雰囲気を描いたものだったのだと。道理で子供にはわからなかったはずです。しかしわからないなりに、変だと感じたのでした。

事後の演技をしても気品ある、オードリー・ヘップバーンのような女優を、最近見かけませんな。




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2012年5月14日月曜日

渡邉恒雄と『キッズ・リターン』 後編

(昨日の続きです)

『キッズ・リターン』は、いくつものエピソードを重ねながら、グイグイと観客を引っ張っていきます。スポーツ、暴力団、芸人のそれぞれの世界。さすが、ヤクザな世界をよく知っている北野武。

ただ、今回お話したいのは、ストーリーとは直接関係のない以下のエピソード。

安藤政信が演じるタカギシンジは、ボクサーとしての栄光をつかむため、努力と才能によって勝ち星を上げていきます。トレーニングや節制を重ねる彼でしたが、同じジムの先輩にそそのかされて薬物でダイエットを試みるようになり、自滅していきます。

対する金子賢演じるミヤワキマサルも、出世を重ねます。若頭を飛び越えて組長の座を射止めるのですが、一介のチンピラが組長となるための方法は、ほとんど描かれません。

ところが、ミヤワキが何かの会合を欠席(遅刻?)した際に、ヤクザの親分衆が、若頭に向かって、
「あいつはカネで組長の座を買ったんだ」
と吐き捨てたシーンで、方法の一端が、明らかになりました(うろ覚えで書いています)。

組長になるための費用を、彼はどうやって捻出したのでしょう? 風俗店経営の商才があったのか、もしくは親に出してもらったのか。当時考えたのは、前者です。いくらなんでも、ヤクザになる子供にカネを出す親はいないだろうと。

しかし、昨日取り上げたナベツネのエピソードを読みつつ、案外、親は子供のためにはカネを出すものかもしれないと思いました。

新聞記者の初任給なんて知れたものです。仲間を集めて毎日のように飲み食いさせることなど出来る訳がありません。とすると、実家の援助があったと考えざるを得ません。

ナベツネの亡父のみならず、ナベツネの叔父もまた、銀行員として巨額の資産を作り上げた立志伝中の人物だったといいます。権力者がどのような行動を取らなければならないのか、渡邉家ではよく分かっていたはず。そのための援助は惜しまなかったのではないか、と。

……子供がブンヤでもヤクザでも、同じかもしれません。

フィクションとはいえ、北野武も、まったくあり得ないことは想定しづらかったはず。彼の昔からの友人には暴力団関係者が多いといいます。その中に、ミヤワキのように出世したモデルとなるヤクザがいたのかもしれません。

子供が出世街道を歩むためには何が必要なのかを知っていて、そのためにはいくらでもカネを出せる親がこの社会にはいるのでしょう。描かれていないことなので、確かめようがありませんが。



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2012年5月13日日曜日

渡邉恒雄と『キッズ・リターン』 前編

『渡邊恒雄 メディアと権力』 (講談社文庫)でナベツネが語るところによれば、彼は入社時から権力志向が強く、出世するために戦略を立てて、行動していました。その方法が、「フラクション戦術」と呼ばれるものです。
渡邊恒雄 メディアと権力 (講談社文庫)
この戦術は、彼が東大生のときに共産党員獲得手段として取り入れ、大成功をおさめたものの応用です。共産党という身分を隠して団体や組合に入り込み、密かに共産主義者を増やしていく手法ですが、それを自分の出世のために使うのです。
「新聞社で政治部長になる前に何人ぐらいの仲間をつくるか。たとえば十人子分をつくれば、政治部は好きなように動くわね。仲間をつくるにはまず会合することだ。研究会やダンスパーティーなどあらゆる会合で人の輪をつくっていく。政治部時代だって僕の家で十数人が毎土曜日集まって、政治の研究会や英会話の勉強会をやっていた」
渡邉恒雄の評伝『渡邊恒雄 メディアと権力』 (講談社文庫 P100 L2)
グループ活動が好きな男とはいえ、ペーペーから毎日のように会合を開き、たくさんの仲間を集めたというのですから、大したものです。

「一緒に飲もう」

と誘われても、人望がなければ人は集まりません。人望があっても、費用がかさめばそのような会合に段々と人は集まらなくなります。会費制だったのでしょうか? いや、そんなケチなことをしていては仲間を増やす、という目標を達成できないでしょうから、ある程度、彼の手出しだったのではないかと推測します。

