2013年1月19日土曜日

これから学ぶべき言語トップ10(後半)

さて、気を取り直して、一昨日の「これから学ぶべき言語トップ10 (前半)」の続きを述べていきましょう。

5.ヘブライ語
イスラエルの公用語です。ユダヤ人はご存知の通り、世界の金融機関で大きな役割を果たしています。国家を持たなかったために、逆に国家に縛られることなく、いやしい仕事、未知の事業に就くことしか認められなかったために、金融業や広告業などの新しくて利益率の高い事業を、国家をまたいで運営することに成功しました。

ユダヤ人が大勢活躍しているのはアメリカですし、彼らのほとんどは英語を話します。ヘブライ語をわざわざ学ぶ利点は少ないのではないか、と思う人も多いかもしれません。

それに、この言語学習は難しいのです。アラビア語と同じように、子音字でのみ文字が書かれるために、母音を記憶をもとに補う必要があります。

なぜ、この言語が上位にランクインしたのかといえば、いくつかの理由があります。

まず、ヘブライ語の伝統は2000年前に一度途切れた後に、20世紀になって公用語として復活した新しい言語であるために、古い言葉に特有の様々な例外が比較的少なく、シンプルなものとなっているという点です。全くのドシロウトである移民が、数年で日常語として使用出来るようにするための効率的な言語習得法が確立されている、という利点があります。

それに、現代イスラエルには、中東、欧米の戦略的な情報が正確に行き渡り、国民間で共有されています(そうしないとこの紛争地帯で生き残れないので)。その情報はヘブライ語でやり取りされることが多く、彼らと情報を共有する関係を結ぶためには、ヘブライ語を学ばなければなりません。

たとえ相手がイスラエル語を知らない欧米のユダヤ人であっても、彼らに「イスラエル語を話せます」というと、大変喜ばれ信頼されます。迫害を多く受けた民族ですから、彼らにとって、苦労してまで自分たちの言語を学ぼうとしてくれる他民族に仲間意識を持つのは当然でしょう。

ときどき路上でアクセサリーを売っている外国人がいますが、彼らにはイスラエル人が多いのをご存知でしょうか? 根っからの商業民族である彼らには、兵役が終わると貯めた給料で世界中を周る習慣があり、それによって人脈を広げ、仕事へつなげようとするのです。ヘブライ語を知っていると彼らと仲良くなるのに役立ちます。

また、イスラエルには現代最強とも言われる格闘技クラヴ・マガがあります。
クラヴ・マガ(英語: Krav Maga、ヘブライ語: קרב מגע‎)は、20世紀前半、イスラエルで考案された近接格闘術で、様々なイスラエル保安部隊に採用されることで洗練され、現在、世界中の軍・警察関係者や一般市民にも広まっている。
この最新の技術は、ヘブライ語を知らないと学べません。


4.ベトナム語
一時期のベトナムブームの勢いは凄まじいものがありまして、ベトナムへの投資情報がわんさか金持ちのもとへと届けられたものです。今は少し落ち着いたんでしょうかね? もともとポテンシャルが高い国です。なにしろあのアメリカと戦争をして勝った国であり、中国の度重なる膨脹政策を跳ね返し続けてきた国です。


ただ最近は、ベトナムに失望した、という声が段々と出始めています。公務員の汚職が一番の原因です。共産主義国家であり、共産党が強大な権力を握っているため、
"権力は腐敗しがちである。専制的権力はどうしようもないほどに腐敗する"
というアクトン卿の言葉の通り、腐敗度数はかなりのものとなっているようです。
★ FDIはベトナムから撤退しつつあるか
現地で商売をしていた日本人が、汚職まみれの行政に失望して、少しずつ日本に帰国しているという報告もあります。

しかし、それを差し引いても、大変魅力のある言語圏です。人口が8,000万人と大変多く、人口ボーナス期が1975年から2020年まで、大変長期に渡っています。
『世界経済の潮流』(内閣府政策統括官室 2010)
それに、ベトナム人は中国の影響力を牽制するために日本人の投資を歓迎する傾向があります。

ただ、声調と呼ばれる母音の音程上がり下がりが6種類もあるため、これを覚えるのが大変です。しかし、単語は漢語由来のモノが多く、表記はアルファベットです。その点では日本人に学びやすいといえるでしょう。


3.ビルマ語
ミャンマー(ビルマ)は公務員の汚職が蔓延した国だと言われています。公務員の腐敗の度合いを測る指数に、腐敗認識指数というものがあります。汚職問題に取り組む非政府組織トランスペアレンシー・インターナショナルの発表によれば、ミャンマーの汚染具合は182ヶ国中の181位。前述のベトナムが112位なので、大変低い数字です。それよりも下位なのは、北朝鮮とソマリアだけ。圧倒的ですね。

ただ、それを上回るものがこの国にはあります。

まず、これまで海外からの投資があまり盛んでなかったために、これからの伸びしろが高いという点です。つまり、現地のビジネスに熟達した日本人が少ないということでもあります。天然資源が大変豊富な国であり、世界最高級のルビーはこの国で算出されます。その国との貿易は軍政下でも途絶えることはありませんでした。ミャンマー語をマスターした日本人は必ずや重宝がられることでしょう。

