2013年10月31日木曜日

愛読書から推測する、その人物 ~オバマ大統領の場合~

その人が何を考えているのか? どのような信念に基づいて、その決断を行うのか?

それを明らかにすることは難しい。その人がどのように生きてきて、どのような人と出会い、どのように認識をしたのか……さまざまなことを知らなければ、その人の思想を垣間見ることは困難だ。

だが、
「友達を見れば、その人の品性が分かる」
などと言われているように、その人の交友関係や嗜好によって、その人の中身をある程度、予測することが出来る。同じように、愛読書に注目することで、その人の思考、哲学を推測できるのではないか、と思うのだ。

先日Yahoo!の新しい新CEOであるマリッサ・メイヤーについて書いたが、そのネタ元となったのは、各界の著名人の愛読書を紹介した記事"Books Extremely Successful People Read"である。同じように、この記事で紹介されている人々の愛読書を紹介がてら、その人となりを時々、推測してみようと思う。

一回目として、まずはオバマ大統領を取り上げたい。
★ Obama's Favorite Books

『ソロモンの歌』


赤ん坊でなくなっても母の乳を飲んでいた黒人の少年は、ミルクマンと渾名された。鳥のように空を飛ぶことは叶わぬと知っては絶望し、家族とさえ馴染めない内気な少年だった。だが、親友ギターの導きで、叔母で密造酒の売人パイロットの家を訪れたとき、彼は自らの家族をめぐる奇怪な物語を知り、そのルーツに興味を持つようになる―オバマ大統領が人生最高の書に挙げる、ノーベル賞作家の出世作。全米批評家協会賞受賞。(Amazonによる本書紹介)
 あらすじはAmazonよりも、下記のブログ記事の方がわかりやすかったので引用する。
ある事情でミルクマンというあだ名をつけられた黒人の少年が、成長の過程で自分を取り巻く人々の秘密を知ってゆく。両親の激しい対立。父と叔母の間にある深い確執。祖父の死をめぐる謎。そして気の置けない親友が、実は白人憎悪に凝り固まって無差別殺人に手を染めているという恐ろしい事実。
 やがて彼の人生を支配しようとする両親や、彼を憎悪する姉、彼を殺そうと付け狙う恋人など、様々な人間関係が嫌になったミルクマンは、町を出て自分の家系のルーツを探し求める一人旅を始める。だが、そんな彼を裏切り者と見なした親友が、彼を抹殺すべくあとを追ってくることを、ミルクマンは知るよしもなかった・・・。
 思わず息をのむような劇的なストーリー展開、暴力的な挿話、迫力ある生々しい描写。それでいて全体を豊かに包みこむ神話的な象徴性。今そこで起きている出来事でさえ昔話のようにあっさりと語っていたこれまでの作品と違って、はるかに直接的でくっきりとした語り口の小説です。
サイト『ソロモンの歌』(トニ・モリスン) [読書(小説・詩)]より

『白鯨』


アメリカの著名人の愛読書を調べると、『白鯨』を選ぶ人がやたらと多い。日本でいう『竜馬がゆく』のようなものなのか? 国民的な人気をこの本は誇っているようだ。

私は子供の頃に読んだ。白いマッコウクジラであるモービィ・ディックを追う、片足の船長の狂気が印象的だったが、所詮少年向けの名作劇場シリーズのものであり、たぶん多くが割愛されていたのだろう、誰かの愛読書となるほど、面白いとは思えなかった。

ところが、
「モービィ・ディック」と呼ばれる巨大な白い鯨をめぐって繰り広げられる、メルヴィル(一八一九‐一八九一)の最高傑作。海洋冒険小説の枠組みに納まりきらない法外なスケールと独自のスタイルを誇る、象徴性に満ちた「知的ごった煮」。新訳。
(Amazonによる本書紹介)
という紹介文を読んでみると、興味が改めて湧く。

『Parting the Waters: America in the King Years 1954-63』


未翻訳、らしい。『水を分かつ』という名前で紹介されることが多いようだ。

著者はテイラー・ブランチ。内容は、1954年の「人種差別は違憲」というブラウン判決から、1963年のキング牧師のワシントン大行進までの9年間を描いた作品だという。黒人ならば、避けては通れない作品なのだろう。

『Gilead』


これも未翻訳。著者はマリリン・ロビンソンという白人女性。
美しい散文で、死を前にした老牧師の回想と、まだ幼い子供と妻への思いが綴られて行く。神を信じつつも、妻子に殆ど財産らしいものを残さないことへの不安を持ちながら、長い牧師生活を振り返っていく。
しかし多くの日本の読者には、この本を理解することは難しいだろう。キリスト教の家庭に育ち、牧師の生活をある程度分かっている私でも、殆ど筋らしいものがなく、淡々と進む回想を読むのがしんどく思えたことが何度かあった。
稀なほど、美しく繊細な本であるが、日本ではごく小数の人にのみ愛されるのではないだろうか。
(Amazon書評による本書紹介)
淡々とした牧師の述懐のようだ。世俗的な欲望を捨て、信仰に生きることを決意することは、資本主義の総本山であるアメリカではしんどいことだろう。その中の不安と、それでも誇りを持って死ぬ充実感を描いた作品のようだ。

『自己信頼』


語りかけてくるようなやさしい文体で、
オバマ大統領の座右の書のエッセンスに触れることができます。
疲れていてもすっと心に入ってくる本でした。
自分の道を見出したいと願う人へオススメです。
エマソンを読んだことのない人への入門書としてもオススメです。
様々な人や自己啓発本からのアドバイスが波となって押し寄せ、
そのうねりが胸元までに迫るが、まだ道は見えず焦りに歯噛みするような時、
この本は自分自身を信じよと言い、
その言葉に気づくところがあります。(Amazon書評による本書紹介)
自己啓発書の一種ではあるけれども、何よりも「自分を信頼すること」に重点を絞った内容のようだ。オバマ大統領が、困難な状況にもかかわらず、決して「ブレない」のは、この本に勇気づけられる事が大きいからかもしれない。


さて。

彼の愛読書を並べてみると、まず明らかなのは、オバマという人物は、自分が黒人である、という意識を常に持っているということ。

これはまあ、当たり前といえば当たり前。黒人はアメリカの歴史では、差別される側だった。オバマ大統領は、その中から世界最高の地位にまで這い上がった立志伝中の人物だ。常に自分の出自を意識するのは当たり前といえばいえる。

だが、彼が好むのは「差別」という歴史を学び、恨みを新たにすることではない。その体験を自分構築のために役立て、さらにはそこで立ち止まらず、困難にもめげず、この世界を冒険していこう、という姿勢。それが彼の愛読書から見て取れる。

また、少々宗教的な人物なのかもしれない。聖書も彼の愛読者の一つであるし、牧師の生涯をたどる散文詩を、彼は愛している。生きるのが困難な世の中で、それでも人を愛するとは何かを常に意識しているのだろう。

先日、揉めに揉めた連邦議会はようやく協調に転じ、オバマ米大統領は米政府の債務上限を来年2月初旬までの間、引き上げることに成功した。債務不履行の恐れがしばらくの間はなくなり、閉鎖されていた政府機関も再開した。今は盗聴問題やオバマケアシステムの不調で揉めているが、これもうまく収束させるだろう。

幾多の混乱にもかかわらず、ブレない彼の精神は強い。その強い精神を形作る一端を、愛読書がになったのは間違いない。

とりあえず『白鯨』を今度読まなくては。

2013年10月30日水曜日

25年目の真実

手塚治虫の『ブラックジャック』第11話に「ナダレ」というタイトルの作品がある。
ある研究者が、動物の知性をより高度化するために、胸部に脳を格納して、脳の発達をうながせば、動物でも人間並の知性がそなわると主張して、その実験をブラックジャックに依頼する。

研究者が昔から飼っていた子鹿の胸部へ脳を格納する手術をブラックジャックは見事成功させる。

ところが、研究者が海外に出かけている愛大に、飼育施設から鹿は逃げ出し、自然を守るために自然破壊を行う人間を殺害し始める。

結局、研究者は鹿を殺してThe Endなのだが、その最後のシーンがこれ。
これを読んだのは、もしかしたら25年前かもしれない。
そして今、分かった。

さばく=裁く=(肉を)さばく

手塚先生のダジャレですよね、これ?
25年目にして、ようやくダジャレの存在を知りました。

2013年10月29日火曜日

共感力欠如は脳の構造変化? だったらホリエモンは?

権力者が傲慢になるのは、権力者自身の考え方の問題ではなくて、脳の構造変化が原因だという研究結果がカナダの大学から発表された。

★ 「権力者の傲慢」は脳の仕組みに起因? カナダ研究
しかし今回の研究で、人が権力を持つと、脳が本来的に持っているメカニズムによってこの共感の仕組みが機能しなくなることが判明したという。
"共感"する力とはいったいなんだろうか? 上記の記事によれば、他者の感覚を共有する、脳に備わった能力のことだという。
過去の研究では、サルや人には、自分が物をつかもうとしている時と、他者が物をつかもうとしているのを見ている時とで脳が同じような反応をする共感の仕組みがあることが分かっている。

孟子の惻隠の情
この研究結果を知って考えたのは、今から2300年前の中国の哲学者・孟子が唱えた性善説のことだ。孟子は、人間には必ず「惻隠の情」というものが備わっている、だから人間の心の本質は「善」である、と考えて「性善説」を唱えた。
人皆な人に忍びざるの心有りと謂ふは、今人たちまち孺子の将に井に入らんとするを見れば、皆な怵惕たる惻隠の心有るが所以なり。
(人間に「忍びざるの心」が有ると言えるのは、幼児が井戸に入らんとするのを見れば、心配して気遣い、惻隠の心が自然と生じるからである)
見た対象の危険を自分のものとしてとらえ、そこから「助けなければいけない」と思う人間の気持ちが、善の発端であると孟子は説いたわけである。子供が井戸に落ちそうになる時にハッとなる心の動きは、親の気持ちに共感するというよりも、落ちようとする子供の気持ちに共感するものだろう。よって、共感力が善性を生み出す、とも言えるように思う。


『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』
「共感」が人間を人間たらしめるものと説いた小説もある。

著者のフィリップ・K・ディックは、人間と区別できないほどに進化したアンドロイドと人間を区別する唯一の手段が「共感力」の有無だと定義した。この考え方は多くの人に支持された。この小説は『ブレードランナー』という映画となり、日本のアニメにも多大な影響を与えている。

では、なぜこれほどまで必要な「共感力」を、権力を握った人は失ってしまうのだろうか?


堀江貴文は共感力がない
このことを考える際に参考となるのは、堀江貴文の存在だ。

★ 人生を変える劇薬 「アドラー心理学」がいまの日本に必要なワケ
 柿内 たしかにそれはありますが、連載を読んでもらえれば、その弱点はすべて解消されていることがおわかり頂けると思いますよ。そういえば、いま僕は堀江貴文さんの単行本(『ゼロ』)の編集をしているんですが、堀江貴文さんって、アドラー的な考え方を地でいっている人だと思っていて。たとえば、彼は東大時代に先輩とケンカして、「おまえは他人の気持ちがわからないのか!」と怒鳴られたそうなんですね。そこで堀江さんが言ったひと言が最高で。

 吉田 へえ、なんなんですか?

 柿内 「他人の気持ちなんて、わかるはずがないじゃないですか!!」ですよ。これはシンプルですが、世界の本質を見事に突いたひと言です。そして、とてもアドラー的。
堀江氏は「他人の気持ちを推し量ることはできない」という強い信念を持っている。本来だったら人間は必ず持っているはずの共感力が彼にはない。そんな彼には多くの崇拝者がいる。有料メルマガを発行しているが、購入者は10万人に上る。

女性にとっては、自分の言うことを聞かずに暴力をふるうような、いわゆる「オラオラ系」が昔から人気だ。あれも共感力を持たない人間の魅力だろう。


脳は進化の過程で変化した
共感力のない人間に、人々が魅力を感じ、時に指導者として崇め奉るのはなぜだろう? 

