2014年5月29日木曜日

「舞の海氏が排外発言」というのは大嘘だった

私、立場的には自分は保守的だと思っていますが、本多勝一のことは、高校生の時に『殺される側の論理』を読みまして、ファンとなりました。まあ、彼も一種の保守とも言えるのかもしれませんが。

その本多氏が「週刊金曜日」という雑誌を創刊したときには、頑張って欲しいと陰ながら応援していました。とはいえ、彼らの思想、運動にはあまり共感できるものもなく、新聞の広告などで見かけることはあっても、読むことはありませんでした。しかし、こんなヨタ記事が掲載されているんですね。

「週刊金曜日」オンラインニュースに掲載されていた記事です。

“昭和天皇万歳”集会で――舞の海氏が排外発言(2014 年 5 月 22 日 6:27 PM)
(↑ほんとうに、こういう題名です。リンク先を参照してください)
 改憲を唱える政治団体が4月29日、東京・明治神宮会館で開いた「昭和の日をお祝いする集い」で、厚労政務官・高鳥修一衆院議員(自民)らを先頭に、来賓と全参加者約250人が起立し、“聖寿万歳”と称し「天皇陛下万歳」を大合唱した。
(中略)
「昭和天皇と大相撲」と題し“記念講演”をした舞の海秀平氏が「外国人力士が強くなり過ぎ、相撲を見なくなる人が多くなった。NHK解説では言えないが、蒙古襲来だ。外国人力士を排除したらいいと言う人がいる」と語ると、参加者から拍手が湧いた。“日の丸”旗を手にした男性が「頑張れよ」と叫び、会場は排外主義的空気が顕著になった。さらに舞の海氏が「天覧相撲の再開が必要だ。日本に天皇がいたからこそ、大相撲は生き延びてこられた。天皇という大きな懐の中で生かされていると感じる。皇室の安泰を」と結ぶと、大拍手が起こっていた。

 最後の拓殖大学吹奏楽部による記念演奏会は“昭和のメロディー”と題されたものだが、「陸軍分列行進曲」「軍艦行進曲」など、軍歌が多かった。天皇のために人々が犠牲となる「海ゆかば」は、筆者を除く全員が起立斉唱していた。
私はこれを読んだ時に、
「あっちゃー。舞の海氏、リップサービスをやり過ぎちゃった……」
と舞の海氏のために嘆息したものです。

相撲が日本の娯楽として定着した一つの理由として、出身力士を応援できる、という理由があります。日本は地域性が高い国であり、人々は地縁を大切にします。おらが村・町の出身者が活躍するのが、我がことのように嬉しい……この感情が、力士への応援につながります。

ところが、外国人力士には、そのような感情を覚えにくいです。それを差別として否定するのならば、他人の子供よりも自分の子供のほうが可愛いと思う感情さえも否定しなくてはなりません。もっとも、今の情勢ではそうなってもおかしくありませんけれどね。

その状況への憤りは、年配層に主に強く、舞の海氏は年配者の多そうなこの集会で、思わず彼らに迎合してしまったのでしょう。

ところが、舞の海氏は、現実に外国人力士だらけの相撲界で活動する人物です。それなのに、現在の相撲界を否定するスピーチを行ってしまってはいけません。今後のタレント活動にも支障をきたすのではないか?

……と、心配していたんですね。何しろ記事のタイトルが、「舞の海氏が排外発言」ですからね。

この手の報道記事は、すべてを検証する暇はありません。記事の内容、媒体を見て、ある程度、信頼できるものかどうかを判断します。「週刊実話」は一点の真実のないまったくの嘘でも平気で書く、とかね。

「週刊金曜日」は冒頭に述べたとおり、本多勝一という、深代惇郎と並ぶ朝日新聞のかつてのスーパースター記者が責任編集している雑誌のオンライン記事です。曲解はあっても、まったくの嘘を書くはずがない、と思っていました。

ところがどっこい。これが大嘘でした。

★ 「排外発言」とは正反対だった「舞の海氏の講演」(前回エントリのお詫びと訂正)

私が先日取り上げた冷泉彰彦氏の、最新のコラムです。これを読んで良かったです。

詳細はリンク先をお読みいただきたいのですが、要点をかいつまんで書きますと、舞の海氏のスピーチは逆であり、現在の相撲界に大勢の外国人力士がいることを賞賛しているのです。

外国人力士を嫌っている人もいる、というのは、そういう声もある、という紹介です。そして、
外国人力士に関しては、排斥の声があるという指摘をした時点で、場内から拍手とともに「先生ガンバレ」という掛け声が飛んだのは事実ですが、これに対しても、舞の海氏は「それはできません」とキッパリ取り下げていました。
と取り下げているのですよ。

おいおい。

もしも私が、
「この日本にはイジメを肯定する人々がいる。しかし、絶対に肯定すべきではない」
と記事に書いたら、私がイジメを肯定することになるのでしょうか?!

あり得ないんですよ。

この記事を書いた永野厚男という教育ライターは、いったいどんな人物なのでしょうか? Amazonを見ましても著書はなし。

そうしますと、それほど経験のない記者なのかも。だから、この会の主催団体であるとか、会の雰囲気であるとか、その前後の論者の発言であるとか、その流れの中で、雰囲気に飲まれて発言自体を誤ってとらえる、ということはあると思います。もしかしてこの記事を書いた時点で、そういう誤解をしたのかもしれません。

そうだとしたら、今ではYouTubeに舞の海氏の発言がアップされているのですから、検証して訂正するなりなんなりすればいいと思うのですけれどね。

……とにかく、「週刊金曜日」には失望しました。自分の意見に都合のいい部分を集めて、真実を覆い隠すという行為を行う媒体からは、今後も距離を置いていきたいものですね。


もっとも、永野記者を一概に責めることはできないのかもしれません。

たとえば、手鏡で女性の下着を覗いたり女子高生に酒によって痴漢をした罪で有罪判決が出されてメディアを追われた植草一秀氏が、下記のような記事をアップしていました。

★ 横綱白鵬会見拒否と舞の海のモンゴル力士発言

植草氏はかつて、エコノミストとしてメディアで大活躍していた人物。それが、YouTubeを確認した上でこう判断するのですから、永野氏ばかりを責められませんね。

それにしても、植草氏もしょうがない人物です。
舞の海氏の発言で一番の問題箇所は次の部分だ。
1時間0分25秒時点の発言だ。
「彼らの目的は何か。
日本のこの大相撲界に入って、そして早く強くなってお金をかせいで。
そして、両親家族の面倒を見なければならない。」
ところが植草氏、舞の海氏のこの後の発言を故意にカットしていますね。舞の海氏は、琴欧洲のお父さんが交通事故で亡くなり、琴欧洲が家族のためにお金を稼ごうと頑張っている、というエピソードを紹介しているのですから。

まあ、その後、朝青龍の父親の、
「相撲に勝つためには、敵を、自分の母親を殺した相手だと思って戦え」
という教えも紹介していましたから、外国人力士の完全な美談とはなりませんでしたが。

長いスピーチの前後を切り取って、問題だ問題だと騒ぐところをみますと、この人も信頼できませんね。

植草氏によれば、私の嫌いな竹中平蔵に反対した政策を提案し続けたせいで、国家から睨まれたのが痴漢冤罪を受けた理由だ、などと主張していました。それも信用出来ないな……。

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