彼の家庭は金銭的な余裕はありました。彼が8歳の頃に亡くなった父親は、元銀行員。戦前の銀行員ですから、今以上のエリート中のエリートといえます。亡くなった時にはすでに都内に11軒の貸家を所有していた資産家です。裕福という以上の家庭であり、戦後の高度経済成長期には土地はかなりの値上がりをしたでしょうから、彼の自由になる手元資金も、潤沢にあったはず。

同僚と自宅で毎週パーティーを行い、部下を毎週のように飲み食いに連れ回したりする余裕は十分にあったでしょうから、実家からの援助もあったのではないか、というのが私の推測です。

ここで、ふと頭をよぎったのが、北野武(ビートたけし)監督の『キッズ・リターン』という作品。
2人の青年の挑戦と栄光、そして挫折を描いた素晴らしい青春映画です。



内容を知っている人も多いでしょう。

高校時代の親友2人が、ボクサーとヤクザという2つの異なる道を歩みます。お互いに刺激を受けながら、それぞれの道でトップをつかもうとあがく2人。栄光をつかんだのは一瞬、周囲によって足を引っ張られ、挫折を味わい、二人共身体をボロボロにしながら転落していく、という物語です。

(この項、明日も続きます)






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2012年5月12日土曜日

魚住昭の『渡邉恒雄 メディアと権力』が面白い

渡邉恒雄の半生を描いた『渡邊恒雄 メディアと権力 (講談社文庫)』という作品をそれほど期待せずに読み始めたところ、抜群に面白かったです。


明治や戦後の会社の創業者などの伝記には、血沸き肉踊るような体験談が多いため、とても興味を惹かれます。ところが2代目、3代目ともなると、初代ほどのアクはありません。

常識人が多くなり、企業の創業者にあるような、留学しようとしたら奴隷に売られた、というような破天荒なドラマは少なくなります。

「2代目社長は、辣腕家であった。1985年、高品質を求めるトヨタに自動車の部品納品に成功! ○○地方の部品工場としては初の快挙だった! 鳥肌が立つほどの感動が、会社全体をおし包んだ」
と煽り文体で書かれても、申し訳ありませんが、業界外の人間にとってはそれがスゴイことだという実感は湧きません。友人をアメリカ軍に殺されアメリカに復讐するために科学技術立国を目指した、というような破天荒なドラマを創業者以外に期待してはいけません。

だから、渡邉恒雄氏の伝記に期待していませんでした。いかに個性的なキャラクターとはいえ、東大卒のエリートです。社長になるまでのエピソードに劇的なものなど、ないはず。サラリーマンとして上司にゴマをすりつつ、中間管理職として部下をまとめあげ、大きな業績をいくつも着実に上げ、何十年もかけて組織の頂点に上り詰めていく経歴を読んでいても面白くないだろう、と予想していました。

それなのに本書を手にとったのは、雑誌か何かで「彼はヘーゲルやカントを信奉していて、迷うことがあれば『実践理性批判』などを紐解いて行動の指針としている」ということが書かれていたからです。

私は、経営学のような具体的なHow to本ではなく、抽象的な哲学書を基に思想を練り上げ、現実に応用できる人間が好きです。だからナベツネの考え方、思想の軸を知りたいと思って、その半生記を読み始めたのであって、ドラマには期待していませんでした。

ところが、権力を勝ち取るまで彼がとってきた手法の数々を知ることは、ページをめくる指が遅くてもどかしくなるほど面白いものでした。

最初に感心したのが、東大入学してすぐのエピソード。ナベツネは東大入学後、共産党に入党するも、党の方針にすぐに疑念を抱きました。全国一斉のゼネストで、変電所を爆発させ、全国への電力供給をストップすることを求められ、組織の目的のために個々人の道徳を抑えつけなければならないことに怒りを感じます。

「党の規律よりも、個人の道徳などの主体性が優先されるべきじゃないか」

若いころの渡邉は、今のナベツネとは真逆の理想を主張して、共産党を変えようとしましたが、賛同を得られずに共産党から追放されたそうです。

転向したとはいえ、企業からは嫌われる元共産党員。その経歴がたたり、まともな仕事にはつけず、当時は一流とはみなされない、読売新聞という関東のローカル紙に入社したのだそうです。