答えは簡単だ。人類の脳が進化の過程で、この仕組を取り入れたからだ。人間の脳の仕組みがそうなっているということは、人類が数百万年かけて、脳がそのように機能するように進化してきたからだ。

人類は、数百万年の間、共同体の構成員には共感力を必要とし、共感力のない人間をリーダーとして求めてきたのだ。

このことは、猿の群れがてんでバラバラに活動するよりも、協同する方が何事もうまくいくのを想像すればわかりやすいだろう。共感力が高い群れは、同調もたやすい。その結果、群れの結束力は高くなる。団結力の有る群れの生存率が高くなるだろう。

ところが、ボス猿は群れの猿と同じことをしていてはいけない。群れを安全な場所に連れて行ったり、群れを逃して自分は敵と戦ったり、新天地を目指して群れを率いたり……他の猿とは違うことを考える必要がある。そのためには、共感力を封印する必要がある。

つまり、脳が共感力を持っているのも、権力者がそれを失うのも、人類が生き残るために必要だったということだ。共感力が善悪を判断するための源泉だとしたら、共感力を失うことにより、善悪の基準を自ら創りだす能力を獲得する、とも言えるかもしれない。

低い能力の人間が共感力すらなければ、群れから追い出されてしまうが、高い能力の人間にはリーダーとなってもらい、さらには共感力を封印して、群れとは別個の視点で状況判断してもらった方がいい。


時代は変化した
だが、残念ながら、今では時代が違う。原始時代だったらともかく、現代社会は高度に発達している。人類全体で、善悪の基準がある程度共有化されている。もはやその基準から逸脱することは許されない。

ところが、数百万年かけて獲得した脳の機能のお陰で、共感力を失った指導者たちは、それゆえに多くの支持者には恵まれるものの、社会のルールから逸脱する道を安易に選び、その結果あっという間に没落してしまう。

先日取り上げた徳洲会のケースもこれに当たるかもしれない。何より先述の堀江貴文の一連の騒動が記憶に新しい。

進化の過程で、人間の脳は多くの機能を有するに至ったが、その中には現代社会にとってはそぐわないものも多い。その一つが権力者の脳から共感力が失われる、という仕組みではないか。

それを避けるために、権力者となった本人が自覚をして、理性によって脳をコントロールしていく必要があるのだろう。

2013年10月28日月曜日

スマフォもいいが、メモ帳も見直そう

スマートフォンを持つ人が増え、多くの人が、手帳やメモ帳を持ち歩かなくなったのではないか。

スケジュールをアラームで知らせてくれたり、友人の誕生日がすでに入力されていたりという点で、手書き手帳よりもガラケーと呼ばれる携帯が優れている点は、これまでも多かった。

その上スマフォになって画面が見やすく、入力もしやすくなり、記憶容量が増えたためにいくらでも入力できるようになった。手帳やメモ帳にできることは、スマフォでほぼできる。

電源を入れないと見ることができないとか、わずかに入力に時間がかかるとかの点では、まだ手書きのメモ帳に軍配が上がるかもしれない。でも、そのためだけでノートや手帳をわざわざカバンに忍ばせるのはムダではないか?

スマフォは連絡のための必需品として、カバンに常に入れる。だったらスマフォ一台あれば、ことたりると考える人は、多いだろう。

ところが私、最近になって、自由にメモできるメモ帳を一冊、カバンに忍ばせるようになった。「考えをまとめる」という点では、手書きメモ帳はスマフォと同じどころか、はるかにまさることが段々とわかってきたからだ。

1.ネットにつながっていない
ネットがあると、ネットですべて調べてしまいそうになり、自分の脳を使わなくなる。私のように、毎日ブログを書いていると、ネタに困ることがある。その時に、パソコンやスマフォをじっとにらみ、ネットでネタを調べることが多かったが、あるときに、その時間を記録すると、思った以上に時間を取られていることが分かった。

そうなのだ。ネットには時間を取られるのだ。ふと気づくと、丸一日経っていた、ということすらある。それでいながら、ネットに転がっている以上の発想はほとんど生まれない。

だから、アイデアを頭からしぼりだそうとするときには、ネットから距離を置こうとおもった。すぐにネットができる環境にいてはいけない。ネットから物理的に離れる必要がある。その目的のためにも、手書きメモ帳は有効なのである。

2.目に優しい
モニター画面の光量を少なくなるように設定している。それでも、自ら発光する画面を見つめることは、目にとっては負担だ。メモ帳にはその負担がない。

3.書くことで、アイデアが湧く
漢字を久々にメモ帳に書こうとして、思い出せなくて唖然としたことはないだろうか? 漢字をどう書けば良かったか、忘れてしまうのだ。人間の脳からは、使わない機能はだんだんと失われてしまう。

だが、アイデアというのは、「(正⇔反)→合」という、既存の記憶同士のブレイクスルー、あるいは新しい組み合わせから生み出されるもの。よほどの天才でない限り、記憶の蓄積がなければ新しいアイデアは湧いてこないもの。その記憶が曖昧だと、発想も鈍るのではないか?

手で書くことで、さまざまな記憶が引き出される。その引き出され方は、スマフォを操作しているときよりも大きく感じる。

なにより、大きく手を動かしていると、親指のみで入力しているときよりもはるかにアイデアが湧きやすい。

4.脳を自由にする
スマフォの機能は、案外細分化されている。メモ帳はここ、スケジュール表はここ、お絵かきアプリはこれ、連絡帳はここ……などというように。

そのような道具としてはスマフォは便利だ。けれども、いちいちそれを認識するのはやや面倒なのだ。スケジュールもメモも、ToDoリストも何もかもが、一つにまとまっていて、それを見れば万事OKというごった煮の安心感が、メモ帳にはある。メモ帳を使うようになって、それがしみじみと分かる。

私の言っていることが分かりにくい?

そうかもしれない。その良さは、使ってみないと分からないたぐいのものだからだ。ただ言えること、それは、スケジュールなのか、メモなのか、リストなのかアイデアなのか、頭にある段階ではまだ明確ではないアイデアが無数にあり、それをそのままノートに書き出すことで、まとまっていくアイデアというものが私にはあるし、これを読んでいるあなたにもあるのではないか? ということだ。

何も考えずにノートを開き、最初から順番に記載するだけでいい、という気軽なメモ帳を一冊持つ安心感は、計り知れないものがある。

「それを開けば、大切なことがすぐそこに書かれている」
「それを開いて、書けばいい」

この良さは、手帳からスマフォへと全て切り替えた後に、メモ帳へと回帰したときに、改めて理解できたものだった。

5.スマフォよりも融通がきく
メモ帳には文字を大きく書いたり、小さく書いたり、先ほど書いたアイデアに新たに別のアイデアを付け加えたりすることが、自由にできる。

スマフォにしかできない自由さも無論あって、大量に書いた文章を、切り取って別の箇所に挿入するコピペ作業はスマフォの方がはるかに便利だが、逆に思いついたアイデアをその場でいろいろなページに書き留める手軽さは、メモ帳がまさるのではないか?

ノートといえば、学校で習った書き方に縛られて窮屈にとらえる人が多いと思う。だが、もう学校を卒業して何年もたつのだ。考えをまとめるために、紙のノートはもっと自由に柔軟に使っていい。付箋をはり、やぶき、ページを折り、さまざまな内容のものを脈絡もなく、順番も気にせずに書き留めればいい。そのようなノートの使い方をするうちに、さまざまなアイデアが湧くようになる。

こうして、気づいてみるとメモ帳は、携帯と同じように、日常の必需品となった。

ちなみに以下のメモ帳は、私が最近進めている電子書籍のアイデアをまとめたもの。
どうせスマフォのお陰で、電話帳もメモ帳も、ウォークマンも本も、すべてコンパクトにまとまり、カバンには十分な余裕があるはず。ノートやメモ帳一冊くらい、入るだけの余裕はあるはずなのだ。どうでしょう? 思い切って、メモ帳を一冊、カバンに忍ばせてみては?

ちなみに、私が以前使って便利だったのは、モレスキンの無地のノート。

いいのは分かっているけれども少々値が張るので、今は無印の無地ノートで我慢している。でも、多少高くてもいい、という方にはモレスキンがお勧めだ。

2013年10月27日日曜日

予測ではフジテレビドラマ『家族の裏事情』の視聴率は大爆死する

最近フジテレビの『家族の裏事情』のポスターが公共機関のいたるところに張っている。
http://www.fujitv.co.jp/urajijyo/index.htmlより
視聴率で低迷するフジテレビは汚名返上を目論見、さまざまな方法を模索している。

その一環として、金曜ドラマ枠を復活させることを決めたそうだ。半沢直樹の高視聴率に刺激を受けたのだろう。その第一弾が『家族の裏事情』。よってこのドラマには、ある意味、社運がかかっていると言ってもいいと思う。

内容は、幸せそうに見える家族の裏の姿が次々に明らかにされる、というものらしい。第一回目の放送は一昨日の10月25日(金)だった。

テレビの視聴率を調査し、発表しているビデオリサーチ社は土日祝日が休み。金曜日~日曜日の視聴率は明日、月曜日に発表される。

私はドラマを見ていない。ポスターを見て、それからネットに転がるこのドラマのあらすじを読み、そこから大胆に予測するのだが、視聴率は大コケすると思う。多分、5%いかないのではないか。

『あまちゃん』『半沢直樹』『ドクターX~外科医・大門未知子~』など、最近高視聴率のドラマが続々と現れている一方で、『夫のカノジョ』のように低視聴率にあえぐドラマがある。

★ 川口春奈 主演ドラマ低視聴率に「数字が怖い」
 壇上では、24日放送の初回視聴率が4・7%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)とふるわなかった主演ドラマ「夫のカノジョ」(TBS系、木曜、後9・00)について自ら触れ、「数字がこわい」と明かした。
幸せな家庭や成功者たちの裏側は、こんなにドロドロとしている、という「家政婦は見た」的なドラマが、一時期一世を風靡した。また、バラエティーでも芸能人の裏の顔を紹介する露悪的な番組が増えた時期があった。その時期は、不倫や浮気のような不真面目な恋愛もこぞって人々が取り上げていた。

平成不況が続き、社会の中に格差が増え、社会の中に不満がたまっていた。そのはけ口を世間が欲していたのだろう。『家族の裏事情』――その時期だったら、高視聴率を取れただろうが、今、世間の風向きはやや、変わっている。

六本木ヒルズの成功者たち……ホリエモンとか関口房朗などは第一線を退き、成功者を戯画化した与沢翼のような人間が出てくるに及び、彼ら成金への憧憬は軽蔑へと変わった。成功者に嫉妬したり、カネはないけどせめて恋愛だけはバブルカムバック的に不倫や浮気をもてはやしたりする風潮は一段落して、もっと別のものを、人々は求めているように思う。

たとえばここ最近の人気作品に共通しているのは「真摯さ」ではないか。マジメな人間が壁にぶつかり、悩み、苦しみながら、それでも一生懸命に生きていく、というドラマを、今の人々は求めているのではないか。

だから『家族の裏事情』のような下世話なタイトルで、なおかつ内容もそのままのようなドラマは、人々から敬遠されるのではないだろうか?

……さて、この予想が当たっているかどうかは、下記の視聴率ランキングを明日見れば、分かる。

★ http://artv.info/ar1310.html

予測が外れれば、赤面モノ。さて、どうなりますかね?

(10/28追記)

結果は6.5%の視聴率だった。

★ フジ金曜ドラマ第1弾「家族の裏事情」初回は6・5%

5%を越えたので予測は外れたが、視聴率として大コケと言えるレベルではある。当たったと言って喜べないけれども大きく外れたわけでもないので赤面も出来ず、という微妙な結果となった。

いずれにしても、これからもっと視聴率は下がるだろう。

2013年10月26日土曜日

パチンコ業界を潰せる?

パチンコ業界では日常的に違法行為が行われていることをつい最近知った。

危ない情報を扱うことで有名な『実話ナックルズ』を出版しているミリオン出版のサイト「日刊ナックルズ」のこの記事。

★ 最も効果的なパチンコ業界の潰し方とは? 日本の賭博(ギャンブル)基礎知識編:2

やや記事が長いので、要約すると、
  • 賭博罪にひっかからないように、パチンコ店舗では出玉を直接換金しない。出玉を景品に換え、景品を古物商許可証を持つ交換所に持ち込んでカネと換えるという、三店方式を採用している。
  • ところが、古物営業法では、換金総額が1万円を超える取引では、客の身元確認が義務づけられている。それが一切、守られていない。
  • それを在特会などが動画にアップして、問題を指摘すれば、パチンコ業界を潰すことができるのではないか?
という指摘だ。

面白いと思った。駅前一等地に必ず賭博場があるのは日本くらいだと言われている。パチンコのお陰で人生を棒に振った人間も多い。その上パチンコに費やされたカネは、暴力団や北朝鮮などの怪しげな団体へ吸い込まれているというではないか。パチンコのたぐいは一切やらない私としては、この業界が潰れれば嬉しい。そこで、記事を読んで一瞬、喜んだ。

ところが、お馴染みWikipediaで「三店方式」を調べると、すでにこの問題は指摘されていて、その上で、形骸化した規則なために警察は摘発に不熱心だとも書かれていた。

パチンコ業界には警察官僚が多数天下りしているので、ここを潰すのは容易じゃなかろう。潰そうとすれば、警察から逆に潰されそうだ。まあ、無理なのだろう。

一番いい方法は、こういった賭博に一切、関わらないように、人々の意識を変えていくこと。あるいは携帯ゲームのような、別の遊戯に人々を誘導すること。強制的に何かを変えようとしても、軋轢を生むばかりで良い結果をうまないことは歴史が証明しているような気がするが、如何?

