2012年11月28日水曜日

サイコパスは矯正できるのでは?


最近『PSYCHO-PASS』というアニメが大変評判がよく、私の友人もはまっています。
私も友人に強く勧められるままに観てみたところ、とてもおもしろく、夢中になるのもわかりました。

『踊る大捜査線』の監督をした本広克行が、このアニメの総監督を務めているそうです。

監督はアニメ好きであり、いつかアニメを監督したい、と構想を練ってきました。
ところが、実写の映画監督がアニメの監督を務める例はあまりありません。
そこで紆余曲折があったものの、数年ごしに念願かない、この作品の総監督に就任したとのことです。
舞台は未来ですが、実写映画で実績を積んだ監督が総指揮をとっているせいか、人間関係の描写がとてもリアルで、一級品の作品に仕上がっています。

さて、同じサイコパスでも、本日取り上げるのは、本来の意味"PSYCHOPATH"の方です。
(上記作品のPSYCHO-PASSとは「人間のあらゆる心理状態や性格傾向を計測する値」のことを指します。それと、本来の「PSYCHOPATH」とを掛けているのでしょう)。

「サイコパス」とは、
 三省堂の大辞林によると「性格が逸脱し、そのために社会を困らせたり自らが悩むもの。性格異常」と記載されている。
 サイコパスは社会の捕食者(プレデター)であり、極端な冷酷さ、未慈悲、エゴイズム、感情の欠如、結果至上主義が主な特徴で、良心や他人に対する思いやりに全く欠けており、罪悪感も後悔の念もなく、社会の規範を犯し、人の期待を裏切り、自分勝手に欲しいものを取り、好きなように振る舞う。その大部分は殺人を犯す凶悪犯ではなく、身近にひそむ異常人格者である。(Wikipediaより)
医学的所見によれば、前頭葉の障害によって、このような人格障害が起こるようです。


ところが、イギリスの心理学者が、以下のような結果を発表しました。
★ 英国心理学者 サイコパスが多い職場 上位10を発表


この記事を読んで、ふと、サイコパスが多い職場と少ない職場に分けることができるとするならば、遺伝的な特質があろうとも、それは環境によって変えうることの証左ではないか、と考えました。
 一方サイコパス上司が最も少ない職種、上位10は、付き添い看護士、看護士、内科医、サービス業、スタイリスト、慈善基金職員、教師、画家、医師、会計士。  ダットン氏によれば、こうした職種は、他人との人間関係に対する注意深さや同情を必要とするので、サイコパス的人物は務まらない。
サイコパスには務まらないから、彼らは自主的にそういった職場を離れていくので、淘汰された結果、サイコパスが少ない職場へと変貌する、ということでしょうか?
いや、私は何人ものサイコパス的な人間と会った経験から言いますと、彼らは一概にプライドが高いので、そうそう簡単に会社を辞める人ばかりだとは思えません。
それよりも、彼らが我慢してその職場に居続けた結果、彼ら自身が変わっていったと考えられないでしょうか?

私は、クレーム処理の仕事に携わったことがあります。
怒り狂う顧客をなだめ、彼らの話を聞きつつ、問題解決の端緒を作った後に、専門部署へ案件を引き渡す、という部署です。

そこに長年務めている年配の人々は、ほとんどがおだやかで、一緒にいて不愉快になることがめったにありません。

でも、挙動、言動をつぶさに観察してみると、もともとは性格がきつかったんだろうな、という方々も多いのです。
毒舌家で、常に相手よりも上に立ちたがり、いい加減な対応を決して許さない、という地が透けて見えることがありました。

ところが、毎日のように怒鳴られながら、それでもキレずに、自分の感情をコントロールする訓練を積む内に、たいていのことには怒り狂うことなく、自分の感情を抑えることができるようになっていったもののようです。

事実、大変カッとなりやすく、粗暴な人物がその職場に配属されてきたことがありました。
気に喰わないことがあると、
「てめぇ、ただじゃおかねぇからな」
などと凄んでみせていた人物が、一年経つうちに、穏やかになり、客の暴言にも冷静に対処するように変化したのを、この目で見ました。

ですから、上記心理学者が考えるように、ある環境にサイコパス的人物は務まらない(から自分から消えていく)、と考えるだけではなく、サイコパス的な人であったとしても環境が人を変えていく割合も高いのではないか、ということを改めてこの記事を読んで感じました。

現在、心理学や脳の研究の発達によって、発達障害だとか人格障害の存在が多く知られるようになりましたが、遺伝的原因を強く主張し過ぎており、学者たちは「矯正には限界がある」と考える傾向が強いのが現状です。

しかし、ある職業に就くなど、数十年に渡る鍛錬の結果、人々がどのように変わりうるのかを、何万人という規模で研究した結果は、まだ存在しません。
そして、職種によってサイコパスが多い職場と少ない職場がある、という現実。

PTSDによって粗暴な人格へと人が変容するというのならば、その逆もしかりでしょう。
脳の機能の一部が、生来機能しなくとも、環境が要請するうちに、機能していなかった部分が活動を開始してもおかしくはないでしょう。

無論、遺伝的な要素は大きいのでしょう。
しかし、長期に渡る環境圧によって、人格は、サイコパスのような病的なものであっても、大きく変わりうる、可塑性のあるものではないでしょうか。


2 件のコメント:

  1. 「良心がない」という本質は返られない気がしますけどね~


    「フリ」が上手くなるだけなのではないかなと個人的には思っています。サイコパスの場合。

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    1. 良心が完全に欠如しているとなると、扁桃体の異常でしょうからね。器質的な異常は、習慣の修正だけでは根治が難しいかもしれません。

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