そこで彼は、負け組から脱却するために、政治部記者として、連日スクープをねらいます。大物政治家に食い込み、信用を勝ちとりスクープを連発しながら、この政治家の個人秘書として政治に深く介入。日韓関係正常化に尽力するなど、政治のキーパーソンとして活躍。その過程で読売新聞社の社長から信頼を勝ち取ります。

しかし当時の主流派の読売新聞の社会部からは目の敵にされ、ワシントン支局長へ異動となり、その間に社内の渡邉派が次々に主流から外される、という再度の挫折も味わいますが、なんとかカムバック。カムバック後、今度は社内の反渡邉派を次々に粛清。紆余曲折を経て、読売新聞社のトップの座を射止めることに成功するのです。この過程がドラマのようで面白いのです。

戦後の政治や歴史に多少興味のある方なら、自分たちの知っている歴史の影で、渡邉人脈がどのように関与してきたのかを知って慄然とすることでしょう。

しばらく、ナベツネ関連の記事を続けて書こうと思います。




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2012年5月11日金曜日

人たらしテクについて

★ 強面の社長が教えてくれた人たらしテク という記事が面白かったです。ただ、箇条書きの項目と、それぞれに書かれた理由が少しずれていたので、自分用に、下記のようにまとめてみました。
  • 「ゆっくり短く話せ。考えながら行動するため」
  • 「無理な要求をすることを、交渉の冒頭に告げておけば、優位に立てる」
  • 「曖昧な言葉を使わない。逆に曖昧な言葉を使う相手の言葉尻を捉えて畳み掛けていく」
  • 「口角を上げなくても良い。不快に感じる人もおおい。笑う時に口を開くことがもっと大切」
  • 「話す時に手を口元にの近くに持って行かない」
  • 「良いことだけやろうとするな。ただし自分にとって罪悪感を感じることはしない」
  • 「webの世界は成果が出るまでの潜伏期間が長いので、毎日3年続けてみることが大切」
  • 「リスク分散。収入源を何個も持っておくこと」
  • 「国内に固執するな」
  • 「雇われなら収入0と考えろ」
  • 「役に立つかどうかは他人が判断する。意識するな。それより徹底すること」
  • 「時給で仕事を考えるな。一瞬一瞬の瞬給で考える」
  • 「声が大きくうざい奴には、そいつより「大声」で話せ。いつのまにか相手の声は「普通」になっている。
  • 「普段は無表情でいろ。ここぞという時に顔をくしゃくしゃにして笑え」
  • 「口下手を演じる」
  • 「言葉で信用させるな。何か一つでも何年でも毎日継続していれば勝手に信用される」
  • 「好かれようとするな。実は八方美人が一番嫌われる。それより人を好きになれ」
  • 「オーバーに共感する」
  • 「マイナス思考人間を遠ざける」
  • 「愚痴を聞き流す」
  • 「他人の悪口を言う奴は、気付かずに自分の弱点を話している場合が多い」
  • 「先手を取って自分から挨拶をしてやれ。これで主導権はお前のもの」
  • 「取りあえず動く」
  • 「毎日続ける特権」
  • 「テレビをちょっと我慢する」
  • 「約束の時間や出社時間より少し早めに目的地へ到着する」
  • 「話を聞く。但し話の内容と言葉は覚えておけ。それが相手の弱点になる時がある」
  • 「メモを取る。一生懸命記憶する必要が無くなる。さらに話す相手も悪い気がしない」
  • 「名前は家族ごと覚える。ペットの名前など会話で出現した名前は全て覚えておく。確実にお前をいつまでも覚えてくれる」
  • 「沈黙する。これほど相手の感情を揺らし、主導権を取れる方法はない」
  • 「尊敬出来ない人に対するお辞儀」
  • 「親切を受けた時にすいませんと言わない。代わりにありがとうと言う」
  • 「相手のつまらない話に対して討論する必要無し。『そうですね!なるほど!』と共感し満足させてろ」
  • 「他人が見てない所でこっそり掃除や良い事などをする」
  • 「思い切りやれ。中途半端は二度手間になる」
  • 「短く分かり易く伝える。要領が悪い奴ほど書籍から得たような難しい言葉と専門用語を使い、長く話す」
  • 「体型にも気を使え」
  • 「老いた人と話せ。時にお前が想像も出来ないような助言をしてくれる」
  • 「孤独を恐れるな。本当の友達や大切な人は何年連絡をとってなくても、お前に対する態度は変わらない」
  • 「動いてしまった後でどうするか考えろ。言っておいた事をやらない、考えて行動が遅くなるのは犯罪」
  • 「功績。出来る奴はそんな事忘れて、今やらなければならない事を地道に頑張っている」
  • 「お墓参り」
  • 「健康になりたくば、風呂に入っている時に自分の体に触れながらいつもありがとうと感謝」
  • 「両親の不仲は子供には解決出来ない。お前に出来る事は早く自立する事」
  • 「貧困、殺伐。そういった映像やニュースを一切見るな」
  • 「絶対にため息はつくな」