2013年10月25日金曜日

徳洲会がまさかこれほどブラックだったとは……

徳洲会のことを初めて知ったのは、私が浪人生時代。徳洲会創立者である徳田虎雄の自伝をマンガで読んだのがキッカケだ。
明日はいい日だ 徳田虎雄 立志青雲編 全2巻完結 [マーケットプレイスコミックセット]

貧しい者が苦しむ世の中の矛盾に立腹して、医者となって苦しい人々を救いたいと決意した幼き徳田氏。でも、いくら勉強しても成績が伸びず、何度もくじけそうになる。自分の頭を呪うその苦難の日々を読み、共感して涙した。俺も頭、悪かったもんなぁ。

自分を信じてニ浪して、ようやく医学部合格を果たす。浪人中にこの本を読んで、どれほど励まされたか分からない。

鹿児島市のさらに南、ど田舎の徳之島から大阪へやってきて、医学部へ合格し、そして地域の医療を改革し続け、医者の傲慢を打ち砕いて真の医療改革を成し遂げるまで……貧困、差別といった障害に負けずに、壮絶な人生を生きてきた徳田虎雄氏のことを尊敬した私は、無事大学に進んだのちに、徳州会主催の地域イベントで誘導員のバイトをしたことがある。

マンガを読んだ余韻もあり、一緒に働いていた二人の看護師に、
「私、徳田氏のこと、尊敬しているんです」
と話したところ、20代と40代の看護師二人は顔を見つめ合い、曖昧な表情を浮かべ、40代の方から、
「学生さんは、純粋でいいよね」
とつぶやかれたのを昨日のように思い出す。

その当時は、
(看護師や医者は、選挙の応援に駆り出されると聞いたから、それが鬱陶しいのだろう)
としか思わなかったのだが……闇はもっと深かった。

これは10/21の記事だが、

★ 新理事長の鈴木氏、選挙関与否定会見は虚偽 運動員を直接鼓舞
徳洲会グループの公職選挙法違反事件をめぐり、昨年12月の衆院選で、医療法人徳洲会の鈴木隆夫新理事長が複数回、鹿児島に出向いて、運動員を直接鼓舞していたことが分かった。選挙への関与を否定した記者会見での発言が虚偽だったことになる。20日の臨時理事会では鈴木氏が発言を覆す一幕もあった。
とにかく徳田一族の選挙にかける情熱は、並々ならぬものがあった。その陰で、数多くの選挙違反があった。上記の運動員への利益供与などは甘いほうで、

★ 徳洲会 容疑者逃亡を支援 平成3~9年「虎雄氏指示」証言
 昨年の衆院選をめぐる同法違反容疑で東京地検特捜部の強制捜査を受けた徳洲会だが、複数の幹部が職員の逃亡を組織的に手助けしていた。
 3人のうち、鹿児島県内のグループ病院職員だった男性は、3年2月の同県伊仙町長選で、徳田氏が支援した候補者陣営の選挙運動を担当し、不在者投票用紙を偽造した有印私文書偽造、同行使の容疑で鹿児島県警から指名手配された。
不在者投票用紙の偽造……これは明らかな犯罪だ。いくら志が尊くとも、絶対にやってはいけないことがある。選挙違反にも、限度というものがある。出会い系サイトを利用するために資格証を偽造するのとは違うのだ。民主主義の根幹への挑戦であり、これではマフィアと、変わらない。

徳洲会は日本最大の医療グループだけれども、
  • 24時間救急患者を受け入れる
  • 患者からの贈り物は一切受け取らない
  • 差額ベッドの廃止
などさまざまな改革をおこなったために医師会からは嫌われた。徳田氏は、衆議院議員となり自民党に入党しても、三日間で追い出されるといった苦難を舐めた。その中から選挙に勝ち続け、多くの人々を救うためにも法律違反は仕方ない、と思い切ったのだろう。

だが、その姿勢は、間違っていたのではないか?

徳田虎雄の次男の徳田毅氏が新婚してすぐに知人女性に乱暴を働き、示談へともちこんだという記事が週刊新潮に掲載されたのは記憶に新しい。

★ 徳田前政務官の「女性問題」辞任 「古傷」が影響?野党はダンマリ
日本最大の民間医療組織『徳洲会』の御曹司、徳田毅代議士は41歳の若さで国交大臣政務官に抜擢された。だが、前途洋々の彼には政治家の資質を問われる脛の傷があった。新婚早々、知人の若い女性を酔わせ、強引に関係を持ち、裁判を起こされたのだ。その訴状には破廉恥な一夜の顛末が…
とある。議員当選前の話とはいえ、暴行事件を起こすというのは尋常じゃない。それをもみ消そうとした父親、徳田虎雄の判断は、どう考えても間違っている。

たしかにこの世界は、矛盾に満ちている。そのために苦しんでいる人がたくさんいる。

だが、それを解決するための大きな権力を手に入れられる資格のある人は、残念ながらそれほど多くはない。過去にスキャンダルがなく、財力があり、人気も高く、その上能力も高いという人間は、数が限られているからだ。残念ながら、徳田氏はその器ではなかった、ということなのだろう。

あのとき……浪人時代に、徳田氏の本を読んではげまされた身としては、徳田一族の一連の騒動は、悲しくてならない。彼の奥さんも、銀行の窓口で受付をしていたが一念発起して、大学に入りなおして薬剤師になったという経歴を持っている。素晴らしい家族なのに、どうして、このような結末を迎えてしまったのだろうか?

初志は間違いなく、高かった。目標とするものも、素晴らしいものだった。だが、過程において、法律違反を当然のことと思い、なおかつそれを隠すことも正しいことだと考えていた。ここが間違いの発端だったのだろう。

尊い志を遂げるために、目的は手段を正当化すると思い、過程を蔑ろにする姿勢は、深刻な傷跡を周囲に刻みつける。法律や道徳を破り続けていると、決まりを軽んじるという姿勢が周囲に伝染する。尊い精神の感染力よりも、下衆な価値観の感染力の方が大きいからだ。

健康は伝染しないが、病気は伝染するのだ。

どこかで息を抜くことは必要だろう。間違いや過ちを、人はおかすこともある。でも、それを正しいことだと思っては、ダメなのだ。悪癖は蓄積し、最も弱い部分にその弊害が現れるものなのだから。どこかで発生した癌は、徳洲会全体に転移し、手遅れとなってしまった。

2013年10月24日木曜日

愛読書から推測する、マリッサ・メイヤーという人物

2012年7月16日に、アメリカのYahoo!社がGoogle社の副社長だったマリッサ・メイヤーを最高経営者として引き入れて、1年と4ヶ月。先々月には、Yahoo!が大きく変わりつつある記事が紹介されている。

★ “ガリ勉マリッサ”がヤフーにもたらしたもの

この女性、Googleの創業者であるラリー・ペイジの元彼女だそうだ。
Googleの20人目のメンバーであるけれども、コネ入社というわけではなく、元々の資質が高い女性のようだ。やり手で、その上美貌の持ち主。興味を持って、彼女について少しずつ調べてみた。高評価は上記記事に書いているが、悪評としては下記記事に詳しい。

★ マリッサ・メイヤーの裏の顔
これは、メイヤーと働いた経験のある元Googleエグゼキュティブに昨日電話で長々と取材して聞き出した、彼女と、彼女のような立場の人たちの評価だという。
その彼女曰く、メイヤーは「誰よりも人一倍働き者」で、「世の中の人の99%よりは頭もいい」が、「身の程をわきまえず」、「管理のことは何も知らず、脅迫・侮辱で押さえ込むぐらいしか能がない」のだという。
一癖も二癖もある大勢のGoogle社の社員を若いながらひとまとめにするのだ。脅しもすればすかしもするだろう。それに、暴力は決して使っていまい。この悪評を読んでも、彼女に悪い印象をさほど、もたなかった。むしろ、さらに興味を抱く。

私が何よりも関心をもったのは、こういった人物の信念は、どのようなものなのだろう? というもの。

それを調べていく内に、彼女の愛読書について書かれた記事を見つけた。

★ Marissa Mayer: Google’s Chic Geek

上記記事によれば、愛読書は、『The Design of Everyday Things』だという。

和訳が『誰のためのデザイン?』という邦題で出ていた。

「…私は引いて開けるドアを押してしまったり、押して開けるドアを引いてしまったり、横に滑って開くドアに正面から突っ込んでいってしまったりする…」
   これは、本書の冒頭で語られる著者の失敗のひとつである。こうした失敗を、普通の人間なら単なる自分の「ついうっかり」として見逃してしまうところなのだが、著者は見逃さなかった。それは彼が認知科学者として数多くの産業事故の研究を行い、多くの事故が人間による操作ミスの一言でくくられてしまうことに疑問を持っていたからである。
   著者ドナルド・A・ノーマンは、認知心理学者であり、ヒューマンインタフェース研究の草分け的存在だ。そして本書は、電話機、パソコン、蛇口、コンロなど、私たちの身の周りにある道具と人間の関係を真剣に考える、道具の心理学の本である。
という内容のものだそうだ。Googleは、直感的に利用できるインターフェースという概念をとても大切にしている。誰でも見ただけで分かるシンプルなデザイン。彼女はこの本を読み込むことで、いつもその原点に立ち返るのだろう。
ある道具をうまく使えなかったら、それはあなたのせいではなくて道具のデザインが悪いせいである。
この本の主張はこの1文に集約できる、と私は敢えて断定します。日常の道具である電灯のスイッチやドアのデザインを具体例に、使いやすくデザインするための原則が丁寧に説明されています。
とアマゾンの書評で述べられている。

なるほどね。エレベーターの開閉ボタン
のような、間違えやすいデザイン(私は左側の「開く」ボタンを見ると、いつも両側から手のひらで押さえつけているイメージが頭に浮かんで「閉じる」だと認識してしまう)に腹を立てている身としては、この本の著者の考えに全面的に賛成だ。

彼女はこの本を読みながら、Googleを使いやすいものとすることに全力を傾けた。認知心理学をデザインに応用するという姿勢を常に持ってくれたおかげで、世界最高の検索エンジンが誰にとっても使いやすいものとなったことに、感謝しなくてはなるまい(そういえば、ブログサービスであるBloggerも随分、使いやすくなった)。どこに検索エンジンがあるのか、一瞬迷うようなサイトも多い中で、余白をそのままに、中央にデーンと検索窓を設置するシンプルなデザインには、多分彼女の意向が働いている。

上記記事には、最初は医者を目指していた彼女が、記号学に出会い、その奥深さに興味を持ち、次第にデータの表示がどのように人々の認識に影響を与えるのか、といった方面へと関心が移ったことが述べられていた。

彼女は、本質的にデザイナーであり、科学者なのだろう。推測するに、彼女は、ブラックボックスそのものの仕組みを解き明かすことや、新しいものを作り上げることよりも、実験をくりかえしてブラックボックスの中の法則を解き明かすことに興味を持つタイプなのではないか。

まずはやってみること。データを多く集めること。試行錯誤。ベストはベターの積み重ねにある。結果を重視。人間の認識は脳の習性ととらえる。主観よりも「大勢の人々が、どう認識するのか」に関心が向くタイプ……彼女の愛読書を知り、そんなイメージを持った。

Googleの素晴らしさは、デザインを科学的に分析できる、彼女のような人物を早期のうちに雇い入れて、管理者としてサイトの設計を任せたことにあるのだろうね。

2013年10月23日水曜日

『とくダネ!!』で紹介した被害者が加害者だったことが分かってフジテレビ自 爆(追記あり)

一つのメディアが退潮を迎えるのを見るのは寂しい。

昨日の大きな話題といえば、「笑っていいとも!」が終了する、というニュースだろう。

★ 「笑っていいとも!」終了へ
タレントのタモリさんが司会を務めて30年以上続き、ギネス世界記録にも認定された民放のバラエティ番組「笑っていいとも!」が、来年3月いっぱいで終了することになりました。

ローラがなんとかこの騒ぎに入り込もうと躍起になっていたのが気になったが、それはまあいい。
言いたいことは山ほどあるだろうが、タモリはそれを飲み込み、フジテレビに感謝を述べていた。訥々と語る落ち着いた話し方が、印象的だった。これで一つの時代が終わることが分かった。

彼ほどの成功者は、ふたたびテレビでは現れないかもしれない。その前に、テレビという媒体が、人々から見向きもされなくなる可能性があるからだ。テレビが段々と、信用を失いつつあるのが今である。

★ フジ『とくダネ!』で「2ちゃんねる中傷被害」を訴えていたベンチャー社長が逮捕
きっかけは大阪の太陽光発電設備販売会社『エステート24ホールディングス』の
社長・秋田新太郎(28)らが詐欺容疑で逮捕された事件。この秋田容疑者が、今年7月に放送されたフジテレビの情報番組『とくダネ!』のネット中傷恐怖体験を語る企画に出演し、2ちゃんねるで「秋田新太郎逮捕!」とか「詐欺師秋田」といった事実無根の書き込みがされていると被害を報告していたのです。ところが19日になって、彼が実際に詐欺容疑で逮捕されてしまったことで、「フジテレビより2ちゃんねるのほうが正しかった!」と騒がれているというわけです。
会社の事務所で日中働いていれば、太陽光発電に関する営業の電話を受けたことは誰もが一度や二度、あるだろう。この業界は、今、隆盛を極めている。

だた、盛り上がっている業界には魑魅魍魎が跋扈する。「太陽光発電」で調べれば、さまざまな詐欺まがいの営業が行われていて、各地で問題になっていることくらい、すぐに分かるだろう。

「ネット中傷」で特集を組むならば、取材対象の悪評は本当の「中傷」でなければのちのち大きな問題となる。特に、太陽光発電設備販売という、問題を抱えている業界に取材するならば、余計に注意を払わなくてはならないはずだ。その注意をフジテレビはおこたった。

このくらいの常識を、なぜ優秀なはずの彼らが持てなかったのだろうか?

