2013年10月5日土曜日

コウモリが吸血鬼伝説に貢献した理由

吸血鬼とコウモリのイメージは分かちがたく結びついている。

夜にのみ活動し、薄暗い湿った場所を好み、何より血を吸う、という共通項があるために、両者のイメージが合致したのだろう。いや、そもそも空想の産物である吸血鬼は、コウモリのイメージから創られたに違いない――そう思っていたのだが、どうやら、そうではないらしい。

ナミチスイコウモリという種は、その鋭い歯で大型動物の皮膚に傷をつけ、舌で血をなめとる。
彼らのような存在があることは、世界中によく知られている。しかし彼らの生息地はアメリカ大陸だけで、吸血鬼伝説が育まれたヨーロッパではないことはあまり知られていない。ヨーロッパにも、そしてアフリカにもアジアにも、吸血コウモリはいないのだ。

だから、チスイコウモリのイメージが吸血鬼伝説に大きく寄与した、訳ではないらしい。

では、コウモリは吸血鬼伝説にほとんど寄与していないのかといえば、そういう訳でもないようだ。もう少し、両者の関係をひとひねりする必要がある。

★ 感染源動物のトップはコウモリ=狂犬病が増加傾向
 犬の場合、物事に極めて過敏になり、狂躁状態となって目の前にあるものすべてにかみつく(狂躁型)のが主な症状。その後全身麻痺が起こり、昏睡状態になって死亡する。発病後終始麻痺状態の動物も認められている(麻痺型)。
 ほかの動物や人も基本的には犬と同じ。人は水を飲む時にその刺激で咽喉頭や全身の痙縮が起こり、苦痛で水が飲めないことから「恐水症」とも呼ばれる。
吸血鬼に噛まれた人は、吸血鬼になる、という説もあれば、ゾンビ化して人間を襲う、という伝承もある。後者の伝承に、狂犬病が関与したと考えられないだろうか。

人間がコウモリに噛み付かれたり、あるいは、廃屋に足を踏み入れコウモリの糞が傷口に入ったりすると、狂犬病を発症することがある。

そうなると、誰彼と無く噛みつき、意識は混濁し、やがてその人は死ぬ。身体を調べると傷口がある。そこで周囲の人々は、
「これは化物によって血を吸われ、その結果、このような症状が出たに違いない。化物(=吸血鬼)の仕業だ」
と考えたのかもしれない。

ちなみにコウモリが保菌しているのは、狂犬病ウイルスだけではない。エボラウイルスやインフルエンザウイルスなどの厄介なウイルスも保菌している。

★ とあるコウモリの恋愛遍歴

そうすると、吸血鬼の多様なイメージは、コウモリの持つウイルスの多様な罹患症状が生み出したものなのだろう。

ちなみに、吸血鬼をもとにした創作をする人の中には、あまりにもオリジナルな能力考え過ぎて、何がなんだか分からなくなった作品を作る人がいる。そもそも想像の産物である吸血鬼、どう書こうか勝手だが、もとのオリジナルからかけ離れすぎると、途端にリアリティがなくなるものだ。

そんな時、吸血鬼のイメージが原点から遠く隔たることがないよう、コウモリが保有するウイルスがもたらす症状を調べる、いうのもいいアイデアかもだろう。それが基本に還る、ということなのかも。

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