2012年9月19日水曜日

元放送作家のブログ 「By Ken Levine」

雑誌『TIME』が選んだ2011年最高のブログ25選「The Best Blogs of 2011」から一つを選んで紹介するシリーズの第6弾は、元放送作家・アナウンサーのブログ「 By Ken Levine 」(ケン・レビンより)です。

随分シンプルなつくりで、「これぞ個人ブログ!」と言いたくなるような簡素な味わいです。

ところが、ブログ主は随分派手な経歴です。『TIME』によれば、
 Ken Levineは、喜劇作家として面白い経歴を持っており、『M☆A☆S☆H マッシュ』や『チアーズ』と『HEY!レイモンド』が彼の経歴となっている。同時に彼は、ボルティモア·オリオールズやサンディエゴ·パドレス、シアトル·マリナーズの野球実況アナウンサーという興味深い経歴も持っている。彼は、この両者の経歴――特に前者――を元にした裏話を、「By Ken Levine」で描いている。
のだとか。

業界関係者の裏話というのは、洋の東西を問わず面白いもので、週刊誌などの定番ネタとなっています。
日本にも元芸能リポーターの梨元勝の「梨元勝の恐縮です!」というサイトがありまして、ここではこんなネタあんなネタが書かれているので、今読んでも大変おもしろいです。

鬼沢慶一という人がラジオで語っていたことを書き起こした記事などを読んだりすると、当時の熱気が見えてきます。

アメリカの業界人の語ることはどのようなものなのか、見ていきましょう。

「I miss Jerry」(ジェリーがいなくて寂しい 2012年9月2日)
週末のレイバー・デーはいつもと違い、ジェリー·ルイス司会の長時間特別番組がない。開き直って言うと、私はその番組が大好きだった。私は毎年それを楽しみにしていた……いい理由と悪い理由のために。
アメリカでは9月の第一月曜日はレイバー・デー(労働者の日)であり、祝日となります。
夏の終わりを意味するため、パレードなどで盛大に祝われながら、やや物悲しい雰囲気の漂う祝日です。

それは筋ジストロフィー協会のためというとても価値ある正義のために行われるものだ。子供たちのビデオは悲しみと感激の両方を誘う。いつか治療法が発見されることをのぞんでいる。

けれども同時に、ジェリー·ルイスの長時間特別番組は、エンターテインメントのかたまりであり、その絶対的に高度なレベルを維持していて、ジェリー以外のすべての人々が、あの栄光のラスベガス時代に戻ることのできる一時の時間旅行が昔から続いており、ショービジネスだけが創り出せる最高の偽善的で誠実な故郷といえた。蜂蜜がじくじくとあなたの家のスピーカーからにじみ出るのだ。このスタイルは、60年台にスイングの中で生まれ、(熟考、鋭敏、感傷、きらめきを組み合わせた)サミー·デイヴィス·ジュニアによって育まれ、ジュリー・ルイスの独特の手法がそこに加わって完成した。彼が耳にタバコを刺すような馬鹿馬鹿しいものを、他の誰も見せられなかった。教会のお説教が、大騒ぎになり、ついには喜劇的な結末へと向かう彼の震えるほど面白いキャラクターを誰も生み出せなかった。
日本で言うと、ジェリー・ルイスは誰に当たるのでしょう?
志村けん? ビートたけし? いえいえ、どちらも若すぎます。
1926年生まれの大御所のコメディアンで、現在86歳。
日本で言うなら、藤山寛美や植木等などの、超大御所にあたります。
そういえば、そんな大御所コメディアンが、日本ではほとんどいなくなってしまいましたね。

彼の芸風は、こちらで確認できます。
(中略)彼の特番は、よきラスベガス、伝統的なラスベガス――出演者全員が着飾り、髪を染め上げ、酒を飲む――そんなラスベガスへの追想だった。観客だけが浸ることの出来る優雅な時間。ディナーショーやレイトナイトラウンジショーがあっても、ショールームの外にはお土産屋がない。右のショールーム外にはギフトショップ。キーリー·スミスのTシャツや、ローズマリー·クルーニーの冷蔵庫用マグネット、またはフランク·シナトラのお弁当箱も買うことができない。
キーリー・スミスは1932年生まれのジャズ・シンガー。ローズマリー·クルーニーは1928年生まれの歌手兼女優で、ジョージ・クルーニーの叔母。
フランク・シナトラは超有名な1915年生まれの歌手で、どれも一時代を築いたエンターテイナーでした。
彼らが今ではラスベガスで、おみやげのキャラクターに化していて、その芸を誰も顧みないことを嘆いているのでしょう。
私はそのすべてがいなくて寂しい。その気持のほとんどは、ジェリーに向けられている。私は「ディクシーメロディーであの子にさようなら」をもう一度泣かずに聞くことはできないだろう。私があの歌を幸運にももう一度聞くことはあるのだろうか?

読んでいるだけで切なくなる文章です。
古き良きアメリカ、とよくいいますが、まだ人々が品格をもっていた時代に花開いたラスベガスのショービジネスは、洒落ていて、下世話出会っても下品ではなく、世界中が憧れた、エンターテイメントの粋を集めたものだったといいます。
当時の映像を観ると、可笑しいのになぜか切なくなります。

彼の文章は、放送作家を長年続けてきただけあって粋であり、アメリカのポップ・カルチャーを学ぶには最適なブログなのかもしれません。
この世はすべてショー・ビジネス+2(K2HD/紙ジャケット仕様)



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