それぞれの詳しい理由は、元記事( 強面の社長が教えてくれた人たらしテク )を御覧ください。

今日は長くなったので、ここまで。

2012年5月10日木曜日

警察発表も当てにならない

先日の5月1日、果物ナイフを隠し持っていた容疑、准教授を逮捕 という記事を紹介した際に、
もっとうまい言い訳をすればいいのに。手紙をよくもらうので、封をナイフで開けるのが習慣だ、とか。護身用だ、なんて馬鹿げた嘘をついて、誰が信用するというのでしょうか。 
というコメントをつけました。ところが、 秋葉銃刀法の嘘  などの記事を読むと、警察の誘導に沿った回答をしないと、いつまでたっても保釈されずに長時間拘束され、警察の期待する回答をせざるを得ない状況に追い込まれるそうです。

2007年の体験談ですが、内容は恐怖。6時間拘束して、理由を説明しても警察は決してそれを認めず、警察の期待する「護身のため」という言葉をなんとかして言わせようと必至だったといいます。たかだか親指の第一関節の先ほどの刃物で、どうやって護身出来るというのでしょう。

警察も、被疑者を拘束した手前、その行為が正当であると世間に認めさせないといけません。単純に「それは文房具で、手紙の封を切ったりしています」という回答では、何時間も拘束する理由としては世間が納得しません。見せしめのためにも、護身用として(相手を刺そうとして)刃物を持ち歩いている人間を逮捕するのは当たり前でしょ、と宣伝する必要があります。筑波大の准教授も、「護身用だ」と言わない限り、保釈してもらえなかったのかも。

警察の発表であっても、鵜呑みにしてはいけませんよね。
愛知県警春日井署は22日、中部大学(愛知県春日井市)の准教授で、同県春日井市東神明町、大○朝○容疑者(62)を銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕した。「護身用に持っていた」と供述しているという。発表によると、大○容疑者は同日午後8時半頃、同市白山町の歩道で、刃渡り約10センチの果物ナイフを隠し持っていた疑い。周辺で自動車のタイヤがパンクさせられる事件が相次いでいたことから同署員が警戒していた。大○容疑者が目をそらしたため、署員が所持品の確認を求めると「急いでいる」と立ち去ろうとしたという。ナイフは手提げカバンの中に入っていたという。(ヨミウリ・オンライン 4/23)
ちなみに元記事、先月23日の記事にも関わらず、削除されています。遡ると数ヶ月前の記事も閲覧できるので、ガセネタだったので慌てて消したのでしょうか? 誤報の多い読売新聞だけに、対応には手慣れたものです。

容疑者本人の名誉のために、元の記事には書かれていた名前を伏字にしました。 



本日の気になった記事はこちら。↓

2012年5月9日水曜日

カネで解決できる正義

日本では殺人事件被害者への補償が薄い、とよく言われます。

加害者側に支払能力がない場合が多い上、支払能力がある加害者が賠償金を支払わなくとも、実刑は受けません。

被害者が強制的に取り立てるためには、加害者の貯金口座を被害者が確定しなければならないなど、煩雑な手続きが必要。結果、被害者が泣き寝入りする場合が多いのが現状でした。

ところが、「逃げ得許さない」殺人事件被告から2億円超回収 によれば、弁護団の尽力により、被害者の賠償に当てることに成功したそうです。
破産手続きを利用して、財産を隠される前に加害者の財産を事前に差し押さえたのです。
大阪府内で複数の男女に暴行し、うち2人を死亡させたとして、殺人などの罪に問われた男性被告=1、2審無期懲役判決、上告中=に対し、被害者や遺族ら15人が破産を申し立て、1人当たり数百万~4千万円の被害弁償が行われていたことが2日、関係者への取材で分かった。
これはいいアイデア。加害者が資産家だったからこそ可能なアイデアとはいえ、これまで聞いたことのない方法です。弁護団の作戦勝ちといえます。

