2014年7月10日木曜日

シンガポールの反賭博CMが、逆にギャンブルをあおる

「賭博をしてはいけません」
というシンガポールのCMが、逆に賭博をあおっているという笑い話のようなニュースをロイターが報じています。

★ 反賭博CMで「ドイツ勝利に全財産」、シンガポール啓発運動が誤算
サッカーのワールドカップ(W杯)ブラジル大会に合わせてシンガポール当局が展開している反サッカー賭博キャンペーンが、思わぬ「オウンゴール」で苦境に立たされている。
CMに出演した少年の父親がすべての貯金を賭けに投じたというドイツが、8日の準決勝で開催国ブラジルに7-1で大勝。優勝に王手をかけてしまったからだ。

どんなCMだろうと思いまして、探してきたのがこれです。


https://www.youtube.com/watch?v=Sz5lfTqkFpU

「ワールドカップが始まったね。どこが勝つと思う?」
「僕のパパは、ブラジルが勝つと言っているよ」
「そんなことはないよ。アルゼンチンが勝つさ。だってメッシがゴールを決めるから」

「僕の家では全員、スペインを応援しているよ」
子供たちが和気あいあいと話しています。

誰かが、黄色いシャツを着ている少年に、
「アンディ、君はどう思う?」
と水を向けると、元気なさそうに、
「僕はドイツに勝って欲しい」
と吐き捨てるようにつぶやきます。
「どうして?」
と誰かが尋ねます。

そりゃ、不思議に思いますよね。先刻アルゼンチンを応援した少年は、アルゼンチンチームのユニフォームを来ています。その他の少年たちもなんとなく雰囲気で分かります。ところがアンディの来ている服は黄色のTシャツ。ドイツを応援している風には、まったく見えないからです。

すると、アンディは少し間を置いて、一言、
「だって、僕のお父さんが、家の有り金を全部、ドイツの勝利につぎ込んでしまったから」
と答えました。

その深刻な表情を前にして、周囲の友達は全員、声を失ってしまいます。そこに、
「あなたの家庭に、賭博の影響をあたえないでください」
というテロップが流れます。

このCMが作られた背景には、シンガポールで年々深刻化する、ギャンブル依存症の問題があります。

もともとシンガポールの建国の父であるリー・クアンユーは、違法賭博を厳しく取り締まることでしられています。シンガポールでは、「私会党」と呼ばれる暴力団のような組織が、建国前から暗躍してきました。その組織が資金源としていたのが賭博だったので、リー・クアンユーはロトのような合法賭博以外の賭博を徹底的に取り締まってきたのです。

ところが中国人は昔から、大変な賭博好き。道端ではコオロギを戦わせたり鶏を戦わせたりして、周囲はどちらが勝つかを賭ける、という風景が、大昔から街のそこかしこで見られるお国柄でした。

ギャンブルについついのめりこみ、全財産を失ってしまう、という悲劇も多いのです。現にシンガポールでは、低所得者層がギャンブルにのめり込み全財産を失うという悲劇が生じ、大きな問題となっています。このCMは、それに警鐘を鳴らす意味がありました。

ところが、御存知の通り、スペインは早々に敗退しましたし、ブラジルはこてんぱんにやられてしまいました。そして……ドイツは快進撃を続けています。

もしもドイツが優勝しようものなら、この少年の父親は一夜にして大金持ちとなることは間違いありません。

国民に賭博を禁止するどころか、一攫千金の期待を持たせてしまったこのCM。思いもかけない"罪"のために、製作会社は苦境に陥っているようです。
一方、キャンペーンを担当した機関の広報は「(CM出演した少年の父親が)ドイツに賭けたことで、われわれのメッセージに現実味が増した」と苦しいコメントを出している。
……いけないことでしょうが、笑ってしまいますね。

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