2012年5月27日日曜日

赤信号を渡るか否か

古い話になりますが、当時のサッカー日本代表監督のトルシエが、
「日本では夜中2時に、歩行者が赤信号で横断歩道を渡らない。車も来ないのに。そんな国民性を変えないと、サッカーでは勝てない」
と語ったのを聞いた覚えがあります。

社会の無駄なルールに盲目的に従うのではなく、自分の頭で判断しなければならない、ということでしょう。例えば極端な例ですが、ヒトラーが支配していたドイツでは、ユダヤ人をゲシュタポに突き出すことが合法的だったとしても、それは間違いなく「悪」でした。ルールを守ること、遵法精神が必ずしも善ではありません。

車が確実に来ないのはわかっているのに、交通法規で定められているから従うのは無意味でムダだ、そのような日本人の精神は怠慢で害悪だ、というトルシエの主張には、確かに一理あります。

しかし、深夜の赤信号を渡らないことは、本当に無意味でしょうか?

先日、私自身が深夜、左右を確認した上で、いざ赤信号の横断歩道を渡ろうとして、トルシエの言葉を思い出し、ふと歩みを止めました。

深夜1時頃でした。その日は飲み会で、終電まで粘った後の帰路でした。ですから、それほど急いではいません。赤信号でも慌てて渡る理由はありません。それでも、車は通りませんので、横断歩道を渡ったっていいだろうと思い、そこで考えなおしたのですね。待てよ、と。

ここで横断歩道を渡ることは、本当に正しいことなのだろうか、と。

周囲には他人の目はないので、信号待ちをしようがしまいが、非難されることはありません。完全な自分の問題です。そして、自分にとって誰も見ていないところで、それでも社会ルールとして定められたことに従おうとするか否かが、今問われているのではないか? と考えました。

交通法規は少なくとも、無辜の民を虐殺するような悪法ではありません。それどころか、人々を守るための素晴らしい法律の一つです。その法律を破る理由として、他人が見ていないからとか、ムダだから、という理由は果たして正しいのでしょうか?

自分にとってはムダな法律を、バレないからという理由で破り続ける人間は、やがて法律を破ることに鈍感になるでしょう。違法行為に慣れた人間は、法律を守ることもバカバカしくなりはしないでしょうか。

マナーは繰り返すことで身体に染み込みます。同じように、違法行為も遵法行為も、どちらも繰り返せば癖になるでしょう。

深夜であっても赤信号を渡らない、と決意することは、人生の途上にこれから現れる無数の選択肢から、社会規範に従うものを必ず選択していこうという意志の現れの一つとも言えるでしょう。それは、いざというときに、誤った道に進むことを押し留めてくれることでしょう。

だから私は、深夜であっても赤信号は決して渡るまい、と考え、赤信号を渡ることを思いとどまったのです。

そして、トルシエの日本人批判についても、再度考え直しました。

日本で犯罪が少なく、街も綺麗なのは、日本人に他人の見ていない場所であろうと、自分にとって損であろうと、道徳や法律をできる限り守ろうという、社会的なコンセンサスがあるからでしょう。遵法精神は個人の人生の破綻を防ぎ、社会維持のコストを下げる働きがあります。そんな日本に私は強い愛着がありますし、誇りに思っています。

トルシエが日本人を批判するのは勝手ですが、私はこれからも、自分にとって損であろうとも、他人の見えないところであっても、できる限り法を守り続けることにしよう、と考えました。それが自分の頭で考えだした結論であり、私の生き方です。


本日読んだ記事はこちら。↓

★ クルーグマン「まもなく終末」
ユーロが誕生した時、日本の経済界の焦りは相当なもので、
「日本もアジアで共通通貨を作らねば、ドルとユーロに円は駆逐される」
なんて論調が数多く述べられたものです。

ところが、ここにきてユーロは大変な危機を迎えており、このままではいずれユーロ自体が信任されなくなる危険性さえ取りざたされています。

ユーロ各国は一蓮托生、繁栄する時は全体が反映しますが、一国がつまづくと、悪影響が全体に広がる破目に陥ります。民主主義国で揃っていたユーロですら、政治に問題を抱えていたギリシャの存在が全体の足を引っ張りました。アジアのような政治体制がバラバラな国家群が通貨統合をしたら、ユーロ以上に不安定な通貨が誕生することは必須です。短期的には必ず繁栄するでしょう。将来には必ず禍根を残すでしょう。


★  習慣を身につけるために参考にしてきた9つのテクニック
記事の内容自体はどこにでもありそうなものなのですが、最初個人ブログだとは思わなかったセミプロ的なブログの内容に感心したのでご紹介。

かなりの数のアクセスを集めていることに感心したところ、昨年1月からずっと続けている26歳の方のブログのようです。継続は力なりですね。私もがんばろう。


★  印刷会社 胆管がんで死亡頻発
同じ時期に大阪の印刷会社で働いていた33人を調べたところ、そのうち5人が胆管がんを発症、4人が死亡していたことが判明。この発症率、死亡率は極めて異常な数値だそうです。

ここで思い出されるのが、数年前にクボタという企業の従業員が悪性中皮腫を多発したという事件です。この問題が発覚した時のクボタの対応は大変素晴らしいものでした。原因がクボタにあることを即座に認め、即座に治療費の支払いを開始したのです。この企業にも、事実を解明し、責任があれば積極的に罪を認めいただきたいです。


★  英語をどうやって学ぶか?その1~英語を英語で学ぶ(高広伯彦)
英語を英語で学ぶことが英語上達の近道だというお話です。英語を身に着けたいという人々は、このような方法をいろいろ試して、自分なら継続できるという方法を見つけることが大切だと思います。


★  海外で人気の会社員ダンス、新作は京都
須藤元気がまた新しいプロモーションビデオを発表していたので、鑑賞しました。手首をひらひらさせる新しい技が出てきて、とても面白いものに仕上がっています。

ダンサーのそれぞれに個性があり、エグザイルのようなイケメンユニットでないところがミソです。日本のどこにでもいそうなサラリーマンたちのロボットダンスは、シュールで物悲しく、滑稽でかっこいい。このユニットは、これからどのように進化していくのでしょうか。楽しみです。


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