慰謝料総額が4億6千万円と巨額であり、加害者に莫大な資産があったからこそ、弁護団も動いたのでしょう。カネがなければ正義も通しづらい世の中ではありますが、この事件対策は、弁護士にとってもやり甲斐があったことでしょう。

それにしても、2億円もの資産のある人間が、どうして殺人を犯そうと考えたのでしょうか。
暴力団の組長か何かではないか、と考えながら、調べたところ、どうやら暴力団幹部の犯行で間違いなさそうです。

☆ 死体遺棄,傷害致死,傷害,殺人被告事件 平成19(わ)2548 平成22年01月25日 大阪地方裁判所
☆ 無期懲役判決リスト 2010年度 (このサイトの四人目の犯人。「 森本浩一 」で検索してください)
☆ 官報 破産手続終結記事
暴力団幹部森本浩一被告は大阪府阪南市内の自宅で同居していた無職男性(当時32)の存在が疎ましくなり、2001年12月~2002年4月、男性を金属バットで殴るなど日常的に暴行。2002年5月上旬、衰弱していた男性を大阪府岬町の漁港から知人男性F被告に指示して海へ突き落とし、竹竿で突いておぼれさせ、殺害した。
2006年12月24日午前2時頃、大阪市西成区のアパートで知人の兄だった男性(当時34)に暴行。男性は外傷性の腹部内出血により午後6時頃に死亡。
森本被告の知人3人は合同捜査本部に対し、約10年前、森本被告に指示され、40歳代後半の無職男性の遺体を埋めたと供述。2009年1月29日、兵庫県三田市の山中で、白骨死体の頭や足の骨片を発見した。
男性と同居していたり、知人の兄の死因が外傷性の腹部内出血であるところからすると、ホモだった可能性が高そうです。暴力団とホモ、というと、意外な組み合わせに思えますが、珍しくはないといいます。

究極の体育会系的な組織内では、ボスに対する絶対的な服従と、配下に対する責任感が、お互いの親愛の情へと移りやすいとか。それは容易に、性的な愛情へと進化していくそうです。

ボノボというチンパンジーの一種は、群れの中の関係を維持するために、「ホカホカ」という性器の擦り合いを行う習性を持っています。
この行為、異性間だけではなく、同性間でも頻繁に行われるのだとか。
他種のチンパンジーでは群れの中で喧嘩が絶えないのに比べて、ボノボの群れの中はとても穏やかです。
性的な接触が、組織の中のストレス緩和に役立っているのでしょう。

同じように、ストレスの多い暴力団の中での人間関係を円滑にするためのホモ行為だったのかもしれません。
しかし、彼らの場合、愛憎も絡んだ殺人事件として収束してしまったのです。南無三。

ただ、3件も人が殺されながら、殺人として起訴できたのは1件だけというのは、やるせない話です。




本日気になった記事はこちら。↓


2012年5月8日火曜日

大切なトータル収支計算

原発とネズミ講には共通点があるそうです。原発とネズミ講の共通点によれば、それは、
「トータルの収支計算」をさせないで、「目の前の収支だけに目を向けさせる」ということ
だとか。言い得て妙ですね。

ネズミ講は、儲からない人がいて初めて成り立つシステムです。消費者がいるから儲けられる、という意味では他の商売と同じですが、ネズミ講は単なる消費者の存在を認めず、
「参加者全員が儲けられる」
と宣伝している時点で大嘘となります。

「あなたは儲かるんだよ」「権利収入で働かずに暮らせるようになるよ」と言って、煽るだけ煽るのがネズミ講をすすめる人々に共通する手法です。ほとんどの人が儲けられないことに触れませんし、気づかせません。

ネズミ講では個々人のトータル収支に対しても目を向けさせないようにする工夫が数多く隠されています。

たとえば、短時間で大きく稼ぐことができるほんの一部の人を、さも全体象のように見せるとか。

実際は、運と能力に恵まれていない会員が稼ぐためには長時間の努力が必要で、売上が悪いと、「この研修に参加しろ」「もっと活発に声を周囲にかけなさい」とアップから盛んに指示されるようになり、プライベートな時間がなくなるのです。

