2013年11月26日火曜日

手白澤温泉の魅力 2

旅館「手白澤温泉ヒュッテ」は、たった6室しかない。

非常に立派な建物で、イメージとしてはヨーロッパのスパ、といったところか。
一階建て平屋で、天井は高く、5メートルはあるだろうか。
屋根の大部分がガラス張りで、そこから採光をしている。

旅館内に張り巡らされている温泉パイプのせいで、常に暖かい。
「暑ければ、障子を開いて調節して下さい」と御主人。
言われたとおり、部屋の障子を開けば、途端に冷気が部屋に流れ込む。
なるほど、手動で温度調節出来るわけだ。

室内にテレビは無い。
館内に、娯楽設備が全く、無いのだ。

本当に、温泉を楽しむだけのために作られた、思いっきり贅沢な場所……そこが、手白澤温泉だった。

何もすることが無かったので、お茶を飲んだ後は、すぐに温泉に入ることにした。

温泉は、室内風呂と露天風呂の二つあり、どちらも湯の花の量が多い掛け流し温泉であった。

室内風呂が寒いのに驚く。
温泉を水で薄めず、もっぱら温度調整は気温に頼っているため、密閉せず、壁の一部から大量の冷気が流れこむ仕組みになっている。
そのため、早く温泉に入らないと、空気が寒くて凍えてしまう。

身体を洗う場所には、蛇口がない。
二本の筒からコンコンと湧き出るお湯が、あるだけ。
そこで身体を洗い、温泉に入る。

お湯に浮く湯の花が、最初人間の垢に見えてしまい、少しぎょっとした。それほど湯の花が分厚く、積載物のように周囲に散乱しているのだ。
源泉に手をかざすと、湯の花がチラチラと浮かび、ああ、これは確かに温泉由来のものだと、安心した。

露天風呂の周囲は完全な雪。そこに顔を突っ込んで一人で遊ぶ。
青みがかっていて、室内よりもぬるい。

(明後日に続く)

2013年11月25日月曜日

手白澤温泉の魅力 1

数年前に秘湯にあこがれて、Googleで検索したところひっかかったのが「手白澤温泉」という温泉であった。

「てしろさわおんせん」と読む。

栃木県の奥日光にある温泉で、国立公園内にあるために車で行くことが出来ない。本来ならば温泉業を営むことが出来ないのだが、国立公園選定以前から温泉業を営んでいることから、特別な許可を得てこの地で営業をしているのが手白澤温泉だ。

その時に書いた日記が出てきたので、転載してみることにする。この冬、温泉選びに迷っている人にはお勧めの温泉なので、当時の雰囲気を味わっていただき、「行ってみたい」と思っていただくと嬉しい。
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2013年11月24日日曜日

マイケル・サンデル教授の『ハーバード白熱教室講義録』を読んだ

騒がれるだけの価値はあった。確かに本書で語られる内容により、考える力が養われる。


「正義」をテーマに、日常の中で生じる選択についてさまざまな観点から議論を進め、カントとアリストテレスに発する倫理観の対立に収束させ、そして私達を答えのない世界へと導く手腕が見事だった。

サンデル教授自身はコミュタリニズムの信奉者のようで、文化、歴史といった物語の中で私達人間を位置づけるという立場のようだが、それを他人に強制することはない。
そして、このような回答のない問題について考え続けることの重要性を訴え、考え方の異なる人の言葉に耳を傾けようと呼びかけ、彼らの意見を受け入れることで自分もまた変わることを受け入れようと述べる。

世の中には回答のない問題があふれている。それでいながら考え続ける意味はあるのか? と良く問われるのだが、そこに意味があることを明らかにした良書だった。
歴史上にはさまざまな問題があり、人類はさまざまな仮定を使って問題解決に勤しんできた。問題というものは、解決すると別の問題が生じるもの。社会問題は永遠に存在し続けるし、全てが解決されることはない。
しかし、その繰り返しの果てに世界は快適になり、よりよい世界へと変わっていく。教授の信念はそこにある。彼の信念に勇気づけられた人も多いのだろう。

環境によって培われた価値観を変えるのはお互いに難しいが、少なくとも話し合いを続けることで、誤った偏見は打ち砕かれていく。
そのためだけにでも、議論を重ねることには価値がある。

※11/25追記
上記記事を昨日アップしたはずなのだが、うまくアップ出来ていなかったので二日越しになってしまった。大変しつれいいたしました。