常識を持っていないとしても、慎重な態度を取ることも出来た。たとえば、彼らは消費者センターに赴いて確認をしなかったのだろうか? 守秘義務があるとしても、某企業に関して悪評が多いかどうかくらい、信頼関係があればそれとなく教えてもらえる。以前私は、そうやってある企業に関する噂を消費者センター職員から教えてもらったことがある。私に出来たことが、テレビ局員にできないはずがない。

いや、もしかすると、テレビ局員だから出来なかったのか?

近年、名誉毀損や個人情報保護などでうるさく、取材しても人々の口は固くなっている。だからこそ、実際に会って信用してもらい、相手を傷つけないように正しい情報を入手する、というテクニックが必要となるのだが、テレビ局はこれまで権力にあぐらをかいて、雑な取材が多かった。

「下手なことを言えば自分の生活がメチャクチャにされる」
ことが分かってしまった。彼らテレビ局が信用できない、責任も取らないことを、誰もが知ってしまったのだ。結果、誰もが取材に応じたがらない。

だから、
「エステート21には本当に悪評があるかどうか」
といったことですら、裏とりできなかったのかもしれない。

そうだとしても残念な話だ。今、テレビ業界には逆風が吹いている。iPadのようなタブレットでの情報収集に若い人々は夢中になっている。やがて彼らはふと、
「テレビ、邪魔だな」
と思うだろうし、そうすればテレビを買わなくなる。実際、今の20代にはテレビを持っていない人も多くなっている。そのうち、テレビ番組について話題にすることがなくなる。ただでさえ逆風が吹いているのに、中の人がその流れに加担しなくても良さそうなものだが、落ち目の業界というのはそんなものなのだろう。

フジテレビは率先して、テレビの信用を落とし続けている。業界衰退の先棒を担ぐのが、業界最大手のテレビ局というのも歴史のセオリー通りというやつだ。

このようなことが続き、やがてテレビが、見向きもされなくなるときがくる。このニュースを聞いて、確信をした。タモリが去り、黒柳徹子もいつか去るのだろう。明石家さんまを見ることもなくなり、やがてテレビの存在は、ラジオのようにスマートフォンのアプリサービスの一つとなってしまうのかもしれない。

ただ、それが少し、寂しい。



(2013/10/23 19:40追記)

上記の情報に加えて、今度はフジテレビの人気番組「ほこ×たて」でやらせを行っていたことも判明した。
★ ラジコン愛好家の皆様へ  ≪お詫び≫
  2013年10月20日(日)にフジテレビ系で放送された、バラエティ番組 『ほこ×たて 2時間スペシャル!スナイパー軍団 VS ラジコン軍団』 にラジコン カーで出演した広坂正美です。今回偽造された編集内容が余りにも酷かった為、事実をお知らせする事に致しました。
(中略)
 よって「スナイパー VS ラジコンカー」の実際のルールに則った対戦は存在していないのです。しかも放映された男性スナイパーとラジコンカーの対決、撮影等は全く行われ無かったのです。
 (補足:男性スナイパーのクリスさんと広坂の出会いのシーンで二人が会話をしている映像がありましたが、それは女性スナイパーがもし広坂に負けた時には、次にクリスさんが登場する予定だったため、事前に別途撮影していたものを上手く編集で繋ぎ合わせたものです。)
 そしてこれらの内容を偽造して編集したものが10月20日に放送されたのです。
(中略)
 更に、2012年10月21日に放送された猿との対戦の際には、猿がラジコンカーを怖がって逃げてしまうので、釣り糸を猿の首に巻き付けてラジコンカーで猿を引っ張り、猿が追いかけているように見せる細工をしての撮影でした。
いやぁ、ひどいですね。

2013年10月21日月曜日

優れた上司の信念は、生き方にも役立つ

自分勝手な上司の下で働いて、つらい思いをした人、今もしている人は多いと思う。段々と洗脳されて、
「働くとはそういうことだ」
と思い込んでしまう前に、その上司からはなれないと、やがて自分も同じことを部下にしてしまうから要注意だ。

では、働きやすい上司とはどのようなことを普段考えているのか? それをまとめたのが次の記事。

★ こんな上司の下で働きたい 優れた上司が持っている8つの信念
1. ビジネスは戦場ではなく、エコフィールドであるということ
2. 会社は機械ではなく、コミュニティであるということ
3. マネージメントはコントロールすることではなく、サービスだということ
4. 部下は子供ではなくて仲間だということ
5. モチベーションは恐怖からではなく、ビジョンから得られるということ
6. 変化は苦痛ではなく、成長の証だということ
7. テクノロジーは自動化ではなく、能力を身につけることだということ
8. 働くということは単なる苦労ではなく、楽しみであるべきだということ
これを読みながら、私は胸が締めつけられそうになった。昔、大変不愉快な上司の下で働いていたことがあったが、上記の全てと逆のことを信念として持っている人間だったからで、彼によれば
1.仕事は戦争
2.組織は軍隊を理想
3.運営は自分がすべてコントロールできないと気が済まない
4.部下は子供のようなもの。俺が守ってやる!(口だけ)
5.指示に従わないのは暴力だ。だから暴力を振るう権利が生じる。
6.妙なテクノロジーを組織に入れようとするな
7.ムダを省けないなら機械を導入するな
8.働くことはつらいこと
というものだったから。特に、部下は子供のようなものだと公言して、機嫌がいいと部下の頭を撫でようとする。これには身の毛がよだつ思いがした。大の大人が頭を撫でられて喜ぶかよ。撫でて喜ぶのは撫でた本人だけで、ありゃあ自己満足だ。

クソ上司とまったく逆のことばかりがまとめられているということは、逆に言えば、上記の7項目は、良い上司のあり方として大変よくまとまっているということになる。

上記の8項目をもっと覚えやすい形にまとめられないかと思って、自分なりにまとめたのが下記8黒目。
1.仕事は共存共栄
2.組織は共同体
3.一人一人が自分の頭で考える
4.お互いに尊敬しあう
5.目標を共通化する
6.変化することを好きになる
7.新しい技術を積極的に取り入れる
8.仕事は絶対に楽しくなければならない
これをスマフォのメモ帳にはりつけて、時々眺めるようにしている。

2013年10月20日日曜日

賃貸料の相場は確実に落ちてきている

訳あって賃貸物件の相場を調べる機会が先日あった。
久々に調べて、
「確実に賃貸物件の相場は下落している」
ということを実感した。

昔は敷金2ヶ月の物件が当たり前だったのに、今では敷金1ヶ月で優良物件が多い。家賃も、感触的に5000円~1万円ほど安い値段で同じような物件を借りることができる。

数年前に、投資用マンション購入がブームとなった。あの当時の家賃が、35年間保証されるだろうと予測して購入に走った人々は、少しずつ下落している家賃相場に青ざめているのだろうか。それとも、ゆでガエルのように、危険を感じないまま、
「また家賃が上がるだろう」
と楽観しているのだろうか。

『2匹のカエルを用意し、一方は熱湯に入れ、もう一方は緩やかに昇温する冷水に入れる。すると、前者は直ちに飛び跳ね脱出・生存するのに対し、後者は水温の上昇を知覚できずに死亡する』
およそ人間は環境適応能力を持つがゆえに、暫時的な変化は万一それが致命的なものであっても、受け入れてしまう傾向が見られる。例えば業績悪化が危機的レベルに迫りつつあるにもかかわらず、低すぎる営業目標達成を祝す経営幹部や、敗色濃厚にもかかわらず、なお好戦的な軍上層部など。
これからオリンピックが始まるので、景気が上向くだろう。だから、インフレも続くために、不動産の相場も一時的に上昇するに違いない。だが、もっと長期的に見たらどうだろうか? 確実に、家賃は下落し続けるのではないか? いや、もともと下落するものがアベノミクスで人為的に上昇させられたとしたら、その分振り幅も大きく、オリンピック後に一気に不動産相場は冷え込み、釣られて家賃相場も大幅にダウンするのではないか?

下記の話を読んで、余計にその意を強くした。

★ マンション業界は確実に衰退する 20年後は9割減の市場縮小も…
 現在、マンション購入の「適齢期」と呼ばれる30代と40代の人口は、約3490万人である。10年後は約2980万人にまで減る。減少率は15%。簡単に言えば、お客さんの絶対数が15%減る。これが20年後には2490万人になる。減少率は約29%だ。
 するとどうなるのか。実は、今でも日本の住宅は余っている。5年前の統計で、日本全国の空き家率は13%だった。
 10年後は、この傾向がさらにはっきりしているだろう。中古住宅の価格や賃料が、今ほど若年層の負担にならないレベルにまで下がっているはずだ。すると、多額のローンを組んで無理とリスクを背負いながら新築マンションを購入することに、多くの人は意味を見いだせなくなる。
 そうなると、市場の縮小は人口減少率をはるかに上回る規模となる。10年後は今の半分、20年後は9割減でもおかしくない。つまり、マンション業界は確実に衰退することになる。
未来予測はできない、などと言われるが、実は唯一、人口動向に基づいた予測した未来は、大変正確であることが知られている。出生率が急激に上向いたとしても、これから数十年間、労働者人口が減少を続けることは間違いなく、住宅市場が冷え込む一方であることは間違いない。

賃貸派にとって、ますます有利な時代になってくるのだろう。

2013年10月19日土曜日

ジェネリック医薬品は本当に安全なのか

日本の製薬業者は儲け過ぎだという話を聞く。実際、病院に行けばあふれんばかりの薬を飲むように指示されるので、
「こんなムダなことをしていれば、製薬業者はウハウハだろうな」
という反感がムクムクと沸き起こる。

ここ数年、医者から処方箋をもらっても、薬局では、
「これと同じ効果のジェネリック医薬品を処方してください」
と依頼するのが常だった。

ジェネリック医薬品
後発医薬品(こうはついやくひん)とは、医薬品の有効成分そのものに対する特許である物質特許が切れた医薬品を他の製薬会社が製造或は供給する医薬品である。新薬と同じ主成分の薬(作用も新薬と常に同じとは限らない)。ジェネリック医薬品(英: Generic drug)とも言われる。――Wikipediaより――
私のほんの少しの行為が、増大する医療費をほんの少し押しとどめるのに役立つのならばこれに越したことはない、と思って。もっとも、一番貢献するのは病気にかからないことなんだけどね。

ところが、だ。

★ 沢井製薬 抗生物質を販売一時休止、中国の粗悪原薬で

古い記事で恐縮だが、今年2月の記事によれば、沢井製薬というジェネリック医薬品を製造している会社では中国から原薬を輸入していて、中国の会社に粗悪品が混じっていることがばれて販売停止になったそうだ。

中国製の粗悪なものを日本に輸入する業者は後を絶たない。先日はイオンが中国産の米を日本米と偽って販売していたことを隠匿するために、告発記事をイオンの関係先からすべて撤去するという暴挙に出ている。イオンのようなクソ企業が平気な顔をして表を歩いているから、気をつけなきゃいけない。

背景を調べてみると、ジェネリック医薬品を製造する企業は安さしかアピールする力がないため(研究開発力に劣るところが多い)、コストを下げるために無理な値下げを追求、中国の粗悪な原薬を使用することが多い、のだという。

新薬製造を主にしている大手製薬会社のデマかもしれないし、そうでないかもしれないけれども、デパートのような高級店で売っているものよりも、イオンやドンキ・ホーテで買ったものの方に粗悪品が多いのは間違いない。ブランドがないところはブランド価値よりも経済合理性追求に走りがちになるものだ。

ただ、「ジェネリック薬品 粗悪 原薬」などといった言葉で検索しても、この沢井製薬の事件以外の問題は、特に起こっていないようだ。警戒ばかりしていても、この社会を生き抜くことはできない。

何が本当なのか分からない。けれども、これまで諸手を挙げて歓迎していたジェネリック医薬品に対して、ほんの少しだけ、警戒をした方がよいのかもしれない。

2013年10月18日金曜日

日本は多神教、西欧は一神教とか言うけれども

先日、参議院議員の渡邉美樹と、作家の本田健との対談の概要を別ブログで紹介した。

★ 渡邉美樹と本田健の対談の概要

その中で、渡邉氏が「日本は八百万の神を信じているから、一神教を信じる国よりもナアナアで、お互いがお互いを受けれいている。だから素晴らしい」ってなことを言っていて、
「何言ってやがんだ、こいつ」
と思っていたところ、同じようなことを書いている記事にまた出会って読むことになった。