それに、5,000万人もの人口を擁しており、そのほとんどが若年層です。カンボジアも素晴らしい国ですが、カンボジアの人口が1,500万人と、市場としてやや物足りないのに比べて、この人口の大きさは魅力的です。

声調が3種類あるという点で、ややゲンナリしますけれども、文法規則は簡単です。

その上、ベトナム語に比べた利点は、日本語と大変似た、膠着語と言われるグループに属していること。言語を学ぶ上で大切なのは、なによりも覚えやすいか否かです。その上ミャンマー語の話者が日本にまだまだ少ないため、覚えたあなたはキーパーソン。大変魅力的な言語といえるでしょう。

ただ……ベトナムの汚職に辟易した人々が次々に撤退したように、ミャンマーでビジネスに従事しても、それ以上の失望を将来的に受ける可能性も無きにしもあらずです。

それでも敢えてミャンマー語がベトナム語よりも上位に来たのは、それはこれからの問題であることと、日本語との親和性のためです。文字は覚えるの、大変なんですけどね。


2.トルコ語
現在のトルコに連なるオスマン帝国は、1299年の建国から1922年の滅亡にいたるまで、6世紀に渡って広大な領土を統治してきました。その正統後継者であるトルコ共和国は、ヨーロッパ、中近東、アフリカを結ぶ要所に広大な領域を現代でも有しています。

イスラム教が世界に浸透しつつある現在、アラブ民族を数百年に渡って異民族として統治するのに成功し、現在も国民の大半がイスラム教徒であるにもかかわらず、世俗主義を貫いているトルコ人の力量はなみなみならぬものがあるでしょう。

欧米が直接イスラム諸国に干渉しても、これまであまりいい結果を生み出しませんでした。それよりも歴史的経緯があり、西洋近代主義と折り合いをつけることができ、イスラムとのつきあいの長い国が間に入れば、うまくいくことが多いようです。イスラム諸国と対峙する際に、トルコを間に挟んで外交を行うケースがこれからは多くなってくるかもしれません。

29歳以下の若者が全人口の約半分を占め、2011年の失業率は9%前後、GDP成長率は7%前後を予測されるなど、伸びしろも高いです。

トルコ語が通用するのは、トルコとその周辺だけではありません。テュルク諸語と呼ばれるトルコ語と似た構造を持つ言語を公用語とする国は、トルコ、アゼルバイジャン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、キルギス、カザフスタンの6ヶ国に渡ります。構造が似ていても日本語と韓国語のように意思疎通ができない言語もありますが、テュルク諸語の差異は小さく、かなりの程度で意思疎通が可能なのだそうです。

トルコ語もまた、日本語によく似た膠着語といわれるグループに入ります。大変覚えやすく使いやすいです。

昨年はこんな本も出版されました。

「この国を知らずして日本の繁栄はない!」
中東のリーダー“モダンイスラム国家”トルコがわかれば、
これからの新たな世界の図式が見える!
国連総会でオバマ大統領は、野田首相との30分に対して、
なぜトルコのエルドアン首相とは1時間半も会談したのか?
なぜ今、アメリカ・ロシア・EUがこぞって
トルコにすり寄ろうとしているのか?
中東に民主化運動が吹き荒れる中、
なぜトルコだけが安定成長を続けられるのか?
答えはこの本の中に!
トルコ語、いいですね!


1.インドネシア語
日本人が学ぶべき言語の1位は、インドネシア語です。
とにかくこの言葉、覚えやすいのです。

声調がありません。時制がないために、過去や未来のことを表すためには、その日付を入れれば済みます。性によって語形が変化することがありません。格変化もありません。

もともとインドネシア語は、マレーシア、インドネシアの周辺で貿易を行うために利用されてきた商用語でした。言語の異なる異民族同士が意思を簡単に意思の疎通ができるように、面倒な文法規則を極限まで切り取って出来上がった言葉なのです。

その上、この言葉はマレー語と似ているために、マレーシアでも通じます。インドネシアで1億6,000万人に話されるだけではなく、マレーシアでは2,500万人もの人々に話されています。

その上、この地には資源が豊富です。石油を始めとする様々な地下資源を産出しますし、勤勉な人的資源も豊富です。ビジネスチャンスは無数に存在しています。

イスラム教徒が多いのですが、もともとヒンズー教が広範囲に信仰されていた場所なので、中近東の人びとよりも寛容で、過ごしやすい場所です。

日本人が海外に行く場合、旅行目的が多いと思います。インドネシアやマレーシアには世界でも有数のリゾート地が多いのですが、ペナン島、バリ島などに渡航した際に、現地の言葉を覚えて入れば何かとはかどります。たった一万円で、王侯貴族のような待遇を受けられます。あなたが日本でなにか決定的な失敗をしたときに、こういったリゾート地に落ち延びるという選択肢があると、心安らかに過ごせますよ!

言葉を覚えるのならば、あまり苦労をしたくないもの。簡単で、日本に近く、なおかつ通じる範囲の広い言語として、インドネシア語は日本人が覚えるべき言語のトップに位置します。



いかがでしょうか。異論反論、いろいろあると思いますが、まあ、考え方のとっかかりになるかと思いまして、たたき台を作ってみました。

これからなにかの言語を学ぼうとした際の、選択の参考になれば、幸いです。


0 件のコメント:

コメントを投稿