2013年6月2日日曜日

獲物となるのを選ぶより

先日友人から、「LINEを利用しないということは、技術の最先端に触れていないということで不利。個人情報がLINEに伝わったからといって、何が怖いんですか? 気にしすぎですよ」と指摘されました。

……LINE、流行ってますね。これを使っているグループとは疎遠になるため、使わないことは孤独を甘んじて受け入れるということ。それでもLINE不使用の方針を変えるつもりがないのは、以前読んだ『気流の鳴る音』(ちくま学芸文庫)の影響かもしれません。

二〇〇七年五月二十八日、ケニア共和国大使館のホームページに加藤直邦という人が寄稿した記事「ガイド流サファリ動物発見術」によると、アフリカのサバンナでは、肉食動物と草食動物では、後者が圧倒的に見つけやすいそうです。雀のように、怯えながら過ごす草食動物の方が見つけにくいようにおもえますが、さにあらず。彼らが逃げ回るのは肉食動物に追われた時くらいで、普段はのんびりと草原で草を食べているのです。捕まるのは運が悪いから。大半は捕まることなく、一生を追えるのです。

逆に、ライオンなどの捕食者を見つけることは大変困難です。彼らの数は草食動物に比べて少なく、また、獲物に見つからないように隠密行動をとることが多いため、観光客の前にも現れようとしません。

自分の存在を徹底的に隠し、目立たずに、獲物たちを追い詰め、弱いものを炙りだして食物とするのが、生態系で頂点に君臨するための方法なのです。

『気流の鳴る音』の著者であり、社会学の大学教授である真木悠介氏は、こうした自然界の掟を紹介した上で、「自分自身の情報を周囲に伝えることは、獲物になるということだ」とその著書の中で指摘するのです。

GoogleやYahoo!、あるいはFacebookのような企業にとってみれば、マーケティングのために個人情報を完全に把握することが必要です。それに、利用者の個人情報を把握することで、犯罪者の活動を幇助するリスクを減らします。ですから、あの手この手で正確で大量豊富な個人情報を集めようとします。私たち消費者が獲物だとしたら、企業は捕食者です。捕食者が獲物を獲物たらしめようとするのは、当然といえば当然ではあります。

もっとも、現代社会の快適さを享受したいのならば、情報産業企業にある程度のデータを握られるのはしょうがないことです。gmailの素晴らしさを知ったならば、これを利用しない生活は考えられないでしょう。データを渡したからといって、取って食われるわけでもありませんし。

それでも、捕食者から獲物として見られていることに常に自覚的でありたいのです。いつか牙をむかれた時にうろたえずに逃げ去るためにも、彼らの危険性を忘れたくないのです。自分の情報を与える企業を少なくすることは、監視対象を絞り込めます。その分、ムダな労力も少なくてすみます。

たとえば先日、ブルームバーグというアメリカの大手総合金融情報サービス会社が、顧客同士の様々なやりとりを盗み見て、それを記事として配信していたことが暴露されました。

★ ブルームバーグの企業倫理が問われている!
さて、ニューヨーク・タイムズの土曜日の記事の中では、それらのブルームバーグの記者のうち数百人が、いわゆる「Z機能」と呼ばれるコマンドを使って、ネタ探しをしていたことが暴露されています。その機能を使えば、(中略)その個人ユーザーの個人情報、最後にログオンした時間、ユーザー間のチャット記録、どのブルームバーグ機能を何回利用したかなどが一目瞭然になるのです。
たとえば、あなたがYahoo!やGoogleで働きたいとして、Yahoo!やGoogleが社員を雇用する前に、人事部があなたのメールの内容をのぞきみていない、と本当に断言できるでしょうか? 彼らがあなたのエロサイトや鬼女サイトの閲覧履歴を、把握していないと断言できるでしょうか? 本社の中に危険因子を取り込まないためにも、それなりの措置はとっているのではないか……と考えて然るべきでしょう。

そして、その方法は年々巧妙になっています。先日、とあるSNSを利用した所、キャッシュが利用者のパソコンに常駐し、利用者がその後どのようなサイトを閲覧していたのかを記録、再度そのSNSにアクセスしたときに、データをSNSが取り込める仕組みとなっていたという報道がありました。その情報がどのように利用されていたかは、推して知るべしです。警戒を怠らないようにしましょう。

ちなみに、こんな4コマ漫画がまとめサイトで紹介されていました。
作者を紹介しようと思いましたが、分からず。

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