たくさんのダウンがつけばいずれ働かなくても食べていけるようになる、という甘い餌もそのひとつ。

部下が増えれば増えるほど、人間関係の調整だけで膨大な時間を取られます。裏切ろうとする人間に制裁を加え、おかしな人間が混じり込んできたらそれを切り捨てるために知恵を働かせ……組織で働いていた時以上の時間を取られ、たまの海外旅行くらいでしか、羽を伸ばせなくなるのが実情です。

ネットワークビジネスに関わった友人を数人知っています。傍観者として観察していると、楽な仕事というのはないのだな、ということがしみじみとわかりました。

手品師が右手を動かすときは、左手でタネを仕込んでいる時だとか。隠したい真実を隠すために、美しい夢を掲げて人々を軽い催眠状態にかける……古来から、大衆を少数が支配するために利用してきた手法は同じのようです。


放射性廃棄物の管理コストや危険性を隠して、「電気代が安くなる」「地域に多額の資本が注入される」と原発を宣伝してきた東電もまた、同じなのでしょう。




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2012年5月7日月曜日

コメントを差し挟んだ

はてなの「バカどもと歴史物語を共有するなんてまっぴらごめんだね」という記事を読んで、読み過ごすことができなくなってコメントをしてしまい、今後悔をしています。

論争は無駄で無益だと、以前ネット上の論争を重ねた結果、学びました。果てしない議論の泥沼に引きずり込まれ、時間ばかりが取られ、自分の書きたいことを書く暇がなくなります。

ところが連休中という気安さもあって、ついつい、皮肉交じりのコメントを残してしまったのがそもそもの誤り。ブログ主からは穏やかな、それでいて的を射た反論が返ってきたので、礼を失したことを悟って後悔しました。


このまま食い下がろうかな、と思いましたけれども、どうせ長くやりとりを続けても、結論は出ないものです。議論の過程で学べることもありますが、結局は、「お互いの基礎になる価値観が違いだよね」という結論で終わることが多いものです。

ナショナリスティックな歴史物語とは、何も努力せず、何も成し遂げていない人間に虚構の偉大さを付与する極めて卑しい営みであると指摘してあげよう。
と語るhazama氏に対して、だからこそ、共同体の歴史を作り上げていくことは素晴らしい営みなのではないか、と考える私とは、基本的な価値観が異なります。

ナショナリスティックな歴史物語が、努力しても報われず、何も成し遂げることのできなかった卑小な人間にすら、偉大なる虚構を抱く権利を与えるのだとしたら、それは大勢の人々を幸せにする営みではないでしょうか。


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2012年5月6日日曜日

HDDの破壊に挑戦 後半

昨日に続いて、HDD破壊についてのレポートです。

あまりに頑丈なため、HDDの躯体を分解してインテリアとして活用できないことを知った私は、当初の目的に立ち返ることにしました。

すなわち、HDDに保管されていた情報を、絶対に読み取れなくするために、HDDを分解するのではなく破壊することにしたのです。

まずは、ドライバーを上から叩きつけました。……ところが、傷が少しついただけでした。

握り手をしっかりとつかめるもので叩いてみてはどうだろう? そう思って、はさみの先をたたきつけてみました。
ところが、全然壊れる気配がありません。これには唖然としました。

昔SEの専門学校に通う友人から「コンピューターの記憶媒体は、髪の毛一本で本体と触れているから、下手に扱うとすぐに壊れるぞ」と注意されたのを、今だに覚えていますが、あれは嘘ですね。

火で炙ってみたら、どうでしょう?

家にある火力で一番強いものは、コンロです。爆発しないかな……と恐る恐るコンロで炙ったのが、この動画。



そして、充分熱したところで、急激に冷やす。金属を破壊するためには基本中の基本です。
……ええええ。

HDDは無傷でした。水の蒸発する時の「ジュッ」という音さえしませんでした。どういうことなのでしょう。

最終的に、HDDにハサミを強く何度も押し付けて、傷をつけただけで満足するしかありませんでした(それだけで2時間かかりました)。

物理的破壊を素人が自宅でしようとしても、無理ですね。ソフマップのような専門家に依頼したほうがよさそうです。



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2012年5月5日土曜日

HDDの破壊に挑戦 前半

先日パソコンを買い換えました。古いパソコンのデータを削除するために、フリーソフトで全部消去した上、HDDを初期化。これで、データの復元はできなくなったはずです。

しかし、最近のデータ復元技術は大変進歩していると聞きます。結局のところ、確実なのは物理的な処理だと、ヤフー知恵袋にも書かれています。

完全な安心を得るために、先日、パソコンを分解してHDDを取り出してぶち壊すことにしました。


パソコンは日立製です。素材はプラスチックなので、分解なんて簡単だと一見思えそうです。

しかしそれは誤りでした。カッターを使って切断を試みましたが、文字通り「刃が立たない」のです。私達が普段日常生活で見かけるプラスチックとは違って、非常に硬いのです。

