2012年12月11日火曜日

道徳の自由のための自制心

私のサイトには『スタンフォードの自分を変える教室』という検索キーワードでやってくる方々が多いため、著者であるケリー・マクゴニガル氏の動向をできる限りお伝えしたいと思うのですが、彼女の来日講演について、いまだはっきりとした情報を手に入れられていません。
という、出版元の大和書房のTwitterを見つけたため、間もなく彼女が来日するのは確実ですし、当然講演会も行われるはずですが、直近だというのに、彼女の講演会情報がどこにも出てきません。

まあ、出版社というのはどこも締め切り間際にバタバタと行事予定を決めるところがほとんど。数ヶ月前に彼女を招待したものですから、まだ何も決まらず、今に至っても会場を確保できていない……なんてことも十分考えられることではあります。

ただ、これほど著書が売れている美女の講演会です。かなりのキャパシティのある会場を用意して、入場料を3,000円ほど取ったとしても十分聴衆は集まります。講演会では本も飛ぶように売れるのです。せっかく稼ぐ機会ですから、早く講演会日程の詳細を発表してもらいたいですね。

さて、本日は彼女のブログから、"The Self-Control Costs of Moral Flexibility"(道徳融通性のためにかかる自制力の犠牲)という記事をご紹介します。


嘘をつく時と真実を話すとき、どちらの方が難しいかをハーバード大学の心理学者が実験したそうです。
 研究者は、利益を得るために嘘をつくこともできるというゲームを実験参加者にプレイしてもらった。毎回、参加者は彼らが回答を知っていた場合を除いて、回答を正しく予想できたかどうかを報告しなければならない。彼らは正しく予想した場合にお金を稼ぐことができる。
 参加者が回答するごとに、研究者は脳の活性変化を追跡した。研究者は、自制=セルフコントロール(例えば、前帯状皮質と背外側前頭前皮質)に関連する脳領域に注目した。
実験結果によれば、正直であろうとした人も、嘘を必ずつこうとした人のどちらも、自己抑制の脳領域はほとんど活動しなかったのにくらべて、時々嘘をつく人の場合は、脳の自制心を司る部分が大変活発に活動していたことが判明したのだそうです。

当たり前といえば当たり前の話ですが、これはいくつものことを示唆しています。
「正直な人」の自制心が必ずしも強靭であるというわけではない、ということです。

この実験では、嘘をつくことも選択肢に入っていました。道徳の自由度や融通性の高い社会は、時に道徳から逸脱しても許される社会です。例えば、西洋や日本、中国などは酒を飲んで多少周囲に迷惑をかけても許される社会ですが、これが中東になると、お酒を飲む事自体一切禁止になっています。自由度の高い社会では、自制力を必要とされる機会が大変多いのです。

一律に禁止してしまえば、人間楽でしょう。でも、私たちは自由の素晴らしさを知っています。そして、自由を味わうためにはある程度の犠牲が必要なのです。そして、自由な環境でのみ、自制心あ養われます。

自由度の高い環境に自らを置きつつ、その中で克己心を養う訓練を積むことの大切さを、この実験は示唆しています。そういえばケリー・マクゴニガルはその著書の中で、「意志力筋」を鍛えることを提唱していました。
自制心を要する小さなこと(姿勢をよくする、毎日手が疲れるまでハンドグリップを握る、甘いものを減らす、出費を記録するなど)を継続して行なった場合、意志力が全般的に強くなるという結果が出ています。(『スタンフォードの自分を変える教室』P.111)
自制心は鍛えることで強くなるというわけですが、逆に言えば、原理原則を作って自動化してしまえば、どのようなこともエネルギーを使わずに正しい生活を送れることなどを、この実験は示唆しています。
何かをしようと決心した人は、できるだけその行為を自動化してしまう方がいいようです。
習慣化が大切ということですね。
スタンフォードの自分を変える教室

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