2013年1月6日日曜日

巳年に寄せて 神話の中のヘビ10態

新年ネタはできる限り松の内に済ませたいもの。ヘビについて書こうと思います。

今年はヘビ年です。ヘビと言えば今では気持ち悪い、怖いと感じる人々の方が多いようですが、古来においては、穀物を害するネズミを退治してくれる益獣でした。その上、大変生命力が強く、人間とかけ離れた姿もあいまって神格化され“霊獣”として崇められてきました。

世界各国で、ヘビが神話の中でどのような地位を占めているのかを、簡単にご紹介しましょう。

日本
日本では先述の通り、ネズミによる穀物の被害から守ってくれる存在として、富を守る象徴となりました。今でも、お年寄りの中には脱皮したヘビの抜け殻をサイフに入れてお守りにする人もいます。
日本神話の中で一番有名なヘビは、ヤマタノオロチでしょう。

スサノオノミコトという嵐の神が、高天原を追い出されて出雲国に落ち延びます。

彼はそこで、8つの頭を持つ大蛇・ヤマタノオロチの生贄となりかけたクシナダヒメを救うため、強い酒を用意して大蛇に飲ませ、酔っ払ったところで首を切り落として殺害。クシナダヒメを救い、彼女と結ばれます。


中国
中国神話において、もっとも有名な蛇神といえば、「伏義(ふっぎ)」と「女媧(じょか)」でしょう。
蛇身人面の兄妹神であり、黄土をこねて人間を作り上げた私たちの生みの親です。すなわち中国神話では、蛇が人間を作ったということです。


インド
インド神話では、3柱の最高神がいます。創造を司るブラフマー、維持するヴィシュヌ、そして破壊を司るシヴァです。

その神々を生み出したのは、創造神のブラフマーではなく、維持を司るヴィシュヌというところが面白いですね。ヴィシュヌは宇宙が出来る前、ヘビの王であるアナンタの上で寝ていたそうです。ヴィシュヌのへそから蓮の茎がのび、その先に花が咲いて生まれたのがブラフマーでした。ブラフマーの額から、シヴァが生まれました。

ヴィシュヌは世界が滅びた後、再びアナンタの上で眠りにつくと言われています。


中東
旧約聖書でヘビは、智慧を知らぬアダムとイブをそそのかし、神の持ち物である智慧のりんごを食べさせた、堕落の象徴として描かれています。それででしょうか、イランのことわざに、
「ヘビを殺す時は頭をすりつぶせ」
というものがあるほど、ヘビは忌み嫌われる存在となっています。

ただ、もちろんそれだけではありません。アラブの説話集である『アラビアンナイト』には、人面蛇神の地下の女王・ヤムリカによって様々な知恵と富を与えられた人間の話が出てきますし、イスラム教が支配的になる前は、ヘビを信仰する部族もあったようです。


アフリカ
アフリカの中央にあるウガンダからナイジェリアにかけて、ヘビ信仰が盛んだそうです。

南方にあるジンバブエに伝わった伝説をご紹介しましょう。
 シャンガニという王国では河の水が時折干上がるという問題を抱えていた。河が干上がると、女性たちは遠くの泉まで水を汲みに行かねばならない。
 ところがあるときチムバ姫は、水汲みにいっったときに泉の中から現われたヘビの王から、不思議な水瓶をもらう。その中には常に水がみたされていたため、彼女は水汲みから免れる。
 そんなある日、大渇水が起こり、河の水どころか、泉の水も枯れ果ててしまう。姫の水瓶には水が常に満たされているものの、それ以外の人々にとっては地獄のような日々。チムバ姫がヘビの王に水をもたらすように頼んだところ、
「自分の嫁になってくれるのならば、水を河に満たそう」
と言われる。悩んだ末にチムバ姫はヘビの王の妻となることを選び、その結果河には水が満ち溢れ、シャンガニ王国は危機から救われる。
 チムバ姫は、ヘビ王のもとに嫁ぐが、次第に彼の優しさに引きこまれ、やがて完全に彼を受け入れた時に、ヘビ王は人間の姿へと変わった。
 ヘビ王は魔法使いによって蛇の姿に変えられた人間であり、姫の愛情で魔法がとけたのだった。この2人がその後、新しい国を作り、今のアフリカの人々の父と母になった。



ヨーロッパ
ギリシャ神話では、伝令の神であるヘルメスの持つ杖に、翼の生えたヘビ2匹が巻き付いています。
ヘルメスが商業の神であったことから、ヘビもまた商業の神として崇められるようになりました。また、ヘビが自分のシッポを飲み込もうとする姿を図案化したウロボロスは、「完全」を象徴しているのです。


アメリカ
アステカ神話の中でもっとも人気があるのが、羽毛のあるヘビの姿をした神、ケツァルコアトル神です。彼は人類に火をもたらし、アステカの人々に人身御供をやめさせた、平和を愛する神でした。

しかし人身御供を欲するジャガーの姿をした神・テスカトリポカによって騙され、人間界から追われてしまいます。

「再び戻ってくる」
と言って去っていったケツァルコアトルでしたが、彼が戻ると宣言したその年に、スペイン人たちが大航海を終えて大西洋の向こうからやってきました。インディオ達は彼ら侵略者をケツァルコアトルの再来だと思い込んだため、たかだか数百人のスペイン人によって、数万人のインディオが支配されてしまうのです。こんな偶然があるのですね。


こうしてみてきますと、それぞれの地域に特色があって面白いです。


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