金属板とプラスチック躯体の間にドライバーを差し込んで、テコの原理を使ってこじ開けようとしても、びくともしません。小一時間格闘して、それが岩のように頑丈であることを知りました。HDDは情報を保存する、パソコンの最も大切な装置。簡単に壊れるようでは困りますが、今はそれがうらめしい。

普段は機械いじりなんてしませんから、役立ちそうな工具などは持っていません。細いラジオペンチでねじ山を挟み込んで、金属製の裏蓋をねじる、という方法で、ここまでHDDを変形することに、ようやく成功しました。
HDDの円盤は、鏡をもっと磨き上げたような美しい姿をしていまして、息を呑みました。まるで宝石のように、美しい。そこで「部屋のアクセサリーにしよう」と考えましたが……無理でした。HDDと躯体の接続部分があまりに固く、HDDの円盤だけを取り外すことができなかったからです。困りました。


この件、明日に続きます。



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Blogger を編集するための方法

Bloggerとは、Googleが行なっているブログサービスですが、日本ではあまり人気がないため、日本語による解説がほとんどありません。

このブログのテンプレートも、その改変も、試行錯誤しながら行っています。

HTLMもよく理解していないド素人である私が、ド素人なりに理解したことを、このページに覚書として記載していきます。

まずは、テンプレートから。
備え付けのBloggerのテンプレート(template)では、引用文を地の文と明確に区別できるものがありません。そこで利用したのが、

★ Blogger templates

です。

ところが、文字が小さく灰色で読みにくい。どこを直せばいいのか、ググってもわかりません。

仕方ないので、
テンプレート>HTMLの編集>続行>「ウィジェットのテンプレートを展開」にチェック
を開いた後、"color"という単語をctrl+F で検索をかけ、一つ一つの"#******"(色コード指定記号)に地道に#000000を当てはめていってはプレビューで確認する、という行為を行うこと小一時間。

わかりました。
.entry-title{
    text-shadow: 0 2px 0 #DADADA, 0 4px 0 white;
color:#000;
}
.entry-title a{
color:#000;
background: #fff;
}
.home .thumb{
border-color:#E8E7E5;
}
.thumb a{
border-color:#C5C4C1;
}
#content .post{
color:#******;
}
上の色を塗った部分を修正することで解決しました。また、リンクの部分の色は、
}
#sidebar {
border-top-color: #bbbbb5;
border-left-color: #fff;
border-right-color: #fff;
}
a {
color:#******;
}
の色塗り部分を修正することで解決しました。



2012年5月4日金曜日

人間関係図

男女関係を統計的に調査した研究者によれば、関係は一部に偏っていることが図示されました。

高校生の相関図について調べたこの記事では、性病検査のために、ある高校で男女関係を図示したところ、鉄道の路線図のような図ができあがったそうです。

もっともこれを鉄道の路線図だと感じるもの、関東や関西の人間に限るのかもしれません。環状線は日本とイギリスにあるくらいで、一般的な構造ではないそうです。

面白いですね。人間関係は複雑に見えますが、図示してみればシンプルで、規則性があります。

記事によれば、不幸な者どうし、幸福な者どうしで固まる傾向もあるとのこと。同じ問題を共有していないと、お互いに分かり合えない、といった結論を導き出すこともできるでしょうし、引き寄せの法則のようなオカルティックな結論を導き出すことも可能です。どうせなら、お互いに尊敬しあい、認め合い、助け合える仲間の一員になりたいものですね。


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2012年5月3日木曜日

歯石を取るのは大切だ

歯医者の予約が思うようにとれません。
評判のいい歯医者なので元々予約が取りづらい上に、連休のために普段の診療時間と体制が異なっているために、お互いの時間がなかなか合わないのです。

