2013年6月17日月曜日

在特会の桜井会長が逮捕される

「在特会」と言えば、新宿や新大久保で「朝鮮人を殺せ!」というとんでもない罵声を人々に浴びせながらデモをすることで有名な右翼であり、その代表が桜井誠という人物。この桜井会長が逮捕されたという。
 東京・新宿で16日、在日コリアン排斥を掲げるデモの参加グループと対立グループの間で乱闘騒ぎがあり、警視庁新宿署は、暴行の疑いで双方のグループの計8人を現行犯逮捕した。
 デモは「在日特権を許さない市民の会(在特会)」などが新宿・新大久保のコリアンタウンなどで月に数回実施。
 逮捕されたのは在特会会長、桜井誠(本名・高田誠)容疑者(41)ら4人と、対立グループ側の写真家久保憲司容疑者(48)ら4人。
東京・新宿で嫌韓デモ、8人逮捕 対立団体と乱闘騒ぎ
桜井の名前はてっきり本名だと思っていたのに、実は通称だったということに驚いた。在日朝鮮・韓国人に「通名を使うな!」というのならば、自分自身も本名で勝負しないと無責任と思っていたのだが。

彼らに「責任」などを期待したのが間違いだったのかもしれない、それにしてもひどいな、と思いつつ、彼らの背景をネットで色々と調べていたところ、面白い記事を見つけた。「北朝鮮右翼の起源」という記事に、新潮社から出ている『宿命』という本が紹介されているのだが、ここに興味深いことが書かれている。
田宮高麿がピョンヤンで客死した一九九五年、その年、わたしは春から夏の入ロにかけて何度も彼と会っている。ピョンヤンでのこともあり、第三国でのこともあった。このころ彼は、日本国内に「愛族同盟」と称する政治団体を結成することを考えていた。民族主義を最前面に押し出した組織だった。もちろん、この動きが朝鮮労働党の指導のもとに行われていたことは明白だった。そして、この組織化のなかで日本の民族派系組織も取り込んで運動を拡大することが画策されていた。
北朝鮮がバックとなって、日本赤軍の連中を使って日本の過激な民族主義を煽るような作戦が過去に立案されていたというのに驚いた。その理由が「在日朝鮮人の薄くなった民族的意識を鼓舞するために、日本の過激な民族主義を煽る」という目的だという。なるほど、それは確かに在日朝鮮人からの送金が大きな外貨獲得の手段である北朝鮮にとって、重要な目的となりうる。

この手の活動は、よく考えれば世界中でよくある手法だ。日本もよくやっていた。日露戦争の際にはロシア革命を誘発するために帝政ロシアで明石元二郎がレーニンを始めとする共産主義者を応援していたことはよく知られている。近い所では、元共産党の指導者で戦後右翼となった田中清玄が、全学連に資金提供していたなんて話もある。

敵を撹乱するためであったり、敵の分裂を招くためならば、自国に敵意を抱く相手や思想が真逆の相手でも、応援するのが政治のリアリズムという奴だ。アメリカだってソ連を倒すために、民主主義とは相容れず、アメリカ流民主主義に敵意を抱くタリバンをアフガニスタンで応援して、育て、ソ連に対抗させようとしたではないか。

今の在特会が、北朝鮮の作戦の成果だとしてもおかしくはない。証拠はないけれども、ああいう醜悪な民族主義は、本来の日本の愛国主義とまったく相容れないし、大勢の日本人の嫌悪感を煽るだけなのに何故やるのだろう? と不思議だったが、その謎がこの理由だと解ける。

彼らの行動は、まるで自ら死の淵へ飛び込むレミングのようなものだ。その先には破滅しか待っていないのに。けれども、それが在日朝鮮人の民族意識高揚のための捨て駒だったとしたら、合点がいくというものだ。

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