2014年6月15日日曜日

冲方丁は広辞苑を読み込んで言葉を学んだ

小説家を目指していた時に、『沖方式ストーリー創作術』を読んだのが、冲方丁の名前を知ったきっかけです。

それに納得半分、反発半分の相反する感情を抱きつつも、彼が高い才能を持った人物であることは認めざるを得ませんでした。それから本屋に行きまして買ったのが、彼の代表作である、『マルドゥック・スクランブル』です。

長い小説ですが、面白くないわけではなく、最後まで読みました。好き嫌いの分かれる小説ですが、私にとっては、
「読ませるけれども楽しくない、嫌いな小説」
でした。

小説を読んで初めてわかったのが、『沖方式ストーリー創作術』を読んだ時に感じた彼への反感の理由です。

彼は、フェミニズムに大変理解があり、虐げられている者への情に熱いのですが、同時に能力のない者を徹底的に見下しています。これはフェミニストにも多い論調ですが、能力が他よりも高いのに、それが公平に認められない現状へ不満を抱くあまり、システムで掬い取られている能力の低い人物を徹底的に貶めてみせることでシステム全体を軽蔑してみせ、それを自身の高い才能で手玉に取ることを正当化するのです。

システムに対抗するためならば、法律や道徳に反することを行うことに一抹の倫理的なためらいはなく、そこをためらうことに軽侮を見せる……こういう癖があるように思えます。そこが私にとっては気持ちが悪いのです。

それでも、最近は『天地明察』が大変売れているようですし、彼の感性の方が、時代に受け入れられているのは間違いありません。買って読む気がないので、本屋でパラパラと立ち読みしましたが、よく調べて書かれたものだと思いました。

そんな彼の学生時代について、書かれた記事を読みました。

★ 『天地明察』冲方丁のバイト時代
「1週間2万円の給料で、ゲーム会社に泊まり込んで働きました。あらゆるジャンルの企画書を1週間で25枚は書きましたね。2カ月目に『派遣社員にしてやる』と言われて某社に行ったら、もっとひどい労働環境だった。当時は120億円かけた失敗ゲームを作っていて、朝から晩までわけのわからん会議と制作漬けでしたね」
「ひたすら小説を写す、広辞苑を読破する。リレー小説なんかを書いて、高校時代に原稿用紙3000枚くらい書きました。僕は人に何かを提供する仕事。もし対象に興味が持てなかったらもったいないですよね。だからこそ“欲求”に正直に、興味のあることをしただけなんです」
広辞苑を読破する、という修行法があることは初めて知りました。しかし、これは確かに役に立つだろう。マルコムXという黒人指導者も、牢獄内で辞書を写して社会の仕組みや修辞法を学んだといいます。

こういう努力を続けているからこそ、一流と言われる小説家となったのでしょう。私も、携帯をいじる生活からそろそろ離れなければ……。

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