2014年8月24日日曜日

人間の脳の心理を脳機能から分析する林教授

人間の思考については、古来より哲学者が、近代では心理学者が分析を試みてきました。

それに加えて近年では、医学の発達によって、医学者達が脳機能をもとして思考分析を行い、目覚ましい成果を上げています。

脳というブラックボックスの中身を分析することは、
「宇宙人が、人類のことを何もわからない状態で、宇宙から望遠鏡を使って交通ルールの規則を読み取ろうとするようなもの」
という喩えを以前聞いたことがあります。

もちろん無理に等しいことを例えたものですが、人間は似たような試みを何千年もの間続けてきました。時間さえかければそれなりの効果はあるもの。それなりに一定の成果を上げてきたわけです。

ところが、脳の構造をもとにして人間の心理構造を分析することは、宇宙人が地球上に着陸して現地調査を行うようなもの。望遠鏡で眺めていた時代に比べますと格段の差となります。


日本大学の大学院総合科学研究科教授である脳神経外科医の林成之(なりゆき)氏は、上記記事で脳の構造を基にした人間の心理構造分析をおこなっています。

①大脳皮質 神経細胞は、視覚や聴覚の刺激を受け取り整理する部位です。情報はまずここで認識されます。

情報は次に、②A10神経群という部位に送られます。このA10神経群という言葉、よく聞くと思ってしらべますと、脳の部位を下記のように複数に分類したもののうち、「A10」の区画にあることから名づけられたもののようです。
    A1〜A7ノルアドレナリン神経系
    C1〜C3アドレナリン神経系
    A8〜A15ドーパミン神経系
    B1〜B9セロトニン神経系
     
そこに送られた情報は、「好き・嫌い」「面白い・くだらない」「やる・やらない」といった価値判断をされるのです。

タグ付けされた情報は、次に③前頭前野に送られます。前頭前野は、
  1. 思考する
  2. 行動を抑制する
  3. コミュニケーションする
  4. 意思決定する
  5. 情動の制御をする
  6. 記憶のコントロールをする
  7. 意識・注意を集中する
  8. 注意を分散する
といった、人間を人間たらしめる思考活動を受け持つところです。ここで情報が整理されたのち、④自己報酬神経群に送られます。

ところで、この種の啓蒙的な研究科者は、ときどき学術的に認知されていない自己流の用語を使うことがあります。ブログを書く上で気をつけねばと思い、用語を一つ一つ調べながらこの記事を改定ますが、「自己報酬神経群」とやらについて述べているネット上の記事が、林教授関連の物しかないのです。これ、なんのことなのでしょうね?

「報酬系」と呼ばれる神経群は脳にあるようですが、これはA10神経のことのようですし。どなたかご存じの方がいれば、コメント欄で教えて下さい。

そこからさらに情報は、⑤線条体-基底核-視床、それから記憶をつかさどる⑥海馬回・大脳辺縁系へと移ります。さらに再び②に戻り、情報は①~⑥の間をグルグルと回りながら、処理されていきます。

情報は②~⑥の間を回りながら、行動へとつながっていくのだそうです。そして行動につなげるためには、②の段階で積極的なタグをつけること、なのだとか。

面白いですね。こうした構造を、脳の機能に基づいて説明する方法は、科学的で信頼が持てます。

これまでのような文化論的なアプローチはいずれすたれ、生物学に則したアプローチが主流となった将来、
「昔は人間の心理を、ああでもないこうでもないと大昔の哲学者や宗教化が議論して、それをさらに検討することで分析しようとしていたみたいよ」
「ありえないよね。よくそれで人間の心理を理解できると思っていたよね」
などという会話が学生の間で繰り広げられているかもしれないな、と上記の記事を読みながら考えました。

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