★ チームラボ猪子氏が語る、日本人とネットの相性が"ハンパなく"良い理由
一般的には、欧米は一神教、日本は多神教の違いと言いますよね。欧米は一神教だから客観性は確保しやすい。でも日本は多神教というか一神教的な「神の目線」を持たないがゆえに、コミュニティが近い者同士の集団主義に陥りやすく、それゆえに主観的なものの集合になる。
昔日本サッカーが世界の中でも弱かった理由として、
「日本が農耕民族だから」
という説明がされていたのを聞いて感じた違和感と同じものを、この手の言葉を聞いて感じてしまう。

そもそも、多神教について語るのならば、同じく多神教を信じている国と日本との共通項を語らねばなるまい。

文化大革命の後も道教が根強く残り、大勢の神々がまつられている中国や、ヒンズー教の神々が地域文化に浸透しているインドはどうなのか? 西欧と日本の対比を語るときに「一神教と多神教」という要因を持ち出すのならば、日本の特徴が中国やインドにもあてはまるのかどうかを考えないと。

それがないのならば、日本の特徴に多神教は無関係だ。

そもそも西欧を「一神教の文化」と決めつけること自体、論外じゃないか? 彼らの文化の根底にはローマ帝国がある。ローマ帝国はご存知、ローマ神話を国教とした多神教の文化だ。その文化的影響が強いイタリアでは、守護聖人やマリアに対する信仰心が根強いことで知られている。
【守護聖人】
カトリック教会の伝統において、さまざまな職業や地域に守護聖人がいるが、それなりに縁のある聖人が選ばれている。たとえば聖ヒエロニムスは聖書をヘブライ語からラテン語へ翻訳したことから、通訳の守護聖人である。また、聖女アポロニアは殉教時の拷問で歯を抜かれたことから、歯科医の守護聖人になっている。時にはその結びつきの理由がよくわからないものもある。――Wikipediaより――
神様に祈るのは恐れ多いから、それよりも身近な守護聖人に加護を求める。これなんかは形を変えた多神教だと言えなくもない。

むしろ、日本人が主観的で、寛容的なのは、多神教のためというよりも、合理的精神が行き渡り、神の束縛のない一種の無神教が日本を覆ったお陰かもしれない。

ローマ帝国では、多神教から一神教へと国教が変わった。数が減ることを進化というのならば、もっとも進化した宗教は0=無神教だろう。

結論としては無神経が一番強い、ということだ。

2013年10月17日木曜日

万事をシェアするのは難しいんじゃないかな

本屋を回っていると、『中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史』という本を見つけた。

中国が力をつけている、という話はよく聞くが、日本が中国化する、という話はあまり聞かない。

タイトルについつい惹かれて手にとって立ち読みする。

中国と同じようにコネが幅を効かせるような、人治主義の社会に日本がなるかもしれないという、警告書だろうか? と予想しながら読むと、当てが外れた。
やや後悔。

かつて、唐帝国では門閥貴族が幅を利かせて亡国の憂き目にあった。
それから五胡十六国などの小国が乱立する、そんな前代の反省の上に立って、宋は建国された。

皇帝を中心とした一君万民の体制が取られ、貴族ではなく、科挙によって全人民から均等に人材を得る人材登用制度が取られた宋代の体制は、その後の中国の基盤となる。
西洋よりも早く、人民の平等が成し遂げられた。
日本が西洋から学んだと思ったシステムは、すでに中国に存在していた。
だから、日本は後追いしている、という話だ。

……馬鹿馬鹿しい。科挙をもとにしてフランスの任官試験という制度が作られたこと。
そもそも尊皇攘夷という言葉が、宋代の儒者たちによって喧伝されたこと。
そんなことは、大学で東洋史や中国思想の授業を取れば習う話だ。
『中国化する日本』というタイトルをつけてまで2011年に出版する話かよ、と思いながらそっと閉じた。

それが約一ヶ月ほどまえのこと。
そこで著者の與那覇潤(よなはじゅん)のことを知ったのだが、先日、彼がYahoo!に寄稿した記事を読んで、再び、そのときの苦い記憶を思い出した。

★ 共産化するネット社会? 万事をシェアする人類の未来

ネット社会の進展とともに、無料でシェアする一種のコミュニズムが社会に浸透しつつある。
その先にある未来には、一人が自国の一人の政治家に投票する制度ではなくて、票の部分譲渡によって他国の議員を選ぶような投票制度があってもいいんじゃないか、と述べ、彼が模範とする中国宋代に話が飛ぶ。

やや唐突じゃないか、と思ったら、やがて未来のネット社会は、宋代のように、「儒教的な徳(名声)の有無が社会的な地位の高低と連動する、過酷な競争社会」になるかもしれない、という結論=持論へと、彼は持っていくのであった。

なんだかなぁ~。
先日立ち読みした本に続いて、さらにがっかりすることになるとは思わなかった。

票の譲渡だとかファジーな票の分配だとか、制度が複雑になればなるほど、不正が横行するのは目に見えている。
「民主主義は最悪の政治形態であると言える。ただし、これまで試されてきたいかなる政治制度を除けば」
と言ったのはチャーチルだったが、彼が念頭においていたのは一人一票の基本的な民主主義だろう。
恣意的な運用が可能な、票の分割投票などではあるまい。
それこそ民主主義の基本の破壊だ。

不正が行われているかどうかチェックの手段をもたないネット上の人気投票は、擬似民主的ではあるがあくまでお遊びだ。
そこに民主主義の未来はない。
あると考えるのは、任天堂を倒せると思い込んだグリーの社員のような勘違いだと私は思う。

儒教という思想が力を失って久しい。
中国思想という、今の近代思想から断絶した思想を学んだ人からは、このような考え方しか出てこないのかと思って、がっかりした次第。

2013年10月16日水曜日

創価学会会員とのやりとり

今日のは小ネタ。


昔、創価学会であることを隠しているバイト先の先輩から、カミングアウトを受けそうになったことがある。彼が創価学会員であることは、バイト仲間に聞いて知っていたが、ずっと知らないふりをしていた。

彼の家に遊びに行った時に、突然こんなことを尋ねられた。
「お前、尊敬している人って、いる?」
「俺ですか。王陽明を尊敬しています」
「誰だ、それ?」

私は王陽明の人物像について述べた。
中国の哲学者であり日本の明治維新に大きな影響を与えた人物で、実践を重んじ自身も政治家として大成した人物だと。

それを興味なさげに彼は聞いていた。私の話が一段落してのち、先輩は、やおら語り始めた。

「俺には尊敬している人がいるんだ」

……まさか、池田大作とか言い始めないだろうな……と思っていたら、案の定である。

「その人は教育者であり、政治家であり、指導者である。宗教に造詣が深く、仏教について多数の本を書いている。その上作家としても有名で、ベストセラーも数多くある。日本だけではなくて、国際的にも有名だ。そんな人、知ってる? 多分知らないと思うけど」

どう考えても、池田大作と言いたいとしか思えなかったので、彼に、私は言ってやった。

「石原慎太郎ですね」

彼の顔が一気に赤黒く変色した。怒りのためだろう。

すかさず、続けて言ってやった。

「いろいろ問題がある人ですけれど、法華経信者なのに全然それっぽくないのがいいですよね」



先輩は黙った。

……それ以来、彼は私を避け、そのあと一悶着あり、交遊が途絶えてしまったのだが。残念なことである。


ところで、その時は反射的に答えたのだが、今になってうまいこと言ったなと思うのだ。あの二人って、やってることは似ているなぁと。年も4歳しか違わないし、案外似た者同士なのかもしれない。

2013年10月15日火曜日

終わりの始まりか? LINEはmixiと同じ運命をたどるのか

LINEといえば、今日本で一番ホットなSNSだろう。
「LINEのID教えてください」
が、知り合って仲良くなった者同士の挨拶になっているくらいだ。

そのLINEが、9/30から18歳未満のID検索を禁止することにしたそうだ。

★ LINE、青少年ユーザー保護を目的に、18歳未満ユーザーのLINE ID検索利用制限を強化
18歳未満のAndroid端末ユーザーは、1)18歳未満のユーザー自身がLINE IDの設定・検索を利用できなくなり、2)他人が18歳未満ユーザーのLINE IDを検索しても、検索結果に表示されないため、友人募集を目的とした弊社とは無関係の非公式サービス(スマートフォンアプリ・ウェブサイト)で、青少年ユーザーがLINE IDを交換することによるトラブルを防ぐ効果が期待できます。
先日の三鷹女子高生殺人事件の容疑者・池永チャールストーマスは、LINEで知り合った多くの女性を毒牙にかけていたという。LINEという匿名性の高いSNSが、これまで性犯罪者の格好の道具になっていたことは間違いないので、LINEの対策はやや遅すぎたのかもしれない。

ただ、LINEの利用者からは、こんな阿鼻叫喚が聞こえてくる。

★ 18歳未満のID検索が禁止された『LINE』…それでは、アプリのレビュー欄を見てみましょう

……ちょっと、笑ってしまった。

ただ、当事者にとっては笑い事ではないし、関係者にとっては笑い事では済まないかもしれない。これをきっかけにLINEの成長が鈍化して、mixiの二の舞いになるかもしれない。

普段よく話す相手同士ならば、mixiやLINEのようなSNSは、いらない。まだ仲良くない相手と仲良くなったり、会ったこともない相手と知り合ったりできるから、SNSはこれだけ隆盛を誇った。だから、もしも友達未満の者同士のコミュニケーション手段を奪ってしまったら、そのSNSは衰退する。

mixiは、運営がバカな改悪ばかり続けたために、友達未満同士のコミュニケーション手段が奪われ、そして衰退した、というのが私の感想だ。

①足あと機能の撤廃
これがなくなり、日記を読みに来た見知らぬ人に、からむことができなくなった。
②15歳から18歳未満の子供の大量加入
社会人のまともな意見が日記に書かれていたため、mixiを開くのが楽しかったのに、高校生の子どもたちが大量にやってきた。社会経験のない者特有の無邪気で利己的な意見が得意気に書かれた日記の中から、強化できる日記を探すのが段々と面倒になってきた。
③招待制の廃止
「この人の友達だから、信用できる」という担保するものがなくなった。
④出会い系コミュニティーを片っ端から廃止
恋愛目的の出会い系をつぶすのはともかく、それとは無関係な、友人をつくろう的なコミュニティーも閉鎖に追われた。
だが、上記の改悪よりも、もっとも大きな改悪が以下のものだと思う。
⑤つぶやき機能の追加
この機能追加のお陰で、誰も日記を書かなくなった。日記を書くならそれなりの分量を書かないといけないから、せいぜい一日二回ほどアップされるだけだった日記の代わりに、数分ごとのつぶやきが流れるようになった。そんなのTwitterにまかせておけばいいのに。
日記と混ぜるから日記がつぶやきの大量投下の影に隠れ、たまに書いてもあまり注目されなくなった。こうしてモチベーションは失われて、日記を誰もが書かなくなった。
そもそも日本人はブログ好きだ。世界で書かれているブログの4割近くが日本語で書かれている。

★ 英語を超えた日本語ブログの投稿数,その理由は?

その日本人をうまくSNSに取り込んだのがmixiだといえる。ところが、mixiはこの一番の長所を捨ててしまった。社会人同士の日記を通したコミュニケーションの場であることを、放棄したら、あとは衰退しか待っていなかった。

今から考えると、己の売りはなにか? を見失った者の末路といえるのかもしれない。

LINEはどうか。あれは日本人のTwitter好きをうまく取り込んだSNSだ。

そもそも日本人は俳句の伝統がある。短文でつぶやくことは昔から好きだった。全世界のツイート数のうち、日本語によるものが10.7%も占めているほどだ。

★ Twitter、今年6月にユーザー5億人超か―ブラジル急成長、ツイート数では日本語が依然英語に次いで2位

ところがTwitterは、基本的にオープンだ。友達未満の人間が、友達同士のやりとりの中に割り込むには敷居が高い。

そこにLINEは、やや閉鎖的なコミュニケーションを持込んだ。このお陰で、友達未満同士のコミュニケーションがとりやすくなった。特に、思考が未成熟な学生にとってみれば、ブログよりもTwitterの方が楽なので、TwitterをもとにしたSNSは、大人気となった。それが大人へと波及していった。

ところが今回の改善のお陰で、若者の多いLINEが若者にとって居心地がよくない場所となりかけようとしている。

小学生の間でもLINEが流行っているため、問題はこれからも多発するだろう。その度にいろいろと規制が進むかもしれない。それを打開するために間違った方向に進めば、大人にとって居心地の悪くなったmixiのように、いずれ衰退するだろう。

今回のID検索利用制限が、その端緒となるかもしれない。

2013年10月14日月曜日

預言カフェをご存知ですか?

