2014年12月20日土曜日

富裕層が海外に移住することのプラスの面

日本がまだ「もっとも成功した社会主義国」と揶揄されていた頃の話です。

今から15年ほど前でしょうか、格差が今ほどひどくなく、金持ちは累進課税制度を嘆き、渡部昇一辺りが大変人気を集めていた頃のことです。

「日本人にもっと金持ちが増えたほうがいい。一億総中流の政策のために、大金持ちが日本では生まれにくい。そのために、世界のエリートたちの輪に日本人が入れない。結果、日本の国益が損なわれる」

という富裕層からの意見を読んだことがありました。

当時は、日本が欧米諸国から盛んにバッシングをされていた時期。日本は経済的に優れていても文化的には劣ったものとみなされ、随分酷い誹謗中傷がイギリスやフランスの大衆紙などに掲載されていたものです。

四面楚歌状態の中にいたので、世界(主に欧米)からのけものにされている、という実感は日本人が等しく共有していました。いろいろな打開策を日本の識者が提案していましたが、「富裕層を増やす」という案はその中の一つとして出てきたもののようですが、さて、果たして金持ちが増えれば、本当に世界の支配層と日本の富裕層の関係性が生まれるのか? 今の閉塞状況から本当に抜け出せるのだろうか? と考えたとき、まったくその間に因果関係を見いだせない駄作と、私には思えました。

だって、日本人富裕層がいくら増えたところで、彼らが住んでいるのは日本です。欧米から隔たった場所に住んでいる以上、欧米の金持ちと交わる機会はどうせ少ないでしょう。

よって、日本人富裕層が増えれば欧米諸国の輪に日本人が入れるという意見は、まあ、与太話のたぐいだろう、としか当時は思えませんでした。

★ 富裕層、株売却益非課税国へ 日本人永住者2.6倍に
株式の売却益に課税しないニュージーランドや香港など4カ国・地域の日本人永住者が1996年に比べ2.6倍に増えたことが財務省のまとめで分かった。富裕層が節税のために永住権を得て、移り住んでいる例が多いという。欧州諸国などで深刻化する富裕層の国外流出が日本でも進んでいる実態が浮き彫りとなった。
これは今月初めの記事です。記事によれば、富裕層が節税のために海外に大挙して移住しているのだといいます。こうした記事を読みまして、15年ほど前の先述の富裕層の主張を思い出しました。

構造改革によって誕生した大勢の富裕層たちは、海外に移住し、当然、現地の富裕層コミュニティーに入ることでしょう。 同じ仲間同士で打ち解けあい、親交を深めることでしょう。人間同士が理解を深めるのは、何よりも、直に会い、話をすることが大切でしょう。

欧米の富裕層たちはカネを持っていますから、各国で、ある程度の権力を保有しています。そうしますと、普段から日本人とつきあっている欧米の権力者たちが、次第に日本に同情的な立場を取るようになるのはなんとなく分かる気がします。

そう言えば、往年の日本バッシングはいつの間にやら、終焉を迎えました。欧米の論調は日本に妙に同情的です。失われた10年、いや、20年と言われた景気の低迷などが同情を買っているという面もありますでしょうし、日本の平和への貢献がようやく認められつつあることも要因の一つではありましょう。アニメの人気が若年層に何らかの影響を与えているのかもしれません。

しかし、もしかしたらこの、欧米の「金持ちクラブ」の輪に日本人が多数入り込んだことで、世界の権力者達の感情に大きな影響を与えたのかもしません。税収のダウン以上に、彼らの海外移住が日本の国益に貢献した可能性はあるでしょう。ソフトパワーは侮れません。そう考えますと、彼らの海外移住は決して悪いことばかりでもありません。



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