仕事の関係上、平日の夜か土日しか、歯医者に通う時間がないために、どこで予約を取るか、悩みどころ。その歯医者は土曜日も営業しているため、今週の土曜日だったら大丈夫だと踏んでいたのですが、土曜日は常に予約でいっぱいだそうです。結局、予約を取るのは来週に伸ばしました。

ちなみに、歯医者に行く予定を立てたのは、歯石除去の必要性を感じたため。つい最近、この動画を見たからでした。

歯石がこれほど、固く板状になることがあるとは知りませんでした。

自分の歯は、動画ほどひどくはないはずです。歯の裏側を舌でまさぐっても、ザラツイた歯石の感触を感じられません。しかし、歯の裏側を磨くのはついつい忘れがち。自分で気づかないだけで、歯石が増えていることは充分考えられます。実は歯だと信じていた部分が歯石になっているということだってありえます。

以下のサイトをごらんください。

歯周病の予防

新潟市の歯科医院のサイトで、歯周病の怖さを写真で紹介しています。いくつもの歯石ががっつり付着した写真が紹介されています。



ぞっとします。ちなみに歯石には二種類あります。歯垢が固まった「歯肉縁上歯石」は除去しやすいそうですが、「歯肉縁下歯石」は歯茎の滲出液や血液が固まったものなので、歯磨き程度では簡単には除去できないんですって。

歯石をほっておくと、いざ歯石をとった時に、歯茎が痩せてみえます。そうなると、みっともないですよ。みなさんも注意してください。



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2012年5月2日水曜日

自然を模した空調システム

環境 - アリ塚と空調、自然に学ぶエネルギーによれば、シロアリのアリ塚を模倣したはずの空調システムが、実は誤解に基づいて作られたものだったそうです。本来のアリ塚は、それよりももっと複雑なものだったとのこと。

昆虫の能力は、哺乳類などの動物の能力をはるかに凌駕します。その小さな体からは想像もできないほどのパワーを秘めていて、例えば、ノミが体長の60倍の高さにまで飛び上がることは有名ですが、他にも何百キロという距離を飛ぶ蝶だとか、体重の何十倍もの重さの獲物を持ち運ぶアリだとかもいます。昆虫のもつ能力にはまだ解明されていないものも多く、研究すれば、もっともっと、人間の生活は便利になることでしょう。

昆虫だけに限らず、自然にはまだまだ、人間には仕組みが知られていない多くのシステムがあります。環境 - 発電する葉、自然に学ぶエネルギーの光合成なども、そのうちの一つ。植物と同等の光合成を行う仕組みを、人類はまだ発明することができません。自然は偉大です。

ところで、冒頭の記事の中にある、1996年に建てられたという建物は、アリ塚の機能を誤解して作られ、それでいて効率的なものだったといいます。こういう場合のオリジナリティはどちらにあるのでしょうか。


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2012年5月1日火曜日

立川明日香のブログの更新

「美しすぎる市議」立川明日香のブログが更新されました。
立川あすかの皆で立ちあがるブログ / 記事タイトル: 更新 
芸能事務所の出来の悪い作文を読んでいるような居心地の悪いものを感じました。何一つ訴えるもののない、綺麗事、イメージだけを書き連ねた無内容な作文。

世間を騒がせた、という言い訳では、何を間違っていると考え、何を正しいと考えているのか、明確なものは伝わって来ません。離婚のために新居に移ったものの、選挙活動が重なり、家には寝に帰るだけだった、とか、何かしらもっともらしいことを書けばいいのに。

あるいは、住民票がある場所ならば被選挙権があると信じきっていたならば、そのことを堂々と主張し、謝るべきところは謝り、選管で実情を知らせたのに、そのことを問題視されたことはなかった、選管ですら把握できていない法律自体が問題だ、などと主張してもいいのに。

とはいえ、事を荒立てるのではなく、じっと亀のように嵐が去るのを待つという戦術の方が、いたずらに大声で騒ぎ立てるよりも、最終的には勝利を収めるものかもしれません。名前は売れたので、何をするにしても地元の有権者の注目を集めることは必至です。同じようにチラシを撒くにしても、名のない一市民がチラシを撒くのと、テレビで何度も取り上げられた、「選管から投票無効にされたかわいそうな元候補者」が撒くのとは、意味が違います。

もしかして、この知名度を生かして、次は県会議員か国会議員にいきなり立候補する、なんて可能性があるかもしれません。

彼女を応援していた数日前の自分が恥ずかしい。



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