東京の山手線のとある駅の近くに、コーヒー1杯を頼めば未来を占ってくれる喫茶店があるという噂を聞いて数年経つ。

興味はあったものの、そこまで暇でもなく放置していたのだが、先日時間があいたので、ふと思い立って、ネットで調べて高田馬場にある「預言CAFE」へと足を運んだ。

山手線の高田馬場駅の戸山口を右に出て、道路を左側にまっすぐ進むと、通信教育講座で有名なユーキャンのビルが見える。それを通り過ぎると右側に赤い屋根の小さな喫茶店が見える。それが預言CAFEだ。

未来を当てるのは予言だが、このCAFEでもらえるのは「預言」
【預言とは】
キリスト教で、神託を聴いたと自覚する者が語る神の意志の解釈と予告。また、それを語ること。
――goo辞書より――
そう。ここは占い喫茶の体を装いながら、その実キリスト教の布教のために作られた旗艦店なのである。ところが、占いが本格的で勧誘もほとんどされないものだから、いい噂が広がり、人気店となったようだ。

平日の昼下がりだったが、店の中にはすでに数十人もの人が順番を待っていた。ノートに名前を書いて、私も椅子に座る。本名を書くのが嫌だから、私は偽名を使った。

1時間近く待っただろうか。ようやく名を呼ばれて席についた。中は小奇麗である。
テーブルの上には書籍があり、表紙にデカデカと、
「お買い求めください」
と書かれていた。アメリカの田舎で生まれたキリスト教のある一派が、日本で布教するにいたったきっかけなどが書かれていた。
注文したコーヒーはすぐにやってきた。 1、2分ほどすると、横に40から50ほどの年齢の女性が座る。それはさきほどまでウエイトレスとしてコーヒーを運んでいた女性である。

(まさかこの女性が占うんじゃなかろうな)
と危惧していたが、案の定、彼女が占い師だった。私は落胆した。
(もっとそれらしくないと、信じられないよ)

私の落胆を尻目に、彼女は淡々として、
「では、始めさせていただきます。よろしいでしょうか」
などと言うので、慌てて私はiPhoneを彼女に渡す。

ここの店は、預言を何度でも反芻できるように、録音機での録音を推奨している。
今では誰もがスマートフォンを持っているので、周りのテーブルでも、それで録音しているのがちらほら見えた。

さきほどまでの雰囲気とは一転、その女性はよどみなく、神様から与えられたという「預言」を語り始めた。その長さ、約4分である。

自分が同じ立場だとして、同じように話せるか、と問われれば自信がない。何かコツがあるのだろうが、面白い。確かに知らない人が見ると、人智を超えた何者かが彼女に憑依しているようにも見える。ユタやイタコもかくや、という代物である。

語る内容にも驚いた。ちょうど私がその時に抱えていた悩みを解決するのにドンピシャなものなのである。喫茶店に入って私は本を読み、誰とも何も語らなかったにも関わらず、私の抱えていた疑問を見透かし、それに合わせた答えをドンピシャと、よくぞ出せるもんだね。

不思議な話だ。占いだから、誰にでも当てはまることを言うもんだと思っていたので、面食らった。

コーヒー1杯の値段が700円とお高いものの、通常あの量のことを語ってもらうならば街角の占い師に3000円払う必要があるのだから、お得だろう。

暇な人は行って損はない。

2013年10月13日日曜日

ダイエットをイケメンが応援するアプリ

「イケメンがダイエット協力してくれるアプリ」
というのがあるらしいが、イケメンが登場して、一番最初にあなたに声をかける最初のセリフが、これらしく、
「あまりにハードモード」
「最初で心が折れた」
「や~め~て~」
などと悲鳴が上がっているとかいないとか。

たしかにこれは、最初からきつくて笑うしかない(笑)

2013年10月12日土曜日

男が望んで海外移住、女は夢に乗せられる

Dialogue -Miki Imai Sings Yuming Classics-
布袋寅泰の母親が先月9/3に亡くなった。そのため布袋寅泰の奥さんでもある今井美樹が、家族とともに緊急帰国した。

★ 今井美樹 悲しみで憔悴…布袋の母逝去で英国から緊急帰国

その後、葬式ついでにいろいろなイベントに参加しているようだ。布袋氏はイギリスに移住して音楽活動に熱心に取り組んでいるとはいえ、いまだ道半ば。日本でないと稼げない。

海外の芸能界の中で名前を売るためにも、交際費が多くかかるだろうから、夫のために、稼げる時には冠婚葬祭のついででも稼ぐ腹だろう。夫を支えるために、大したもんだ。

★ 今井美樹 英国移住は当初気乗りせず「寂しくてつらくて」

上記のインタビューの中で、今井氏は海外移住の寂しさを吐露している。
 布袋が英国で音楽活動に挑戦するために生活拠点を移した。だが、「どうして行かなきゃならないんだろうと思ってた。家族で決めたことなのに、私の気持ちは全然前に進んでいなくて、寂しくて、つらくて」と出発まで気乗りしていなかったという。
海外進出を志す日本人アーティストは多い。ダウンロードも含めた音楽ソフトの売上は日本がとうとうアメリカを追い抜いたので、日本こそが世界一の市場、その中で成功すればそれだけでスゴイと思うけれども、業界人はそれでは満足できないらしい。

日本の音楽業界は、戦後にアメリカからやってきたジャズによって多大な影響を受けた。その後ビートルズなどを聞いて育った人々が、今の音楽業界の中心に多いのだから、しょうがない。

気持ちは分かるものの、その夢に付き合わされる方は苦労する。だいたい子供の頃の夢をしつこく追い求めるのは男に多い。時代が変わり、環境も地位も変わったのに、男は子供の頃の夢を叶えようとして周囲を翻弄する。

そんな男のために苦労するのは女と相場が決まっている。男が船で海を渡り、港で女が帰りを待つ、という歌もあった。

たとえば松田聖子だけれども、聖子が渡米して音楽活動をおこなったのは、彼女自身の強い海外志向があったためだと、当時は報道されていたが、実は違う。

CBS・ソニーの若松宗雄ディレクターと言えば、聖子にとっての大恩人である。芸能界に入りたい松田聖子の上京を禁止する聖子の父を、九州の久留米に何度も通って説得したからだ。

その若松氏の夢が、アメリカ進出だった。ジャズやロックから多大な影響を受けた彼は、アメリカで仕事をするのが夢だった。

嘘だって? いやいや。彼を手助けするために、聖子が渋々渡米したことを、若松氏自身もインタビューで答えている。

★ 中国で見つけた!聖子と同じ「天才」 ―伝説のプロデューサー独占インタビュー
いや、アメリカ志向は私の考え。私が直感的に聖子はアメリカに向いていると思ったんで、私の勘一つでアメリカでやるって決めたんです。CBS・ソニーの洋楽セクションとも連携してプロジェクトを組んでね。実は、アメリカへ行くのには聖子は大反対で、成田空港でアメリカ行きのフライトまでの待ち時間、聖子とお茶を飲んでいたんだけど、聖子が「若松さん、私なんで今からアメリカへ行かなくちゃならないんですかねぇ?」って言ってたくらいですから。
聖子の偉いところは、この若松氏の強い要望を、決して周囲に明かさずに、あくまで「自分の夢」だと語って事をすすめたところ。恩人を窮地に陥れないためだ。

そのためにもう一人の恩人であるサン・ミュージックの相澤秀禎との関係が断絶したのだが、時間をかけて彼女はその絆を修復する。娘のさやかをサン・ミュージックに預けることで和解へと持ち込んだのだが、それはまた、別の話。

閑話休題。

聖子の他に、男の夢に翻弄されたもう一人のトップシンガー、宇多田ヒカルについても話そう。彼女がアメリカ進出を狙ったのも、彼女自身の願いというよりも、父である宇多田照實の強い意向のためだったと言われている。

松竹ニューヨーク支社の社員であった父(ヒカルの祖父)を頼って渡米したものの、花咲くことなく萎れた夢を、彼の代わりに叶え、渡米時代に出会った人々を見返して欲しい、という父の希望を叶えるために、宇多田ヒカルは渡米して、そして失敗した。

秋元康のことを私はそれほど好きではない。でも、ただひとつ評価できるのは、彼にはこの手の野望が希薄なところだ。彼の向く先はあくまで日本だけ。夢は美空ひばりに歌を書くこと。

プロデュースするのは日本の女子高生たちで、お客は日本の青少年たちだ。彼がプロデュースした女性たちは、その後に家庭に入り、平凡でも幸せな生活を送っていることが多い(国生さゆりが幸せになれないのは、彼女自身の性格の悪さが原因だから、しょうがない)。

★ TBSドラマ『歸國』出演の長渕剛 忘れがたき「AD殴打事件」その蛮行
長渕は一度パーティー会場を後にしたADを呼び戻し、何が気に入らなかったのか、サンドバッグのように殴りつけたのだ。当時、長渕の愛人と言われて、同ドラマでも共演していた国生さゆりも、ADにコップ酒を投げつけて「やれ、やれ」と囃し立てたという。長渕は、無抵抗のADを殴り終わったあとに、金を投げつけて「訴えられるものなら、訴えてみろ」と開き直ったそうだ。
閑話休題(脱線ばかりしているな)。

秋元康が海外を狙うとしても、ついでに東南アジアなどでも売れればいい、という程度。「日本」という風土を大切にしてアメリカなどを一顧だにしない、という彼の姿勢はもっと評価されてもいい。

いずれにせよ、夢はいつかは醒めるもの。他人の夢ならなおさらだ。松田も宇多田も、自分の幸せを守るために、やがて夢を見た男たちから距離を置いた。

布袋氏も、自分の夢を叶えるために、家族を振り回しすぎていないだろうか? 今井の幸せのためにできることを探しておかないと、いずれ愛想をつかされるだろう。

2013年10月9日水曜日

日本人には「相手と同化したい」という悪い癖がある

「海は誰のものか 東日本大震災と水産業の新生プラン」
日本人は交渉力が弱い、と言われることがある。

価値観や文化がまるっきり異なる者同士の間では争いごとが頻発する。だから、交渉力が自然に磨かれる。しかし、日本国内には異民族が少ない。そのため、争いごとが少ないために、交渉力を人々が磨く必要がない。

ありがたいことだけれども、「いざ」という時にその美点は弱点となる。争いごとが滅多にないために、争いごとが起こるとびくついて、筋が通らないことでも我慢してしまう。

かといって、国内にわざわざ争いの種を持ち込む必要もない。トップレベルの人間に訓練を積んでもらい、それを私達が応援する体制を整えればそれで済む。また、彼ら「国際交渉のプロ」が学んだ「交渉方法」をレクチャーしてもらうことで、交渉力を学習することが出来る。

武道を専門的に訓練しなくとも、彼らが編み出した護身術を学べたある程度、身を守れるのと同じである。

その点で言うと、水産庁の元官僚であり、
捕鯨交渉などでアメリカ・ヨーロッパの反捕鯨国から「タフ・ネゴシエーター」と恐れられ、米ニューズウィーク誌の「世界が尊敬する日本人100人」にも選ばれた
政策研究大学院大学の小松正之客員教授はまさしく「国際交渉のプロ」である。

彼のインタビューが先日インターネットで公開されていた。日本人の交渉がなぜ下手なのかについて、彼の分析が実に興味深かった。

★ なぜ日本人は交渉で負けるか 世界が認めた国際交渉人が語る「失敗の本質」
★ 続・なぜ日本人は交渉で負けるか 超難関「世界クジラ交渉」に学ぶ“勝つ技術”
・長期的視野がない
・専門的な知識が少ない
・「自分の手持ちのカードは何か」を把握していない
・相手に自分を理解させる努力が少ない
上記の内容は、これまでもよく言われてきたことだったけれども、その中に、日本人の特性を説明する下記文章を読んで、うなることになった。
 国際交渉というと、「合意」や「妥協」がゴールだと思ってしまうのは日本人の悪いクセです。相手と同化したいという気持ちが強過ぎて、相手と意見が食い違うと精神的に不安定になり、国益よりも精神的な安定感を得ることが目的になって妥協をしてしまう。これが、そもそもの間違いです。
日本人は同質的な社会である、と言われている。
「和を以って尊しとなす」
と国是としていて、争いごとを嫌い、できるだけ意見をすり合わせることに神経を使う。その欲求の行き着く先を説明する言葉として、
「相手と同化したい」
という言葉は、言い得て妙だろう。

かつて、日本人でありながらソ連の代理人として、ソ連人のようにふるまっていた共産党や社会党やそのシンパ、今だと中国人や韓国人そのものの立場で日本人を糾弾する人々、ブラック企業で部下を上司の代わりにどやしつける中間管理職などを見ていると、なぜ彼らがああも「自分以外の者」になりきるのかがわかりにくかった。

