2014年1月26日日曜日

「2番主義」というあり方

蓮舫という議員が、次世代スーパーコンピュータ開発の予算削減を決定した文部省の予算の公開仕分けで、
「世界一になる理由は何があるんでしょうか?2位じゃダメなんでしょうか?」
と発言して物議を醸しました。

だいぶ叩かれていましたね。結果、
「やっぱり一番を目指さなきゃダメ」
と、世の中の人の多くが思ったようです。

オリンピックでも、金メダルを取れなかった銀メダリストが、腹を立てて仏頂面で表彰台に登る様子をテレビで観たことがある人もいるでしょう。

今の世の中で、
「1番でなくてもいいじゃない」
というのはいささか勇気が必要ですが、今日はあえて2番主義について。


周恩来という政治家が昔の中国にいまして、「永遠のナンバー2」と呼ばれていました。毛沢東という、有能だが嫉妬心の強い人物の側近として、長年毛沢東を支え続けました。その人気に嫉妬した毛沢東が追い落としを図ろうとしましたが、逆に毛沢東が人民からそっぽを向かれそうになったので、あきらめたそうです。

これほど人気があったにも関わらず、周恩来は決して毛沢東を追い落としてナンバー1になろうとはしませんでした。トップの孤独、苦悩を知りすぎていたせいだと言われています。

日本では携帯会社のauが「永遠のナンバー2」と呼ばれるのにふさわしい地位にいます。NTTdocomoという巨大な通信会社相手に一歩ひいて、その上をいく通信速度、堅牢な販売戦略をとりつつも、NTTドコモを追い抜くことはせず、かといってソフトバンクの猛追に追い抜かれることはなく、現在の地位を築いています。

ナンバー2の地位をキープするのにはコツがいります。ナンバー1からの嫌がらせに耐え抜かぜばならず、3位以下のライバルには追いぬかれてはいけません。舵取りはたしかに難しいのですが、独特の心地よさがあります。

1.気楽さ
ナンバー1の重圧は計り知れないものがあります。未知の領域を切り開かねばならず、誰もが仰ぎ見る存在のために悪いことができません。「横綱相撲」を求められ、「紳士たれ」「業界の盟主たれ」といった世間の注文にも応えなければなりません。その重圧は並大抵のものではありません。

その点、ナンバー2は気楽なもの。ナンバー1が世間の重圧をすべて受け止めれくれます。批判がナンバー2に向かうことは滅多にないために、スケープゴートとなることから免れます。

2.社会的地位
そうはいっても、世間から評価をもっとも受けるのはナンバー1です。賞賛はナンバー1が最も集めます。

ところがナンバー2までならば、世間ではかなり評価をしてくれます。たとえば、金銀銅と並び称される割には銅の扱いはひどいもの。貴金属として扱われることはありません。でも、銀までならば貴金属とみなされ、人によっては金よりも好きだ、と言われることすらあります。

3.競争心の維持
トップとなった人々に必ず生まれるのが"慢心"というもの。これは怖いですね。
それだけではなく、冒険ができずに"減点主義"となる危険性もあります。

最近ですと、OSでナンバー1の地位を築いたマイクロソフト。あまりに圧倒的な地位を築いてしまったために、社員に慢心が生まれました。また、間違ったことが出来ずに新しいサービスを生み出せず、いつの間にかGoogleやアップルの後塵を廃することが多くなりました。

このように、いざトップに躍り出てしまうと、競争心が薄れて官僚的になる危険性がありますが、ナンバー2にはその心配がありません。

常にナンバー1の動向を意識しつつ、引き離されないように努力しているために、社内に慢心が生まれる危険性はあまりありません。

たとえばマイクロソフトが商用PCのOS分野でのナンバー1ならば、常にアップルがナンバー2でした。「マイクロソフトを追い抜こう」という意識が社内に高く、そのために大きな改革を幾度となく行ってきました。一度追い落としたジョブズを呼び寄せるほどの改革を断行できたのは、彼らに慢心がなかったからでしょう。

4.コアなファンの獲得
ナンバー1が最大公約数の人々からの支持を獲得するとしたら、ナンバー2を支持するのはコアなファンです。先述のアップルには「マカー」と呼ばれるマニアからの熱狂的な支持を受けています。

AKB48で前田敦子が大人気だった頃、ナンバー2である大島優子のファンは「コリス推し」などといってやや狂的な応援をすることで知られていたそうです(と、AKBについて詳しい友人が言っていました。事実かどうか分かりません)。

野球チームで一番の人気を誇る巨人ファンよりも、第二位の人気の阪神ファンの熱狂など、思いつく限りでもたくさんありますよね。

熱狂的なファンの声援は心地よいものです。ときに怖くなるとしても。

5.力の温存
ナンバー1の地位を保つためには、自分の持てるエネルギーをすべて注ぎ込むことがときに必要です。ところが、ナンバー2は、そこまで力を注ぐ必要はありません。ナンバー1から置いてきぼりをくらわないように注意をしつつも、追い抜く一歩手前で力を温存しておけば、エネルギーが蓄積されます。

これがいざという時に役立ちます。

もしもナンバー1からあらぬ嫌がらせを受ければ、そのエネルギーで持ってバッサリと返り討ちしてしまってもいいですし、いつでも倒せると脅迫して、追い落とす気力をそぎ取ることだって可能です。それを何度も繰り返すうちに、ナンバー1からの嫌がらせもなくなります。

さらに言えば、エネルギーが余っているからこそ、ナンバー3以下の猛追にも耐えられるのです。余裕があれば、大抵の脅威に打ち勝つことが出来ます。

6.マネすればいい
実はこれがナンバー2の醍醐味。何をすればいいのか、ナンバー1が考えてくれます。あとはそれをマネすればいいし、その中で失敗があればうまく取り除いてマネすればいいのです。

ナンバー1は満身創痍。ストレスが多く、無理がたたって身体にもガタが来ている事が多いのですが、その後ろでナンバー1を風よけにつかっていたナンバー2は、余裕があります。ナンバー1よりもナンバー2の会社の雰囲気の方がいい、と言われる所以です。


「何が何でも一番をとってやる!」
という姿勢はカッコイイものです。でも、それが自分の性格にあっているかどうか、考えてみてください。

もしも性格的に激しい競争が無理ならば、1位をねらわずに敢えてナンバー2を目指す、という戦略をとるのも面白いかもしれません。


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