また、戦争が嫌だ、争いごとがイヤだといいながら、どうして反対勢力をあそこまでラジカルに批判するのだろう? という疑問もあった。

最初のベースは、争いごとがイヤだ、という素朴な感情があるのだろう。だがそのために、「相手と同化したい」という欲求があるため、彼らに同化してしまう。そして同化したら、最初の「争いごとはイヤだ」という気持ちが雲散霧消してしまい、紛争、揉めごと万々歳、となってしまうのだろう。

順番を経ることで、うまくメタモルフォーゼしているのだ。

相手の「同化欲求」を意識しながら、交渉をすると、あの手の人々と意思疎通が図られるのかもしれない。

2013年10月8日火曜日

週刊朝日の小境新編集長がセクハラのためにクビ

「週刊朝日」と言えば、昨年のちょうど今頃、橋下徹大阪市長の先祖が被差別部落の出身であることを取り上げるというバカなことをして大問題になった。

記事の中で「彼の人格が下等なのは生まれのせいだ」という馬鹿げたことをにおわせたからである。

結局、謝罪では済まなくなり、当時の編集長は懲戒処分、朝日新聞出版の社長が引責辞任するなど、大きな傷跡が朝日新聞グループに刻まれることになった。

そもそも週刊誌というのは、新聞やテレビでは取り上げられない、かといってスポーツ新聞では扱わないような硬めでかつ扇情的な記事を載せることで成り立っている。ただし、この手の記事というのは、扱いを間違えると大変なことになるので、常識はずれの記事を作ろうとすればするほど、逆に、作っている人間は常識を十二分にわきまえなければならない。

だから、一見ゴロツキに見えようとも、品性が下劣ではあっても、足元をすくわれないようなバランス感覚に富んだ相当の教養の持ち主か、うまく立ち回れる頭の回転の早い人間でないと、週刊誌の編集長なんて職はつとまらない。

2ちゃんねるがあれだけ叩かれながらも残っているのは、創業者の西村博之の手腕によるところも大きい。胡散臭いしアンダーグランドの人間ともつながりがあるだろうに、まったく尻尾をつかませないまま15年近く陽の当たる場所を歩き続けている。民事訴訟からも逃げまわっている。相当な切れ者だ。

週刊誌がネットに負けないような扇情記事で世間を賑わせ続けようとするならば、これからの週刊誌編集長にはあれくらいの芸当が出来ることが求められるのかもしれない。

ところが、朝日新聞グループの人間というのは「天下の朝日」という特権意識が強いのだろう。この手のイエロージャーナリズムを明らかにバカにしている。だから、質が悪い人間をそこに配置する。そして墓穴を掘る。

いくら公人を批判するためとはいえ、被差別部落を否定的に扱えば、どれほどの反感を世間からかうのか私でも分かる。ネットでヘイト記事が掲載され、それが世間の一部で支持されようとも、匿名だから黙認されているだけだという常識を持たねばならない。

多少なりとも社会的信用のある人間が、差別を助長するような記事を書いては駄目だ。書くとしてもほめ殺しにするとかして皮肉をきかせるなど、うまく立ち回らなきゃまずい。差別的でも世間が受け入れるギリギリの線を狙わなきゃだめなのに、あんな記事を書くのを許した週刊朝日は、バカとしか思えない。

アメリカの歴史家のフランク・ルーサー・モットは、この手の雑誌は弱いものの味方であるように振る舞うことが特徴だと指摘している。差別を受ける側の弱い人々への共感、ヒューマニズムを、エセ的でも持っていれば、この手の事故は防げる。週刊誌は弱者の嫉妬や怨嗟をたくみに取り入れるものだから。

ところが権威主義的な人々は、弱者への共感がないまま、
「彼らに受け入れられるのはこんな下劣な記事なんでしょ」
と上っ面だけを真似して記事を作るものだから、そこら辺が理解できないのだろう。


……と、これは昨年の話だが、なんと再び、週刊朝日が問題を起こした。

★ 週刊朝日編集長を懲戒解雇
朝日新聞出版は、同社が発行する週刊朝日の小境郁也編集長(53)=朝日新聞社から出向=に重大な就業規則違反があったとして編集長を解任し、朝日新聞社は8日付で小境編集長を懲戒解雇処分にした。
小境編集長は、橋下事件で更迭された前編集長の後にやってきたのだから、期待の人材のはずだったのだが、一年も経たずに会社から去ることとなった。

理由はただ「就業規則違反があった」としか書かれていない。

そこで調べると、どうやら小境氏が懲戒解雇となったのは、ライバル誌の週刊文春によってセクハラ常習犯であることを、本日発売の週刊誌ですっぱ抜かれたことが原因らしい。
文藝春秋社HP「週刊文春」2013年10月17日号 より
週刊文春、いい仕事をする。CHAGE and ASKAの飛鳥の独占インタビューも気になる。これは買わねばなるまい。

それにしても、朝日新聞グループもバカだな。問題を起こしたメディアが再起しようとするのだから、もっといい人材を当てればいいのに。人材不足なんだろうか?

2013年10月7日月曜日

劣った地域で育った思想が、優れた地域へ侵食していく

イスラム教徒が世界各国で増加しているという話は、このブログでも何度かしたことがあったと思う。

★ ヨーロッパでイスラム教徒が増加、各国では対立も
★ アメリカに増え続けるイスラム教徒。アメリカは「寛大さ」を持ち続けられるのか?
★ 日本ムスリム協会、「日本の若者がイスラムに傾倒」

イスラム教というのは、男尊女卑を教是としている。自由や民主主義といった近代国家の価値観に公然と叛旗を翻す思想だ。9.11後にはその後進性が批判の的となったけれども、その後も勢力拡大は続いている。

昨日、渡邉美樹のラジオ対談の模様を紹介したが、その中で彼が八百万の神は素晴らしい、ってなことを言っていたので、ふと、同じように素晴らしかったローマ神話が支えてきたローマ帝国が、キリスト教によって変質していったことを思い出した。

ローマ帝国では、民主主義と自由をもとに繁栄していたのに、キリスト教が広がり、ローマ帝国を飲み込み、中世という圧政と狂信がはびこる暗黒時代をヨーロッパは送ることになった。

もしもヨーロッパでキリスト教が広まらなければ、今の文明レベルには10世紀には到達していたと言われている。ローマの民主主義、自由、合理的精神などが、キリスト教によって大きく歪められ、文明レベルは大きく後退したという説が、ヨーロッパでは有力になりつつある。新大陸でキリスト教徒らが行った蛮行も、今のムスリムのような連中がおこなったと考えれば理解もしやすい。

最近では、ロシアという遅れた地域で育まれた社会主義が、世界の半分を覆ったこともあった。社会主義という文明の皮をかぶったファシズムは、東側の国の発展レベルを半世紀も遅らせることに成功した。

日本よりも後進国だった韓国発祥の宗教である「統一教会」や「摂理」という宗教団体が、日本で勢力を拡大した事例もある。

渡邉氏は、素晴らしい思想を世界に広げていかなければならないと意気込むが、劣った地域で育った思想が、優れた地域へ侵食していくことの方が多いのだ。

その理由として色々挙げられるだろうが、高度な文明では、自己責任の風潮が強くなり、強制が疎まれるようになることも理由の一つなのかもしれないとおもったのは、あるテレビ番組を観た時だ。

その番組では、底辺生活をする人々が、
「風俗とパチンコが唯一の楽しみ」
と告白していた。

例え理由があってカネがなかろうとも、例えば図書館で本を読んで知識を増やすとか、パチンコ以外の役立つ趣味があるだろうに、と思ったものだ。ところが彼らはそのような知的欲求はない。

自由な社会では、豊かになる自由と共に堕落する自由もある。堕落することは気持ちがいい。自由気ままに生きて、段々と将来の選択肢が消えていく閉塞感を感じながらの、この瞬間の快楽。

かつてフロイトは、
「人間には破滅したいという衝動がある」
と説いた。これをギリシャ神話の死神からとって、タナトスとフロイトは呼んだ。人間には、堕落していきたい、このまま死にたい、瞬間の快楽のためならば将来を失ってもいい、という抑えがたい快楽がある。この手の快楽は、味わえば味わうほどさらに強くなる。だから貧しい人間はさらに貧しくなる。

貧しい人間は自分でその運命を選んだのだ。同情するべきではないのかもしれない。しかし放置すれば、格差が広がり、豊かな者と貧しい者との温度差はますます広がる一方となる。

では、下層階級に沈んだ人々を救う方法はないのか?

ある。それが、貧しい地域で生まれた、支え合いの精神、単純な価値観、厳しい規則による自律心を培う思想だ。かつてのキリスト教もそうだし、共産主義もそうだったし、イスラム教もそうなのだろう。

初期のキリスト教の場合、信者は、様々な価値観を認め合う複雑なローマ的価値観を否定した。キリストの教えに基づいた単純な信仰を核として、コミュニティーの中で支えあう、一種の互助会だった。貧しいのに他人を助けることができたのは、禁欲的な規律のために、誰もが貧しい中でも多少の蓄えがあったから。お互いが余ったものを、仲間のために融通し合い、その姿に豊かなものも共感して、キリスト教はローマ帝国へ浸透していった。

「自己責任」
「他人がどう考えようが関係ない」
と語って悦に入り、貧しい人々の苦痛を「努力不足」の一言で肯定する人々がいくら多様な文化の素晴らしさを訴えたところで、貧しい人々の心には決して届くことはこれからもないだろう。そして、イスラム教のような貧乏人のための思想が、人々の間へ侵食していく。

ではどうすればいいのか? その方法については、天草の乱の後、キリスト教という一神教が広まった土地で「破切支丹」という書物を書いて民衆を強化した鈴木正三が参考になると思うが、それを書くと長くなるので、いずれ機会をみつけて書くことにしたい。

2013年10月6日日曜日

2013年10月5日土曜日

コウモリが吸血鬼伝説に貢献した理由

吸血鬼とコウモリのイメージは分かちがたく結びついている。

夜にのみ活動し、薄暗い湿った場所を好み、何より血を吸う、という共通項があるために、両者のイメージが合致したのだろう。いや、そもそも空想の産物である吸血鬼は、コウモリのイメージから創られたに違いない――そう思っていたのだが、どうやら、そうではないらしい。

ナミチスイコウモリという種は、その鋭い歯で大型動物の皮膚に傷をつけ、舌で血をなめとる。
彼らのような存在があることは、世界中によく知られている。しかし彼らの生息地はアメリカ大陸だけで、吸血鬼伝説が育まれたヨーロッパではないことはあまり知られていない。ヨーロッパにも、そしてアフリカにもアジアにも、吸血コウモリはいないのだ。

だから、チスイコウモリのイメージが吸血鬼伝説に大きく寄与した、訳ではないらしい。

では、コウモリは吸血鬼伝説にほとんど寄与していないのかといえば、そういう訳でもないようだ。もう少し、両者の関係をひとひねりする必要がある。

★ 感染源動物のトップはコウモリ=狂犬病が増加傾向
 犬の場合、物事に極めて過敏になり、狂躁状態となって目の前にあるものすべてにかみつく(狂躁型)のが主な症状。その後全身麻痺が起こり、昏睡状態になって死亡する。発病後終始麻痺状態の動物も認められている(麻痺型)。
 ほかの動物や人も基本的には犬と同じ。人は水を飲む時にその刺激で咽喉頭や全身の痙縮が起こり、苦痛で水が飲めないことから「恐水症」とも呼ばれる。
吸血鬼に噛まれた人は、吸血鬼になる、という説もあれば、ゾンビ化して人間を襲う、という伝承もある。後者の伝承に、狂犬病が関与したと考えられないだろうか。

人間がコウモリに噛み付かれたり、あるいは、廃屋に足を踏み入れコウモリの糞が傷口に入ったりすると、狂犬病を発症することがある。

そうなると、誰彼と無く噛みつき、意識は混濁し、やがてその人は死ぬ。身体を調べると傷口がある。そこで周囲の人々は、
「これは化物によって血を吸われ、その結果、このような症状が出たに違いない。化物(=吸血鬼)の仕業だ」
と考えたのかもしれない。

ちなみにコウモリが保菌しているのは、狂犬病ウイルスだけではない。エボラウイルスやインフルエンザウイルスなどの厄介なウイルスも保菌している。

★ とあるコウモリの恋愛遍歴

そうすると、吸血鬼の多様なイメージは、コウモリの持つウイルスの多様な罹患症状が生み出したものなのだろう。

ちなみに、吸血鬼をもとにした創作をする人の中には、あまりにもオリジナルな能力考え過ぎて、何がなんだか分からなくなった作品を作る人がいる。そもそも想像の産物である吸血鬼、どう書こうか勝手だが、もとのオリジナルからかけ離れすぎると、途端にリアリティがなくなるものだ。

そんな時、吸血鬼のイメージが原点から遠く隔たることがないよう、コウモリが保有するウイルスがもたらす症状を調べる、いうのもいいアイデアかもだろう。それが基本に還る、ということなのかも。

2013年10月4日金曜日

ネコがコーヒーの中からのぞいている! なにコレ可愛すぎる・・・・・・

写真を観た瞬間、心がわしづかみにされた……
「やわはだ」HPより
コーヒーの中からネコがピョコンと顔をのぞかせている。

ネコ好きにはたまらないお菓子が、いま注目を集めている。

製品を製造販売しているのは、長野県のマシュマロ専門店「やわはだ」

そう、このネコはマシュマロでできているのだ。
身体は卵でできている
中身はゼリーで
心は砂糖
マタタビのコーヒーに浸かってフニャぁー
そんな可愛いネコの詠唱、じゃなかった、鼻歌が聞こえてきそう。コーヒーにマタタビが入っているかどうかは定かではないが……というか、多分入っていないだろうけど……。
飲み物に溶かす専用ではありませんがコーヒーや紅茶に浮かべ、溶かして召し上がっていただくといろいろな味をお楽しみいただけますのでお試しください。チョコのマシュマロはコーヒーに入れるとカフェモカ風味になります。
午後の気だるいひととき、カップからあどけない顔で上を見上げるネコを、ぼんやりと眺めているだけで癒やされると思いませんか?

とにかく人気店で、インターネットでのみ注文を受け付けているけれども、注文は一ヶ月半先まで埋まっている状態。しばらくはこの人気が続きそうなので、ブックマークだけして、後日注文することをお勧めしたい。

★ マシュマロ専門店「やわはだ」

上記の商品の名前は「CafeCat」 掲載ページは
★ http://sanpasta.ocnk.net/product/427

2013年10月3日木曜日

彼女が家に遊びに来た時に 見せると喜ぶサイト

知り合った女の子が、自宅に遊びに来た時に、何をするか?
「そりゃ、やるべきことは一つでしょ」
などとのたまうのは高校生や大学生にまかせておくとして、普通はアルバムを見せたりマンガを見せたりして、自分を知ってもらう努力をするのだろう。

最近はそれに、インターネットが加わる。

「普段はどんなサイトを見ているの?」
「お気に入りにはどんなURLを保存しているの?」

こう聞かれた時に、どんなサイトを見せれば喜んでもらえるのだろうか。

秋もたけなわ、夏に出会った彼女を自宅に招いて、そろそろ次の段階へとステップアップしようとするあなたのために、彼女に見せれば喜ぶサイトをいくつかご紹介しようと思う。

迷路をやってもらうと、突然スプラッター的な女性の生首と叫び声が室内に響き渡るという悪趣味サイト。

世界中の美術館の作品を、ウェブ上で観られるようにしたもの。
「ぼくは、時々うつくしいものを観たくなる。そんなときは、このサイトを飽きるまで観るんだ」
と言いながら、いくつかの作品についてウンチクを垂れれば、女性があなたを観る目が変わるかもしれない。

★ +LIFE
人生には二度と繰り返せないこともあると、思い知ることの出来るサイト。

★ 白死蝶
これはスマフォでみてもらうと効果的で面白い。スクロールしていたのに突然スクロールできなくなるという、不自由さがみそ。

普通のクイズサイトだと思わせて、読み進めるとホラーだったという定番なので、女性にこれを見せると、
「ちょっと~!!」
などと怒りながら背中を叩かれたりして、幸せな気持ちになれるかもしれない。

かつて、ここまで吐き気を催したホームページはない。このサイトを見せたら、多分女性は嫌がりながら喜ぶだろう。

今どき「キリ番」なんて誰も気にしていないだろうが、そこはそれ。少し古めかしいホームページで、
「ちょっと書き込みしてみたら?」
と彼女を誘って、参加させ、仕組みがわかった後は、
「なーんだ」
と拍子抜けして、2人でクスッと笑い合えるサイトだ。

いろいろなサイトを見ながら、お互いに笑い合えるような間柄になれますように。

2013年10月2日水曜日

クラブが風営法で規制された遠因は、1933年の「ダンスホール事件」

昨年あたりから、クラブの取り締まりが厳しくなった。

知らない人がまだ多いようだが、ダンスができるクラブは、スナックなどと同じ風俗営業と法律ではみなされており、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(=風営法)の取り締まりの対象となっている。

風営法の規定では、18歳以下の人間が立ち入ることは不可。深夜1時までしか営業できない(場所によっては0時のところもあり)。しかし、クラブではオールナイトで朝まで騒ぐのが普通である。そこで取り締まられないようにクラブのオーナーは風営法で必要な届け出を行わなかった。つまりは違法状態が野放しになっていたのだ。

今まではそれを警察が黙認していたのだが、それがこの一年、急にしめつけがきびしくなった。風営法の届け出をしないクラブは閉鎖。届け出たところは、深夜1時までしか営業ができない。
「面白くない」
と言われ、東京の六本木や大阪のキタのクラブでは、どこも閑古鳥が鳴いている。

数年前に、酒井法子や押井守が相次いでつかまり、市川海老蔵がチンピラから暴行を受けるなどの事件が起こった。登場人物の交遊場所が六本木のクラブだったため、メディアから注目を浴びた。そのうち、クラブが違法薬物の売買の温床となっている、と糾弾されるようになった。それがきっかけとなり、今回のクラブ取り締まりへいたったのだろう。

クラブがどうして風営法の対象なのか

ところが、クラブで踊る客の大半は、まともな人間だ。今では高校生からクラブ通いするのも珍しくない。大学生がサークルの二次会をクラブで行うことも多いだろう。

踊っている人々も、特に女性たちの多くは、自分たちが通っている場所が風俗営業店舗だとは知るまい。

だからこの区分けが時代遅れだと思っている人は大勢いる。ミュージシャンの坂本龍一などが中心となって、クラブ営業を風営法の対象から外すように、呼びかけを続けている。

先日風営法違反で逮捕された大阪のクラブ「NOON」の元経営者の金光氏もまた、クラブが風営法の対称となるのはおかしい、と主張する一人。

★ 元クラブ経営者「ダンス規制は憲法違反」 初公判で無罪を主張

彼は、
「法律に違反する風俗営業はしていない」と無罪を主張、弁護側も「ダンス営業を規制する風営法の規定は表現の自由を侵害し、憲法に違反する」と争う姿勢を示した
そうだ。


よくよく考えてみれば、ダンスをするというだけで風営法の取り締まりの対象となるのもおかしな話だ。男女が踊ることが性的だろうか? それが1時までしか営業できないなんて法律が、なぜできたのか?

その理由として、風営法について書かれたネット記事を読むと、
「第二次世界大戦後の、欧米化の流れによって乱れた風紀を正すため」
という説明が一般的なようだ。

だが、理由はそれだけではない。

日本では、
「ダンスをする場所はいかがわしい場所である」
という共通認識が、第二次世界大戦以前からあったのだ。ある事件があり、そのために戦前からダンスホールは、警察による厳しい監視下にあった。

当時は警察の力が強かったのでいつでも規制できたが、戦後はそうもいかぬ。そこで制定されたのが、風営法、というわけだ。

その事件とはなにか。

1933年(昭和8年)に起こった「ダンスホール事件」である。

ダンスホール事件とは

舞台となったのは東京の赤坂溜池町(現在の赤坂2-2-17 ニッセイ溜池山王ビルのある場所)にある、ダンスホール「フロリダ」。

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ここのダンス教師に惚れぬいた34歳の既婚女性・吉井徳子が、彼の愛情をつなぎとめるために、友人の既婚女性を夜の相手として次々に斡旋。それがばれて、警察沙汰となった。当時は不倫は犯罪だった。

その上、吉井徳子はただの女性ではなかった。先祖を藤原道長におく、藤原四家の末流である柳原家の出身。夫は、元薩摩藩士を祖父に持つ、伯爵・吉井勇。華族の中の華族が引き起こした性的なスキャンダルだったから大変だ。世間は大騒ぎとなった。

もちろん吉井夫婦は離婚。徳子がダンス教師に紹介した既婚女性たちもまた、華族が多かったものだから、華族社会は大混乱に陥った。

それ以降、ダンスは警察の目の敵とされた。先述の通り、ダンスホールは警察の厳しい監視下に入り、1940年(昭和15年)には、戦局の悪化を理由に、すべてのダンスホールが閉鎖されてしまった。

これ以降、ダンスする人間はモラルに欠けている、という共通認識が人々の間にはびこるようになる。逆に、ワルを自称する人間はダンスホール、戦後はディスコやクラブに喜んで出入りするようになる。

よって、いまでもクラブはワルのたまり場だ。だから現在でも、クラブでは他の場所よりも違法行為が行われやすく、風営法は改正されぬまま、今にいたっている。

欧米なんぞでは、ダンスをするのは当たり前だ。高校生は「プラム」と呼ばれる高校3年生最後のダンスパーティーでいかにモテるかに、勝負を掛けているほど。クラブをアンダーグランドな場所として認識しているのは、日本くらいだろう。

今ではその記憶も薄れているが、ダンスをなんとなく「いかがわしいもの」と考える認識が残っているのは、ダンスホール事件の残滓が遠因なのではないだろうか。

2013年10月1日火曜日

最近妙にauの悪評が多い

iPhoneの新シリーズであるiPhone5sの発売は9月30日。それから10日が経った。

ドコモがiPhoneを販売するかどうかで騒がれていたが、めでたく販売されたために、iPhoneを使いたがっていたドコモキャリアにとっては喜びに満ちたシーズンとなった。

ただ、3社が同じ性能の機種を販売すれば、3社のどのシステムが優れているのか、明確に分かってしまう。いろいろな媒体で比較検証が行われた。結果、現時点では、auの圧勝のようだ。

★ ドコモが大変な結果に…!iPhone 5s,5cはドコモ、au、ソフトバンクのどこがいいか、山手線全ての駅で速度を比較してみました
最も高速で通信できたサンプルの割合は、 1位がau、2位がソフトバンク、そして最下位がドコモという結果に。 新型iPhoneがKDDIのプラチナバンドLTEに対応したのが功を奏し、結果に繋がったようです。(中略)また測定ごとに1位を獲得した回数を集計してみても、やはり 1位はau、最下位はドコモという結果に。 
★ 新しいiPhoneで最も“パケ詰まり”しなかったのはau
 携帯電話会社3社のiPhone5sを用いて通信計測調査「iPhone5sパケ詰まり調査」を同9月24日、25日に山手線6駅(東京、新宿、品川、渋谷、有楽町、秋葉原)の駅構内ホームで実施。Webページの平均表示時間はauとソフトバンクが同タイムの5.29秒で最も早いという結果に。
 また、各キャリアの「パケ詰まり率※」も計測。結果、最もパケ詰まりが起きなかったのはauで2.4%。ソフトバンクの3.9%を僅差で制し、au版iPhoneの方がソフトバンク版iPhoneよりも安定した表示時間になるという結果となりました。一方、ドコモは16.8%と6回に1回が「パケ詰まり」となり、他2社と大きな開きがありました。
こういったau礼賛の記事が上がる一方で、auをくさす記事を最近立て続けに読んだ。

★ iPhone5sを購入しましたがauショップでの強制加入オプションの合計が月額2240円だったことに驚き! 私が考える最短解約方法。

★ auのKDDI、あきれた二枚舌営業〜購入時に虚偽説明、強いクレームには特別に補償対応

どちらも(元)auユーザーによって書かれたので、auをくさすためのものでは一見ないように思うけれども、強烈にauをディスっていることに変わりはあるまい。

これって、本当に、筆者の感じたママを書いた結果なのだろうか? 某社が裏で手を引いている可能性はないのか?

……などと考えるのは、陰謀論なのだろうか。そうとも言えない現実を私は知っている。

だいぶ前だが、私の友人が、テレビ報道製作の現場に近いところで働いていた。彼から聞いた話なのだが、携帯電話に関する否定的な情報(電話の電磁波が脳に悪影響を与えるという実験結果が出た、など)を流すと、どこで調べたのか携帯会社からクレームが、瞬時に必ず入ったのだという。

「その研究結果は、どれほど信ぴょう性があるのか」
「あなた方はどれだけ、その件を取材して確認したのか」

「報道をやめろ」
とはさすがに言わない。だが、やんわりと、上記のような確認を執拗に求め、言外に番組へのCM出稿を減らすことを匂わせる。

大口のスポンサーからのクレームを無視出来るはずもない。結局、その手のニュースの扱いを縮小せざるを得ないのだが、あの情報管理は見事なものだった。

最近は「口コミを利用する」などといって、人気ブロガーに提灯記事を書かせたりすることがよくある。クラウドワークスというサイトでも、
「この商品について記事を書いてみませんか?」
などという募集記事がときとき上がっている。

上記2つがそうだとは言わない。だが、某社が、au礼賛の流れを食い止めるために、ブロガーやニュースサイトに対してau批判の記事を書かせていたとしても、不思議ではないように思う。

それが明らかになることはなかろうが、ちょいと、眉に唾つけながらau批判記事を読んでみようと思うのであった。